Chapter 8 -投資ポートフォリオの再構築- (全8章)
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それでは以下に8章を記します。
8-1 お金からは完全に離れられない
現代社会は「お金」を使った価値交換による生活が普及し、もはや昔の物々交換のような暮らしをすることは ほぼ不可能となりました。
わたしたちは「お金」から完全に離れて暮らすことはできないといえるでしょう。
そしてその「お金」はこれから、分散型台帳技術を 使った「デジタルなお金」になっていき、同時にさまざまな資産や権利がトークン化されその価値を取引するトークン化経済も発展していきます。
文明は不可逆であり、人々は便利なものや効率のよいものを一度取り入れると、そこから元に戻ることは困難です。インターネットや自動車のない社会にはもう戻れません。
そしてこれから、デジタルなお金やトークン化経済はこれまで以上に社会を便利にして効率化するでしょう。
しかしながら、よい面ばかり見るのではなく、わるい面や白黒つかない面も考えなければなりません。
デジタルIDやデジタルウォレットが普及した社会像を考えたとき、善悪どちらのイメージをもつでしょうか。
一人ひとりが考えることは大切です。しかしながら、個人や集団の考えによらず、このグローバル化した現代社会においては、グローバルリーダーや世界標準規格団体、グローバル金融、大企業、そしてメディアの推進方針により社会は動かされます。
調べれば調べるほど、巨大な組織や企業が実現したい、 推進している社会像は「デジタルなお金」「トークン化経済」であるといえるでしょう。
8-2 予測困難な時代のリスク分散
これからの社会はますます複雑で予測困難な時代にな るといわれており、VUCAという言葉でもあらわされます;
・V (Volatility); 変動性
→変化のスピードが速く、質・量の変動も大きい
・U (Uncertainty); 不確実性
→将来何が起こるか予測できない
・C (Complexity); 複雑性
→さまざまな要素が複雑に絡み合っている
・A (Ambiguity); 曖昧性
→物事の因果関係が曖昧になっている状況
このVUCAという言葉がビジネスシーンで登場するようになったのは2010年頃からです。
2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でも「VUCA World」という言葉 が提示され注目されました。
AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)、量子コンピュータなどの最新技術は進化のスピードも速く、社会への普及と認知も年々増していっています。
「デジタルなお金」「トークン化経済」は自分には関係ないと思っていても、どこかのタイミングで「社会のルール」や「業界のルール」として一気に社会に普及していく可能性も高いです。
インターネットにより世界中がつながり、それを土台としたさまざまなサービス・技術の発展と普及が今後も続いていきます。
分散型台帳技術(DLT)を活用したCBDC(中央銀行デジタル通貨)やトークン化経済が発展していく中で、わたしたちの 資産や投資運用についても再構築する必要があるでしょう。
何が起こるかわからないVUCA時代において、リスク分散とチャンスへの投資も、これまでとは違った視点で考え直す必要があると思います。
8-3 投資分散先は複数のトークンへ
デジタルなお金、トークン化経済が進展することを見据えて行動するということは、資産の持ち方、お金の在りどころを変えるということです。
たとえば、お金や資産の所有の仕方として、「銀行預金」と「タンス預金」だけ、というケースもあれば、 「銀行預金」と「株式投資」「NISA」「個人年金型保険」というケースもあるでしょう。
また「株式投資」ではなく「FX」や「不動産投資」、 「高級ワインやヴィンテージ品」など趣味趣向によっても投資先や資産の持ち方はさまざまです。
投資余力がある方も、または株式投資やFX、不動産投資などどれかひとつに投資先が集中してしまっている方 も、セキュリティトークンやネイティブトークンへの投資を一度考えてみてはいかがでしょうか。
さいごに
本書の内容は、はじめて聞く言葉や小難しい言葉もあり、自分には関係ないという印象やネガティブな印象を抱くことが多いと思います。
そのような第一印象を打破すべく、価値交換手段の変遷やお金の歴史、そしてデジタル化していく社会、価値をあらわすトークンという手段、トークン化経済の将来像など、一連の流れで整理してきました。
本書を通して、読者のみなさまに「デジタルなお金」「トークン化経済」という社会像が進められていること、それにともない新たな投資の機会である「トークン投資」として、セキュリティトークンやネイティブトークンというものが登場していることもお伝えさせていただきました。
人それぞれ、ライフステージや生活基準によって「お金」のとらえ方、持っておきたい金額はさまざまだと思います。読者のみなさまの資産形成、資産運用を考えなおしてみる、何かのきっかけとなれば幸いです。
業界の動向は速く、随時書籍として形にすることは難しいです。業界動向が気になる方はSNSやWebサイトを活用して情報収集をしてみてください。
以上