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第96回選抜高等学校野球大会 出場校予想

 新年最初の投稿は1月26日に発表される第96回のセンバツ大会出場校を予想する投稿です。
 今年は例年通りの32校の出場ですが、東北や東海が出場枠3枠になったり21世紀枠が10年前くらいの2枠に戻ったりと各地区の出場枠が変動していますので、非常に注目されています。
 私も東海地区の選考大会となる秋季東海大会と明治神宮野球大会を現地で観戦してセンバツへのモチベーションを非常に高めております。とても楽しみです。

1.北海道地区 出場枠①

表1 北海道地区 出場校予想

 まずは出場枠が1枠の北海道地区。ここは順当に優勝校の北海高校が選ばれることは間違いないでしょう。
 北海道地区は毎年枠が1枠しか無いため、この枠を増やすには明治神宮野球大会高校の部で優勝をしなければなりませんが、昨年の神宮大会では北海道代表の北海高校は初戦で関東代表の作新学院に敗れてしまった為、残念ながら今年も1枠となります。

1-1 北海高校

 北海高校は23年夏の甲子園でミラクルな戦いぶりを見せており、見事16強入りを果たしました。昨年のチームは投打で主役級だった熊谷陽輝選手の活躍もあり、2試合連続のサヨナラ試合がありました。しかしエース級の熊谷選手と岡田彗斗投手の2枚が引退し、新チームはエース不在の始まりでしたが見事道内公式戦20連勝でセンバツの切符を手中に収めました。
 個人的に注目している選手は正遊撃手の幌村魅影選手です。甲子園でも非常にいい打撃をしていた幌村選手は新チームではチームを引っ張る立場となっており、甲子園で痛めた右手中指の骨折から復帰し北海道大会決勝では3安打猛打賞の活躍で優勝に貢献しました。
 センバツには万全の状態の幌村選手が見れるのを非常に楽しみにしています。

2.東北地区 出場枠③

表2 東北地区 出場校予想

 東北地区は今年から出場枠が3枠になるため、優勝の青森山田高校と準優勝の八戸学院光星高校の2校は当確となります。

2-1 青森山田高校

 秋の東北大会を制したのは青森山田高校でした。東北大会を制したのは8年ぶり2度目ということらしいのですが、8年前は現DeNA育成の堀岡隼人投手や現ソフトバンクの三森大貴選手が主力だった世代以来でした。個人的には元ロッテの柳田将利選手が居た時に優勝していると思っていましたが、その時は山形の羽黒高校が優勝してました。センバツのベスト4の羽黒を思い出したので間違いないです・・・。
 話は逸れてしまいましたが、今年の青森山田はエースの関浩一郎投手と背番号10の櫻田朔投手の2枚看板がセンバツでも鍵を握ると思います。特に櫻田投手は決勝戦で青森のライバルである八戸学院光星を相手にノーヒットノーランの偉業を達成しました。センバツから低反発バットの導入でより投手力のあるチームが勝ち進む大会になると思うので、青森山田の2枚看板に大いに期待しています。

2-2 八戸学院光星高校

 そして惜しくも準優勝でしたがセンバツは当確な八戸学院光星高校。青森山田同様こちらも2枚看板のWエースがチームの軸となっており、2人ともプロ注目の左腕というところが凄いです。
 今大会背番号1を付けたのは1年生時から甲子園のマウンドを踏んでいる洗平比呂投手です。変わった苗字ですので覚えている方もいると思います、洗平投手のお父さんは元中日ドラゴンズの投手だった洗平竜也投手です。洗平投手(父)は東北福祉大学の剛腕として名を馳せ、当時存在した逆指名のシステムを使ってドラゴンズの2位で入団しています。残念ながらプロ入り後にイップス等に悩まされ制球難に苦しみ、現役生活は3年と短いプロ生活となってしまいましたが、当時から愛知に住んでいたので少年時代は洗平投手へ凄く期待していました。
 こちらも話が逸れてしまいましたが、洗平投手に加え背番号10を付ける岡本琉獎投手もプロが注目する左腕投手で洗平投手同様に岡本投手も甲子園のマウンドを経験しており、センバツでは実力と経験値を兼ね備えたWエースが躍動する姿を楽しみにしております。

2-3 学法石川高校

 ここで勃発するのが3校目問題であり、準決勝では共に完封負けを喫しているため参考材料にする点が少なく非常に選考が難しいと思われます。

表3 東北地区 3校目候補の勝ち上がり

 3校目候補の2校である岩手1位の一関学院高校と福島3位の学法石川高校との比較となりますが、一関学院は組み合わせの都合で東北大会は3試合で2勝1敗。一方学法石川は組み合わせが悪く一関学院より1試合多い4試合を戦い3勝1敗。学法石川の方が1試合多く戦う中で宮城1位の聖和学園と秋田1位の金足農業を倒してベスト4に進出した点が評価されると思います。
 お互い準決勝で完封負けを喫していますが、一関学院は青森山田のエース・関浩一郎投手に被安打2奪三振12と完璧に抑えられました。学法石川も八戸学院光星のエース・洗平比呂投手に被安打1奪三振10とこちらも完璧に抑えられたので、準決勝の試合内容で判断するのは難しいと思われます。
 そこで勝ち上がり方にフォーカスをした場合に学法石川の方が優勢なのかなと思われます。東北地区は念願の選考枠3となりましたが、初年度からとても難しい選考になると思われます。個人的には学法石川の1年生大栄利哉選手の活躍を甲子園で見たいという気持ちもあるので、ここは学法石川を予想します。

3.関東地区 出場枠4.5

表4 関東地区 出場校予想

3-1 作新学院高校

 関東大会は各地区の1位校が勝ち上がる非常にレベルの高い大会となりました。その中でも優勝した作新学院は安定した戦いぶりで7年ぶりの関東覇者となりました。7年前と言えば今井達也投手の世代で全国制覇を果たしたチームから慌ただしく結成した新チームが大関秀太郎投手や鈴木萌斗選手を中心にまとまり関東を制して以来でした。そのチームは神宮大会で明徳義塾に敗れてしまい、センバツでも秀岳館に敗れてしまいましたが、その2試合とも現地で見ていたので思い出深いです。
 話は逸れましたが、今年のチームはエースの小川哲平投手と3番に座る1年生の小川亜怜選手のW小川が軸のチームだと思っています。特に投手の小川投手はスーパー中学生として鳴り物入りで作新学院に入学するも、ここまで怪我に苦しみ登板機会が多くありませんでした。この秋以降徐々に登板機会を増やし、関東大会ではチームのエースとして14イニングを自責点0に抑える活躍を見せました。神宮大会でも素晴らしい投球を見せていたので非常に春が楽しみな選手です。
 野手の小川選手は関東大会3試合で12打数9安打の固め打ちでチームの関東制覇に貢献した打撃が売りの選手です。実際私も神宮大会で彼の打席を見ましたが、初対戦の投手相手にも物おじせずボールコンタクトをする打撃をする印象を受けました。この技術が1年生だったということに衝撃を受けるほどでした。
 W小川以外も良い選手が多く、センバツでは優勝候補筆頭として私は予想します。

3-2 山梨学院高校

 昨年のセンバツ覇者である山梨学院も決勝戦では作新学院に大敗してしまいましたが、出場の当確は間違いないでしょう。
 優勝メンバーの主力の多くが3年生だった為新チームではベンチ入りメンバー内に1年生が12人入るなど非常にフレッシュな顔ぶれで関東準優勝まで駆け上がっていった山梨学院は一冬を越えたらさらに強くなる予感があります。特に準々決勝の桐光学園戦では延長11回のタイブレークを制する死闘となったゲームでしたが、延長の2イニングを強打の桐光学園相手に0で抑えるディフェンス力というのは非常に評価高いと思います。
 清峰高校時代に優勝1回準優勝1回、山梨学院として昨年優勝とセンバツの勝ち方を知る吉田洸二監督の手腕がこの春でも発揮されるか注目です。

3-3 高崎健康福祉大学高崎高校

 ベスト4の2校も順当に当確と言ってもいいと思います。健大高崎は何といっても超高校級捕手の箱山遥人選手が4番を務める大黒柱の存在であり、このチームは箱山選手を中心に回っていると思っています。その脇を遊撃手の田中陽翔選手や中堅手の高山裕次郎選手が固めるなどセンターラインに良い選手が揃っていてチームとして面白いです。
 投手は1年生の佐藤龍月投手と石垣元気投手の下級生2枚看板が箱山選手のリードに乗ってゲームを作っていく手堅いチームであり、春の健大高崎といった所が垣間見れると思います。

3-4 常総学院高校

 もう1つのベスト4である常総学院もまた当確だと思います。常総学院の4番武田勇哉選手はプロも注目するスラッガーであり、低反発バット導入でスラッガー候補は逆風となりそうな大会で目覚ましい一発を放って欲しい所です。
 昨年のドラフトでは花巻東の佐々木麟太郎選手や広陵の真鍋慧選手などスラッガー選手が注目されるドラフトだと思われていましたが、佐々木選手はプロ志望届を提出せずアメリカの大学に進学(予定)、真鍋選手は上位指名縛りをしていた影響もあり指名漏れ、上位候補と称されていた選手も下位指名や育成指名はたまた指名漏れなどスラッガーに厳しいドラフトとなってしまいました。
 今年も武田選手の他に二松学舎大付属の片井海斗選手など今年もスラッガー候補は多くリストアップされていますので、彼らが低反発バットの中でどのような活躍を見せるのか、非常に注目しております。

3-5 桐光学園高校

 関東地区の5校目は東京地区の2校目との争いになると思います。私は関東5校目として桐光学園を挙げますが、選出の理由は東京地区2校目の部分で詳細を書きたいと思います。
 桐光学園は神奈川予選で夏の優勝校の慶応義塾を破り、決勝でも横浜を破って神奈川1位で関東大会に来ました。そして関東大会でも準々決勝で山梨学院には敗れてしまいましたが、延長タイブレークを戦っての敗戦なので8強の中でも評価される敗戦試合だったと思います。
 そしてプロ注目の森駿太選手はこの秋は負傷した右足の影響もあって本職の遊撃手での出場はありませんでしたが、一塁手として全試合に出場しチームの8強入りに貢献しました。万全な状態での森選手を見たいという気持ちもあり、関東大会での戦いぶりと激戦区神奈川の優勝校という部分を加味して、個人的には関東5校目を桐光学園にしたいと思います。

4.東京地区 出場枠1.5

表5 東京地区 出場校予想

4-1 関東第一高校

 東京を優勝した関東第一は背番号10を付けた坂井遼投手が決勝戦を完投勝利。背番号1の畠中鉄心投手を共にWエースとして優勝に貢献しました。
 都大会の活躍もあって神宮大会では坂井投手が背番号1を付けましたが、大阪桐蔭相手に好投していたのは畠中投手と2人のバランスが凄くいい感じで取れており、共倒れはしないような実力・起用法のように思えます。
 打線も1番の飛田優悟選手、4番の高橋徹平選手、5番の熊谷俊之介選手を中心に非常に振れている打線で大阪桐蔭相手にも打ち負けない部分では非常にストロングポイントだと思います。
 出場となれば2016年以来8年ぶりの出場となる関東一の戦いに注目です。

4-2 関東5校目と東京2校目の比較

表6 関東5校目と東京2校目の比較

 ここでは関東の5校目と東京の2校目を比較したいと思います。まず前提として関東大会と東京都大会が同じ土俵でやっていないため、単純比較は無理です。そうなると複数の要因をピックアップして総合的な判断をすることとなります。
 まず最後に負けた試合ですが、桐光学園は関東大会準優勝の山梨学院相手に延長11回までもつれタイブレークの末敗退、中央学院は健大高崎相手に終盤逆転され敗退、創価は優勝した関東一に先制するも中盤に逆転を許し敗退。いずれも接戦のため甲乙が付け難いですが、タイブレークをやっている桐光学園にやや分があるのかなと思います。
 次に勝ち進み具合ですが、桐光学園は強豪ひしめく神奈川を1位で勝ち上がり関東大会へ。初戦の文星芸大付属との試合も危なげなく勝利しています。中央学院は千葉1位として関東大会に進み初戦は白鴎大足利を攻略し8回コールドで勝利しています。創価は決勝戦までほぼほぼコールド勝ちしており、平均得点では10点を超えていますが、国士舘との試合では20-12の非常に大味な試合をするなどディフェンス面での課題があります。
 最後に東京覇者の関東一と関東覇者の作新学院が神宮大会準決勝で激突し、8-6で作新学院が勝利を収めたことについて、直接対決にて関東が勝利したというイメージは影響を与えると思われるので、この一戦を見ても関東に分があるにかなと思います。
 以上の項目を精査してみると枠自体は関東5校目に、その中でも桐光学園が有力なのではないかと予想します。

5.東海地区 出場枠3

表7 東海地区 出場校予想

5-1 豊川高校

 東海地区は豊川高校が優勝、愛工大名電高校が準優勝と愛知県勢が上位2校となりこの2校はすんなり出場が予想されます。
 その中でも優勝した豊川は主砲のモイセエフ・ニキータ選手を中心に打線が爆発して一気に優勝まで駆け上がりました。モイセエフ選手は東海大会4試合に出場し16打数10安打打率.625の大暴れの活躍で打線を牽引すると、4番の中村丈選手が16打数8安打でアシストしました。
 このチームの合言葉は「モイセに回せ」が実現した試合が東海大会準決勝の宇治山田商業戦であり、この試合は終始宇治山田商業ペースで試合が進んでいた試合で8回に豊川が反撃して1点差に追い上げるも、9回表に宇治山田商業の4番小泉蒼葉選手のソロホームランがダメ押し点となり、最終回の攻撃前は絶望感がありました。そのうえ7番からの攻撃で3番のモイセエフ選手に回るには最低でも3人出塁しなければならない場面でしたが、豊川は驚異的な粘りを見せ2死1・3塁でモイセエフ選手に打席が回ります。そして1ストライクから引っ張った打球はライト前への強烈な打球となりここで豊川が同点に追い付き、続く4番中村選手のタイムリーでサヨナラ勝ちを収めました。
 最終回始まる前の「モイセに回せ」が実現し勝利を収めた試合を現地で観戦していた私は試合が終わってからも鳥肌が立ちっぱなしの興奮状態でした。このチームは間違いなくモイセエフ選手のチームであり、それを証明した試合を見ることが出来ました。甲子園でのモイセエフ選手の活躍にとても期待をしています。

5-2 愛工大名電高校

 県大会では豊川を倒し愛知県王者として東海大会に進出した愛工大名電でしたが、東海大会決勝ではエースの大泉塁翔投手を温存して古谷投手と磯田投手の控え投手を投げさせ2人とも大乱調により初回に6失点。この失点が最後まで響いて結局追い付けず準優勝となりました。
 この試合を見ても分かる通り愛工大名電のウィークポイントは大泉投手以降の投手陣の出来だと思います。県大会では奪三振率10を超えるドクターKぶりを見せ、東海大会では調子が上がらない中でもしっかりゲームメイクをしてチームを決勝戦に導き、決勝でも4回無失点の好リリーフをしているので大泉投手が大黒柱なのは間違いないです。
 彼に続く投手として期待されているのは伊東尚輝投手です。1年生時に147キロを計測し、昨夏には150キロに迫るボールを投げていたのですが、秋は調子が上がらず背番号1を大泉投手に渡し伊東投手は10番となりました。そして県大会・東海大会と進んでも本調子とは程遠く、伊東投手が万全に来れれば愛工大名電は優勝候補に名乗りを挙げると思います。
 その裏付けには全国でも通用すると思われる強力打線の存在があります。3番に座る石見颯真選手は1年生からベンチ入りし甲子園ベスト8メンバーとしてヒットを放っており、今では名電の主砲として君臨し東海大会初戦の日大三島戦では特大の場外ホームランを放つと、準決勝ではその場外ホームランを見て研究したのか右に寄るシフトを相手が取る中で逆方向にツーベースを放つミートセンスがとても素晴らしい選手です。まるでWBCの時に吉田正尚選手を彷彿とさせる素晴らしいバッターでした。石見選手に続く石島健選手、宍戸琥一選手の外野陣も素晴らしい打者であり、1-9までしっかり振れる選手が多い印象があります。
 センバツでは低反発バットの導入で打線が売りのチームは影響を受けそうですが、打線以外も守備陣が堅く小技をしっかり出来るチームが愛工大名電なので、あとは投手陣に命運託されたと言っても過言ではありません。とても期待しております。

5-3 宇治山田商業高校

 東海地区の3校目争いですが、三重県1位の宇治山田商業と静岡県1位の藤枝明誠高校との比較でどうしても優勝した豊川に最終回まで勝っていた宇治山田商業が有利に見えてしまいます。 
 宇治山田商業は大会前にインフルエンザが部内を襲い、1年生11人がベンチ入りする若いチームでここまで戦ってきたのは素晴らしいですし、初戦の中京(岐阜)戦といい準決勝の豊川戦といい点が欲しい場面で点が取れたり、失点したくない場面で抑えたりといったゲーム内でのポイントを抑えることが出来るチームだと思います。
 その背景に正捕手の小泉選手の存在があり、彼を中心にチームがまとまっている感じがあります。中村投手と田中投手の2人の投手も小泉選手のリードを信用して腕を振っている印象があり、とても良いチームだと思います。
 今回は残念ながら縁が無さそうな藤枝明誠ですが、初戦では強豪の県立岐阜商業を力で倒してくるなど非常にチーム力自体はあると思います。準決勝の愛工大名電戦でも感じましたが少しミスが多いチームだと思うので、これからチームは成熟していく段階に入る中でいかにミスを減らせるかが夏の課題になりそうです。

6.北信越地区 出場枠2+1

表8 北信越地区 出場校予想

6-1 星稜高校

 北信越地区を見事制したのは石川1位の星稜高校でした。投手陣は佐宗翼投手と道本想投手の2枚の投手に安定感があり、明治神宮大会でも2人の好投があって見事優勝を成し遂げました。明治神宮大会の優勝は91年以来32年ぶりであり、あの松井秀喜氏の世代以来の快挙となりました。現ヤクルトの奥川恭伸投手の世代でも届かなかった優勝だったので、センバツでも星稜は優勝の筆頭候補となりそうです。
 打線は3番芦硲晃太選手、4番萩原獅士選手など神宮大会でど派手な一発を放った強力打線が控えており、そこに2枚看板の投手陣と彼らをリードする正捕手の能美誠也選手がとても良い働きをしており、正直抜け目がありません。
 北信越地区は2015年に敦賀気比が優勝を果たすも石川県勢はまだ優勝がありません。星稜が優勝して北陸に勇気を与えて欲しいと願っています。

6-2 敦賀気比高校

 決勝戦で惜しくも延長タイブレークの末星稜に負けてしまった敦賀気比高校ですが、その星稜が明治神宮大会を制したことで敦賀気比は最強の準決勝高校となりました。
 エースの竹下海斗投手を中心に粘り強く試合をしており、何といっても準々決勝から3試合連続で延長タイブレークをやってきたことはこの先の甲子園でも生きる貴重な経験だと思います。
 今回の出場が決まれば4年連続のセンバツとなります。2015年以来の優勝に向けてこの冬でどこまで成長するか楽しみです。

6-3 日本航空石川高校

 北信越地区は星稜が明治神宮大会を制したことで神宮枠が追加となり合計3枠となりました。
 そこで比較となるのが石川の日本航空石川高校と福井の北陸高校の2校となります。優勝・準決勝が4強と同じ石川県・福井県の組み合わせになるので、今回3校目に地域性を加味する必要がありません。なのでここでは試合内容について精査していきたいと思います。
 日本航空石川は石川2位として北信越大会は3試合行い、最後は敦賀気比に延長タイブレークの末負けてしまいました。しかし3点差を追い付いてタイブレークに持ち込んだという試合内容的には非常に高評価であると思います。
 一方北陸は優勝した星稜相手に6-1とやや押し切られた試合となりました。先制・中押し・ダメ押しとターニングポイントの部分で失点してしまったのは良い印象ではありませんが、北陸は福井県大会で敦賀気比と延長タイブレークを戦い勝利し、見事福井を優勝しています。
 試合内容では日本航空石川、勝ち上がりぶりは北陸と両者一歩も譲らない試合運びでしたが、個人的な印象も含めて日本航空石川を選びました。
 特に今年は元日を襲った能登半島地震の影響もあって日本航空石川は現在姉妹校の山梨県・日本航空高校に一時的に避難しており、日本航空石川のグラウンドには震災の爪痕がくっきりと残るほどに甚大な被害に襲われました。そんな時に皆がみんな野球のことを考えるのはとても難しいと思いますが、能登の方たちを勇気づけるようなプレーを見せてほしいと思います。

7.近畿地区 出場枠6

表9 近畿地区 出場校予想

7-1 大阪桐蔭高校

 近畿大会を史上初の3連覇をした大阪桐蔭高校。20年の近畿大会では決勝で惜しくも智弁学園に敗れているため優勝では無いですが、4年連続近畿の決勝に進んでいるだけでも凄いことです。
 今年のチームは大黒柱の前田悠伍投手が抜けたものの前チームからレギュラーだった徳丸快晴選手とラマル・ギービン・ラタナヤケ選手を中心に強力打線を形成し、投手陣は前チームから投げていたエースの平嶋佳知投手とスーパー1年生の森陽樹投手、南陽人投手、中野大虎投手の4本柱を擁し抜け目の無いチームを形成してきました。
 しかし明治神宮大会では守備の乱れで1試合5失策という大阪桐蔭らしくない戦いぶりでまさかの初戦敗退となってしまいました。逆にこうなった時の大阪桐蔭はより強固なチームを形成してくるような予感があります。とんでもなく強い大阪桐蔭が3月に見れるかもしれないと思うと、非常に楽しみです。

7-2 京都外大西高校

 近畿大会準優勝の京都外大西高校もセンバツ出場は確定でしょうか。京都外大西と言えば2005年の夏の甲子園の印象がとても強く、北岡繁一投手と本田拓人投手のリレーはとても印象的でした。翌春のセンバツではこの2人に現中日の大野雄大投手を加わり3本柱と称されていましたが、初戦で東海大相模に敗れてしまった試合を現地で見ていたので印象深いです。
 話は逸れましたが、今年の京都外大西はエースの田中遥音投手が最後3試合連続で完投するなど19年前の継投リレーとは違い大黒柱のエースが1人で投げ抜くちょっと時代とは逆行するスタイルですが、それだけチーム内・監督からの信頼が厚い選手であるということでもあります。
 準々決勝では大阪の強豪・履正社との打撃戦を制するなど打線も抜け目が無く勢いに乗っていければ19年前の旋風が再びとなるかもしれません。久しぶりの出場となる京都外大西に注目です。

7-3 京都国際高校

 惜しくも大阪桐蔭に敗れ4強止まりでしたが、京都国際もセンバツ出場は確定でしょうか。
 京都国際は2年前にもセンバツ出場を決めていましたが、新型コロナウイルスによる集団感染で出場辞退に追い込まれ、代替出場した近江高校が準優勝するなど悔しい想いをしてきました。そのため今春出場となれば3年ぶりのセンバツとなります。今年こそは万全な状態で甲子園に臨んで思う存分プレーをして欲しいと願っています。
 今年のチームはエースの中崎琉生投手を中心にロースコアを勝ち抜く戦いをしており、初戦の田辺高校戦と準々決勝の近江戦は粘り強く試合を運び最後はサヨナラ勝ちで4強まで進みました。中崎投手を始め昨年の杉原投手や一昨年の森下投手のような左腕が毎年のように出てきており、今年の中崎投手も甲子園で好投すれば森下投手のように注目されるかもしれません。非常に楽しみです。

7-4 耐久高校

 耐久高校は学校創立が江戸時代の1852年という超が付く伝統校であり、野球部は1905年創部で今年創部119年目という歴史のある高校でありながら、ここまで春夏合わせて甲子園の出場はありませんでした。よって今回の近畿大会ベスト4でセンバツ出場を手中に収めたことで初めての甲子園が見えてきました。
 伝統校のみが許された白色のアンダーシャツで腕を振るのはエースの冷水孝輔投手。お兄さんも中部学院大学の選手でこちらは一足先に明治神宮大会に出場し全国デビューを飾っています。そして次は弟の冷水投手の出番です。お兄さんの代は21世紀枠の選考に漏れ、悔しい想いをしたと思います。次は弟が兄の夢を追い、兄弟で全国デビューを飾る日が楽しみです。

7-5 報徳学園高校

 近畿大会ベスト4は出場確定であり、ベスト8の中から優勝した大阪桐蔭と4-3の接戦を演じた報徳学園もほぼ当確と言ってもいいと思います。
 ここまで大阪・京都・京都・和歌山と来ており地域性を考慮して兵庫が1校選ばれるのはなんら不思議なことではありませんし、それが報徳学園の可能性は1番高いと思います。
 昨年のセンバツ準優勝メンバーの中でもWエースの今朝丸裕喜投手と間木歩投手は相変わらずの安定感を誇っており、近畿大会では間木投手は初戦の奈良大付属戦で完封勝利、今朝丸投手は大阪桐蔭相手には打たれてしまいましたが、県大会では見事な投球を見せておりプロ注目同士の対戦となった神戸国際大付属戦では津嘉山憲志郎投手との投げ合いを制し、スケールの大きさを見せつけました。
 一冬を越えてこの2人がどれだけ成長するのか、非常に楽しみです。

7-6 近江高校

 6校目は履正社と近江で非常に悩みましたが、地域性と準々決勝で京都国際と接戦を演じた近江高校が選出されると思います。
 エースの西山恒誠投手は初戦の興国戦で76球での完封勝利という驚異的な投球を見せており、準々決勝でも京都国際相手に1-0の試合を演じており非常に投手を中心としたディフェンス力が魅力なチームだと思います。
 出場となれば代替出場から準優勝まで駆け上がった2年前以来となります。新たな近江が見れるのを楽しみにしています。

8.中国地区 出場枠2

表10 中国地区 出場校予想

8-1 広陵高校

 昨年から広陵のエースの座に君臨する高尾響投手の好投もあり広陵高校が3年連続の秋季中国大会を制しました。
 一昨年は内海優太選手、昨年は真鍋慧選手とチームの中心が野手だった2年間と違って今年の広陵はエースの高尾投手を中心とした守りのチームということで中国大会でも危なげなく勝ち上がり、接戦をものにして優勝しました。
 決勝戦では高尾投手ではなく1年生の堀田昂佑投手が創志学園相手に1失点完投勝利を挙げるなど、課題だった高尾投手以降の投手陣の強化も進んでおり、打線も正捕手の只石貫太選手を中心に抜け目のない打線を形成して非常に楽しみなチームになっています。
 明治神宮大会では高尾投手が乱調で試合を作れず初戦敗退してしまいましたが、そこの課題を乗り越えれば自然と勝ち進むチームなのかなと思います。

8-2 創志学園高校

 2021年東海大相模を率いてセンバツ優勝に導いた門馬敬治監督が22年8月に創志学園の監督に就任すると早速中国大会で準優勝、見事7年ぶりの聖地の切符を手にすることになりました。
 これを見てさすが門馬監督だなと思ったのと同時に監督の力でチームが変わることを実感しました。実際門馬監督が創志学園の監督に就任するという情報を聞きつけ全国の有望な中学球児が進路を変えたという話も耳にするほど、門馬監督の影響力は計り知れません。
 その中でもエースの山口瑛太投手はその1人であり、門馬監督を慕って岡山に来たという話もあるくらいです。その山口投手が広島新庄相手に5安打完封で勝利した試合を見て、創志学園の強さを感じました。
 聖地に帰ってくる門馬監督の采配に注目です。

9.四国地区 出場枠2

表11 四国地区 出場校予想

9-1 高知高校

 四国大会は準決勝で高知同士の対決があり、明徳義塾を制した高知が決勝に進出し見事四国大会を優勝しました。
 高知の魅力はWエースの平悠真投手と辻井翔大投手の2枚看板にあります。平投手はMAX148キロを誇る速球派で体格も非常に良くロマン型の投手であり、一方の辻井投手は制球が良くしっかりゲームメイク出来る能力に長けている投手であり、タイプの違う2人の継投でここまで勝ち上がってきました。
 球数制限もより厳しい時代となり継投という作戦を使うチームを少なくありませんが、オーソドックスな継投策で四国を制した高知の野球非常に楽しみです。

9-2 阿南光高校

 一方でこちらは準決勝で徳島対決を制した阿南光高校。現校名では21年に現中日の森山暁生投手を擁し甲子園初出場でしたが、今回のセンバツは出場となれば初となります。
 大黒柱のエース吉岡暖投手は四国大会4試合36イニングを全て投げ切るタフネスさを誇っていますが、甲子園では1人で勝ち上がれるほど甘くはないと思うので、冬の間に1人でも投手が成長してくれていることを願います。
 吉岡投手を助けて挙げられる投手が出現したら非常に面白いチームだと思います。

10.九州地区 出場枠4

表12 九州地区 出場校予想

10-1 熊本国府高校

 創部18年目の熊本国府高校がこれまで九州大会1勝だったにも関わらず優勝まで駆け上がっていったのはとても斬新でした。
 中でも凄かったのは2試合連続コールド勝ちで勢いのある神村学園を相手に打撃でアドを取り7-1で快勝した試合を見て、本当に力があるチームだと実感しました。
 監督は30歳指揮官2年目の山田監督、自分より若い監督がついに現れたと思ったのと同時に無名高を一気に優勝させてその手腕とても凄いなと思いました。
 残念ながらセンバツより先に経験した全国デビューはほろ苦いものであり、明治神宮大会では初戦で関東一に敗れ全国初勝利はお預けとなったものの、若き指揮官の初勝利は是非甲子園でとナインが意気込んでこの冬成長してもらいたいです。

10-2 明豊高校

 九州大会準優勝だったものの明豊高校の出場も確実でしょう。夏は3年連続で出場しているものの春は準優勝した21年以来3年目、毎年のように強力打線を作ってくる環境は素晴らしく、今年も2番の髙木選手や4番の的場選手を中心に抜け目の無い打線を形成しております。
 1回戦・2回戦といずれも打撃戦を制しており、低反発バットの導入で懸念される中でもしっかり結果を残せると思います。非常に楽しみです。

10-3 神村学園高校

 昨年夏はベスト4に進出するなど九州チャンピオンとして全国の舞台で活躍していた神村学園は記憶に新しいと思います。
 甲子園メンバー9人を擁する中でも4番の正林輝大選手は長打力が魅力の選手であり、甲子園でも非常に目立っていた選手でした。他にもショートの今岡拓夢選手を始め粒ぞろいな野手陣のメンバーとなっています。非常に楽しみです。

10-4 東海大福岡高校

 一般選考最後は東海大福岡高校が選ばれる気がします。東海大福岡と言えば清宮幸太郎選手で沸いた2017年のセンバツで2回戦で早稲田実業とあたったのがこの東海大福岡であり、その時のエースだった安田大将投手が現在投手コーチとして活躍しています。その試合の清宮選手はホームランこそ無かったものの特大に打ち上げた飛球がファールかフェアが判断気付かないほど上空に挙がっており、その対戦相手だった方が安田投手でした。
 試合内容的にも最後の枠に滑り込もうとしていますが、九州大会は4強で異論は無い気がします。

11. 21世紀枠 出場枠2

表13 21世紀枠 出場校予想

11-1 別海高校

 最後に21世紀枠の紹介をします。どれも甲乙付け難い選考になりそうですが、北海道大会ベスト4に進出している別海は選ばれる可能性は高いと思います。
 別海は酪農の街として栄えており、野球部員は19人で内16人がプレイヤーは16人とベンチ入りメンバー20人以下のチームの中で全道大会でこれだけの成績を残せるのは非常に素晴らしいです。
 2017年には部員11人の不来方高校が選出された実績や昨年北海道地区の21世紀枠の出場が無かった背景を考慮し、21世紀枠として最初に名前が呼ばれる高校は別海高校だと思います。

11-2 富山北部高校

 昨年の21世紀枠で北信越地区より氷見高校が選ばれており、2年連続で同地区が選ばれるケースは前例として1件もないことから正直選ばれる可能性は低いですが、ここは完全な主観として富山北部高校を選びました。
 富山北部は3年前ににも富山北部・水橋の連合チームで推薦されていましたが、水橋は統合により閉校してしまった為富山北部としても水橋の想いを背負いながらプレーすると思います。
 そして今回の能登地震で北陸地方に甚大な被害を与えており、今でも苦しんでいる人たちが多く居る中で富山も被災した地域の1つということで被災された方への希望の光になって欲しいと思い北信越地区の日本航空石川高校と同様に富山北部高校の出場を期待したいです。
 21世紀枠になったとはいえ夏・秋の公式戦では富山県で連続2位となっており、力も付けています。
 あとは前例がないという難しい判断となりますが、北陸地方は大好きな街なので1日でも早く日常を取り戻して欲しいですし、そのためにも富山北部の力も必要になると思って今回選出しました。

12.出場校予想一覧

表14 出場校予想一覧

 表14に今回の出場校予想一覧を載せました。発表は1月26日の午後です。
何校当たるかは分かりませんが、選ばれた学校が甲子園で伸び伸びプレーしてくれることを願っています。明日とても楽しみです。


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