2023年9月開催 仮想ドラフト振り返り ~中日ドラゴンズ編~
皆さんこんにちは。アマチュア野球を追っかけてまだ4ヶ月のにわかアマチュア野球ファンのアオジュンです。
今回も7月に続いてサラリーマンスカウトさん主催のオンラインサロンにて行われた9月開催の仮想ドラフトで中日ドラゴンズ担当をさせていただいたので、指名戦略や指名選手を見ながらゆっくり振り返りたいと思います。
前回7月にやった時の振り返りのnoteを下記に載せておきます。9月回も7月回と連動している部分もありますので、お時間ある方は是非こちらもお願いします。
1.チーム状況
1-1 投手事情
2023年の中日ドラゴンズは56勝82敗5分でセ・リーグの最下位に終わり、チーム打率・本塁打数・総得点数はいずれもリーグ最下位と今シーズンも貧打に苦しんでおり、立浪監督就任時に公言した「打つ方は何とかします」から2年経過した今でも解決されているとは正直言い難いです。
投手陣の方に目を向けてみると、チーム防御率はリーグ優勝した阪神に次ぐリーグ2位、先発・リリーフで分けて見てみてもそれぞれ阪神に次ぐ2位と投手陣は立派な成績を残しています。比較的投手有利と言われるバンテリンドームをホームグラウンドにしていることもありますが、リーグワーストの指標が並ぶ野手陣と比較しても投手陣は良くやっていると思います。
先発陣はシーズン序盤にエースの大野雄大投手が左肘の手術で戦線離脱し、9月に入りようやく実戦復帰したものの今季は1試合の登板に終わりました。エースの穴は大きく、ここ4年規定投球回を守ってきたイニングイーターの存在は投手陣に大きな影を落とすと思われました。
しかし実際はトレードで移籍してきた涌井秀章投手が序盤はローテーションを守り、しっかりゲームメイクをしていました。涌井投手は徐々に調子を崩し一時はファーム落ちすることもありましたが、ここまで21先発で111イニングスを投げてくれてたのは非常に心強かったです。
開幕投手を務めた小笠原慎之介投手は前半戦で6勝を挙げるなど大野投手が離脱した投手陣の中で先頭を走ってくれる活躍を魅せ、バンテリンドーム開催のオールスターゲームでも登板を果たすなど、飛躍の1年となるはずでしたが後半戦は失速。ローテーションを1年間守ることの重大さを知ってる投手ではありますが、どこかでバランスを崩してしまったのか9月に入っても苦しい投球が続いています。
右のエース柳裕也投手は前半戦こそ苦しい投球を見せたり援護に恵まれず波に乗れない登板が続きましたが、後半戦はノーヒットノーラン未遂の快投を始め非常に安定感のある投球を見せており、10試合の先発で防御率1点台前半を記録しましたが、驚異的に援護に恵まれずまさかの1勝止まりとなりました。
WBCの日本代表に選出され決勝戦でも登板し侍ジャパンの世界一奪還に貢献した3年目の髙橋宏斗投手は初登板こそ勝利で飾ったものの、そこから苦しい投球が続き約2ヶ月勝てない登板が続きました。6月にプロ初完封を記録するとそこから少し上向き25登板で7勝、防御率・奪三振はリーグトップクラスの数字を残しており、最終登板で規定投球回に到達したこともあり高卒3年目として非常に立派な成績を残しています。
この4投手がローテーションを守ってくれたおかげで大野投手の穴は最小限に食い止めることができ、リーグ2位の先発陣を形成出来たと思われます。一方でこの4投手に続く投手が出てこなかったことは課題の1つと言えます。開幕ローテーションに名を連ねていたベテランの福谷浩司投手は5月以降精彩を欠き、後半戦はリリーフに転向するもピリっとしない投球が続いています。
ドラゴンズ移籍5年目の松葉貴大投手は谷間のローテーションとしてスポット的に先発していたものの、起用法的にバンテリンドームの5イニング限定ということもありなかなか勝ち星に恵まれず、中途半端な成績となっています。安定感という面では合格点はあるものの、イニングイート面で少し物足りなさを感じます。
その他鈴木博志投手なども先発していましたが定着せず、後半戦からはルーキーの仲地礼亜投手や途中加入のH.メヒア投手が先発し、終盤にはトミージョン手術明けの梅津晃大投手や投手に本格転向の根尾昂投手が先発するなど来季に向けて楽しみな投手が出てきましたが、今名前を挙げた投手は皆右投手ということもあり個人的には左で先発出来る投手が1枚欲しいところではあります。
期待しているのは3年目の上田洸太朗投手です。昨年育成から支配下に昇格しシーズン最終盤にはプロ初勝利を挙げて、今年は飛躍の1年を期待されましたがここまで1軍での先発登板は0。特に首脳陣の起用法が定まらずたらい回しに起用されており、ファームでは先発調整して1軍に昇格するとロングリリーフ待機と1・2軍で連携がまるで取れていない起用法はファン目線で見ても不可解であり、それに振り回された1年を過ごした上田投手は少し不憫でした。来年は是非先発投手として期待したいものです。
以上が先発陣の現状となっており、特別緊急性を要する補強ポイントではありませんが、ベテランの大野投手・涌井投手の将来性や24年オフFA取得の柳投手、MLB志向のある小笠原投手の万が一を備えて数年後にチームのコアとなる先発投手がどうしても欲しく、特に若手のプロスペクトが足りていない左腕は今年是が非でも欲しい所です。
リリーフ陣の方に目を向けてみます。今年もR.マルティネス投手は圧倒的な成績を残しており、昨年ブレークした清水達也投手や今季よりリリーフ転向した勝野昌慶投手も目覚ましい活躍をみせ、藤嶋健人投手も出だしこそ遅れたもののそこから安定感ある投球を見せており、開幕前のY.ロドリゲス亡命ショックを必死にカバーしています。
後半戦清水投手や勝野投手が疲労でパフォーマンスが落ちてきたタイミングで新加入のM.フェリス投手、齋藤綱記投手、育成から支配下へ昇格した松山晋也投手がリリーフ陣を支えており、いずれの投手も驚異的な成績を残し現在リリーフ防御率2位を支えている原動力でもあります。
しかし後半戦は柳投手、髙橋宏斗投手以外の先発投手がピリっとせず早期に降板するケースが増えており、そのしわ寄せがリリーフ陣に来て後半戦はリリーフの稼働率が上昇しています。特に上記に名前が挙がった投手を始めとした一部の投手への負担が増えてることもあり、このような状況が続くと来シーズンへほぼ必ず影響が出ると予想されます。
ルーキーの松山投手は6月に支配下登録を勝ち取り、6月17日に1軍デビューして36試合登板していますが、ファームでの登板23試合やキャンプ・オープン戦での実戦登板を含めると今シーズンは60試合をゆうに超えており、育成ルーキー・地方大出身を考慮するとこの登板数は既に危険領域に達していると思います。最近の登板では少しフォームが崩れているという指摘の声もあるように明らかに疲れが登板に出ており、奪三振・与四球が多い面と回跨ぎの登板があったことも考慮すると相当数の球数を今季は投げ込んでいるので、非常に心配です。
オープン戦の負傷が響いて開幕から出遅れた藤嶋投手も現在一二軍合わせて60試合以上の登板を重ねており、登板のシチュエーションもビハインド中心のBチームから後半戦は勝ちパターンのAチームに昇格し、R.マルティネス投手の離脱後はクローザーとして登板しているのを見ると負担はとても大きいと思われます。
リリーフは毎年かなりの登板数を重ねているため必ずどこかで勤続疲労が見えてくるものであり、ドラゴンズで言うとベテランの祖父江大輔投手は2020年に最優秀中継ぎのタイトルを獲得したものの近年はパフォーマンスが低下して、今シーズンも精彩を欠き一時ファーム落ちするなど衰えと共に勤続疲労の弊害が出ていると思われます。
そこでドラフトでは来季より稼働が見込める即戦力リリーバーの獲得が急務と思われ、今シーズンの松山投手のようにストレートに力のある投手を獲得出来たらと考えています。ドラゴンズは清水投手や勝野投手のようにストレートに力のある先発タイプをリリーフに配置転換して成功している例があるので、現在先発をやっている力ある投手をプロ入り後リリーフ転向させるという手も面白いと思います。
1-2 捕手事情
今季は正捕手の木下拓哉選手が交流戦で負傷し、正捕手が離脱するというタイミングで北海道日本ハムから宇佐見真吾選手をトレードで獲得したドラゴンズ。若手の石橋康太選手も含めて正捕手の木下選手の離脱時には苦しい捕手事情になったことを踏まえると捕手も補強ポイントの1つだと考えます。
木下選手離脱時に1番多くのマスクを被ったのは6月に北海道日本ハムからトレードで移籍してきた宇佐見選手でした。移籍当初は自慢の打撃で猛アピールをしており、8月には月間3度のサヨナラ打を放つなど数字以上の勝負強さを見せてチームを引っ張っていました。しかし捕手としてのディフェンス面を見てみると、少し厳しい面が見えたシーズンだったと考えます。
正捕手の木下選手と比べて捕手としての出場が半分ながら盗塁阻止率は木下選手を下回り、捕逸も木下選手より多く出していることもあり特にワンバウンドの捕球に苦戦しているシーンがよく見られました。
ドラゴンズ投手陣、特に救援陣は150オーバーのストレートに加えて鋭く落ちる落ち球を武器にしている投手が多く、彼らが仕事場にしている試合終盤に落ち球で捕逸されることは避けたい所です。
さらに宇佐見選手は木下選手が怪我から復帰後は一塁手も兼任するケースが増えており、来季から日本人枠になるD.ビシエド選手との併用も視野に入れるとなると、捕手としての役割は来季以降減少する可能性があります。
そうなると第2捕手には石橋選手が有力となりますが、石橋選手は1軍での経験値が木下選手、宇佐見選手とは圧倒的に少なく、少しずつ1軍で経験を積んで欲しい選手ではありますが、現状は頼りになる所まではまだ来ていない印象です。
今年千葉ロッテよりドラゴンズに出戻りする形で移籍してきた加藤匠馬選手は開幕こそ1軍に居たものの、試合では結果を残すことが出来ず今季の打率は0割で終わってしまいました。来季1軍の戦力としてカウントするのは厳しいでしょう。
表には名前がありませんが、今季限りでベテランの大野奨太選手は引退。高卒2年目の味谷大誠選手は今季1軍初スタメンを経験するなど少しずつ成長していますが、来季の戦力にはまだならないでしょう。高卒ルーキーの山浅龍之介選手も同様です。
以上の捕手事情に加え2024年オフに正捕手の木下選手が国内FA権取得見込みということも鑑みると今年のドラフトで捕手を1人指名する流れが妥当だと思われます。
1-3 二遊間事情
昨年オフに二遊間のレギュラーだった阿部寿樹選手と京田陽太選手をトレードで放出。バックアップ要員としていぶし銀の活躍を見せていた三ツ俣大樹選手も戦力外にしてドラフトでは村松開人選手、田中幹也選手、福永裕基選手、助っ人外国人としてO.カリステ選手を獲得して臨んだ2023年シーズンでしたが、侍ジャパン壮行試合やオープン戦で大活躍を見せていた田中選手がシーズン開幕直前に帰塁の際に右肩を負傷し右肩の脱臼でシーズンを棒に振りました。田中選手の開幕前の期待値から考えると大きな誤算と言えるでしょう。
ドラフト2位ルーキーの村松選手は春先に古傷が再発し出遅れたものの、GWに1軍合流してここまで98試合に出場し300打席近く1軍で経験をしましたが、プロの壁は厚く打率.207、OPS.492と打撃面で苦しみました。また期待されていた遊撃守備も首脳陣からの信頼を得るところまでには至らず、交流戦以降は基本的に二塁手として出場に起用が限定されました。
ドラフト7位ルーキーながら開幕スタメンを勝ち取った福永選手でしたが、シーズンでは二塁守備に苦戦しGWの甲子園でのゲームでは最終回に痛恨の失策でR.マルティネス投手に今季唯一の黒星が付いてしまうなどここぞという場面でのミスが目立った1年でした。オープン戦でアピールしていた打撃もシーズン中盤には不振に陥り、スタメンを外れる試合が増えてきて最終盤にはファーム落ちも経験しました。27歳大卒社会人4年選手の即戦力として期待されプロの世界に飛び込んで来ましたが、1年間プロの世界で戦う厳しさを痛感した1年だったような気がします。
即戦力として期待されていたルーキー達に試練が立ちはだかっている中、昨年後半から台頭し今年から登録名を変え期待されていた龍空選手ですが、4月にプロ初ホームランを放つも極度の打撃不振が響き5月にはファーム落ち。再昇格以降も打撃に進歩が見られず1年間苦しみ打率は2割を切り、OPSも.456とレギュラー選手としては寂しい数字となってしまいました。
このようにレギュラー選手を放出して新たな若い選手を登用し選手の成長を促いた采配でしたが、数字だけを見ると苦しい数字が並んでおり今年の低迷を招いた要因の1つと考えられ、ドラフトでは即戦力寄りの二遊間選手、特に龍空選手の対抗馬になり得る即戦力ショートの獲得が急務と考えられると7月の段階では確信していました。
しかし後半戦になると風向きが変わり、助っ人のカリステ選手が8月後半よりショートのスタメンを確保すると9月は打棒が爆発し1試合2HRを2度記録するなど、前半戦でOPSに苦しんだ二遊間陣に見れつける打撃を披露してくれました。これにより来季戦力構想外だと思われたカリステ選手に目途が立ち、残留の線が見えてきました。
来年に限った話をすれば1軍に龍空選手、カリステ選手、村松選手、福永選手と9月に実戦復帰した田中選手を加えて激しいレギュラー争いを繰り広げる可能性があるので、補強ポイントのマスト項目ではなくなったのかなと9月時点では思いました。なので今回の仮想ドラフトでは支配下の最後の指名部分での可能性に留めました。
1-4 打者事情
上記の補強ポイントに加えて忘れてはいけないのはリーグワーストの得点数を解消するための強打者の補強です。
7月の段階では支配下野手の年齢・左右打・選手タイプなどをカテゴリ別に分類し、最終的に一三塁のホットコーナーを守れる左打ちの強打者を獲得しようという結論に至り、本番では4位で高校生スラッガーを獲得しましたが、上位で投手にリソースを割くとどうしてもコア打者との両取りは仮想をやってみて厳しいという結果になりました。
投手と野手のコア選手を両取りするとなると1位2位のリソースを分配する必要があり、そこではある程度の戦略を持たないと実際指名出来ないという結論になりました。
以上がドラゴンズの現有戦力の分析と中長期的なビジョンでした。次項より9月回の仮想ドラフト中日ドラゴンズ陣営の指名戦略について、書き記したいと思います。
2.指名戦略
2-1 指名戦略(投手編)
リーグ2位の投手陣を誇るドラゴンズですが、一時期と比べると少しずつ綻びが見えており、このまま投手より課題のある野手の補強を進めて行くと数年後投手陣は火の車となることが予想されます。
そこで今回の仮想ドラフトでは最大指名人数7名の枠に対して最低4名の投手を指名を検討することとなりました。野手の指名状況によっては投手の指名人数を5名にすることも1つのケースとして想定されました。それくらい中日ドラゴンズ陣営とは将来の投手陣への懸念を重要視しており、好投手が市場に多く出回る年のドラフトで外してしまうと低迷期が長引くことが想定されるため、今回は投手を仮想ドラフトの最優先事項と位置付けました。
そこで1位の枠は即戦力投手を指名、特に今年の市場を考えると1位は大学生投手で行こうと考えました。東洋大学の細野晴希投手、青山学院大学の常廣羽也斗投手を始め今年は将来の球界を背負うような好投手が数多くいる市場となっており、中日ドラゴンズ陣営の中でも1位の大学生投手に関しては意見が割れました。
7月の仮想では中日陣営としては細野投手を最上位に位置付けし、実際最初の入札で細野投手を指名しました。その際には運よく単独指名に成功し、細野投手の獲得となりました。
しかしその後高校日本代表と大学日本代表の壮行試合で細野投手は1イニング限定ながら最速158キロを計測し、東京ドームに駆け付けた3万人の観衆をどよめかせました。それを現地で見ていた私は細野投手は初回入札の段階で競合が確実視されると想定し、競合覚悟でも指名するのであれば細野投手で行きましょうと進言しました。
壮行試合では他にも最終回に登板した常廣投手や150キロオーバーを連発した国学院大学の武内夏暉投手も評価を上げており、1位で確実に大学生投手を獲得するには戦略が必要だと考えました。
まずは陣営内でどの投手に一本化するかを協議し、右投手より左投手を優先したいという意見が多かったので東洋大学の細野投手・国学院大学の武内投手の二択まで絞ることにしました。
上記のように細野投手を初回入札すれば競合になることは間違いないため、細野投手で初回入札するケースではセットで外れ1位の選手の選定まで含ませて想定することとなります。
しかし7月回の考察noteでも記したように中日ドラゴンズはセ・リーグ6位で仮想ドラフト参加となるため、2位のウェーバー順が12球団最初となり市場評価の13番目選手を獲得出来るアドバンテージを得るため、そこの戦略を含めると1位は競合してナンバーワンの選手を獲得するリスクを背負うより3~6番目となる市場評価で初回入札で単独指名出来る可能性のある選手を指名したいと考えていました。
そこで今回は競合が確実視される細野投手ではなく単独指名出来る可能性がある国学院大学の武内投手を1位入札指名で行くことを決めました。このタイミングは仮想ドラフトの2週間前となります。早々に武内投手に一本化した理由には2つあります。
1つは武内投手を単独指名したかったからです。こいつは何を言ってるんだと思う方もいると思いますので、経緯を含めてお話します。ドラゴンズ陣営(初回会議では自分含めて4人の参加者)の中でドラフト1位になると思う選手を12人ピックアップするアンケートを取ったところ、4人とも1位として名前が挙がった選手が9選手居ました。その中で競合確実の最上位として位置付けしている3選手が4人とも共通で東洋大学の細野投手、青山学院大学の常廣投手、花巻東の佐々木麟太郎選手でした。この3選手は中日陣営内で競合が確実視されると予想し、この3選手を外した残り6選手の中から1位入札選手を選出したいという考えがありました。
残り6選手の中でも単独で指名が予想される選手と外れで指名が予想される選手が入り混じっていましたが、国学院大学の武内投手は少なくとも外れ1位は無いだろうという話をしていました。つまり初回入札をしたら単独指名が通りそうな選手の位置付けということです。
ここで想定される下振れのケースとして単独指名を狙って入札して、同じ考えを持つ球団とぶつかり競合になってしまうことでした。これだけは何としても避けたいと思っており、そうなるリスクを回避するにはどうするべきかと考えた中で、他球団が1位入札を決めかねている間に武内投手を1位入札指名の公言をしたらどうだろうか、という結論に至りました。
中日陣営としては武内投手の位置付けを単独指名が出来たら最高、しかし単独指名狙いで他球団と被って競合するのを避けたいという評価でした。なので先にこちらから公言して他球団の動向に対して牽制をすることが出来たら、他球団も武内投手を指名しにくいという雰囲気が出来るのではないかと思い、仮想ドラフト開催2週間前という早い段階で1位入札の方針を決定し公言の流れを作りました。
これで武内投手を単独指名で狙っていた球団は少なくとも中日が競合相手になるため、同じ競合するリスクを背負うのであれば細野投手や常廣投手に行くのではないか、という流れを作ることが出来ました。こうした心理的なプレッシャーを掛けることで各球団陣営が武内投手から遠ざかるようなメンタルになれば公言効果はあると思い、今回はあえて入札指名の公言を行いました。
武内投手を1位入札指名選手に決めたもう1つの理由として、今シーズンのドラゴンズの戦い方を見て武内投手が必要なピースのように映ったからです。今シーズンはエースの大野投手が左肘の手術で1試合の登板に終わり、開幕投手を務めた小笠原投手は前半戦からチームを引っ張ってくれていましたが、後半戦は精彩を欠き失速しました。またベテランの松葉投手も今季は1勝止まりと本来の力を発揮したとは言い難く、ドラゴンズの先発左腕投手の勝利数は小笠原投手の7勝と松葉投手の1勝を合わせた8勝に留まりました。
少なくとも昨年は大野投手が8勝、小笠原投手が10勝、松葉投手が6勝、上田投手が1勝の25勝はあったので、1年で3分の1になってしまったのは寂しい限りです。それと同時に危機感を覚えており、左腕王国と呼ばれたドラゴンズとしても左腕投手を強化したいという気持ちは相当強いです。
幸い先発右腕に関してはルーキーの仲地投手が後半戦から1軍を経験して来シーズンへの期待を示していますし、トミージョン手術から復帰した梅津投手が復活の白星を挙げて来シーズンの本格復帰に明るい兆しが見えていますし、何より根尾投手が本格的に投手転向して1年目で先発適正をしっかり示してくれたことでここに柳投手、髙橋宏斗投手、涌井投手を加えて相当楽しみなラインナップとなっています。
左腕は高卒ルーキーの森山投手が怪我で戦線離脱してしまったこともあり来季のプラス成分が来シーズン4年目となる上田投手のみとなるため、来年に1軍で投げられる投手が必要と考え大学生左腕投手に照準を定めました。そこで細野投手と武内投手のどちらかで迷っていた時に1本の動画を目にすることになりました。
こちらの動画はサラリーマンスカウトさんのYoutubeにアップされている動画で、スポーツトレーナーで細野投手・武内投手の両投手を施術されている北川雄介氏とサラリーマンスカウトさんが対話形式でお互いの投手の特徴・将来性などについて語っている動画となっています。動画の内容については実際見てもらったほうが早いので内容については省略しますが、端的に言うと両者ともポテンシャルが高く早期にNPBで通用する能力がある一方でまだまだ可能性を感じ天井高く伸びしろを感じられる好投手ということをおっしゃっており、改めてどちらも魅力的な投手であると思いました。
ここからは私の主観が入りますが、仮想ドラフト前に東都大学野球秋季リーグ戦の開幕戦を見に松山坊っちゃんスタジアムに行ったときに武内投手の登板に立ち会うことが出来ました。松山ガンというバイアス込ではありますがストレートの球速帯が140後半を記録し最速153キロを投げていた武内投手の出力には非常に驚かされました。そして140前半の球速帯でツーシームの出し入れがしっかり制球されていた部分も驚き、来年から即戦力という面では細野投手より武内投手の方があるかもしれないと思いました。その時に上記の動画を拝見し比較的完成度高く評価されていた武内投手の伸びしろについて、メカニック面から期待値が高いと北川氏が評価している点を加味すると今回は武内投手で推したいと思うようになり、最終的にこの動画を中日陣営内に共有して武内投手の一本化を決めました。
単独指名を想定して公言をしたものの、必ずしも単独指名が出来るとは限らないため準備として外れ1位の想定も考えました。外れ1位とウェーバー13番目となる2位指名は野手との兼合いになるので、野手は後述で話をすることにしてここでは投手について想定したいと思います。
武内投手を外した際に外れ1位として指名を考えていた投手は中央大学の西舘勇陽投手です。これは中日陣営ほぼ満場一致で西舘投手を推していました。春のリーグ戦は不調で大学日本代表の選考からも漏れてしまい、さらには夏場には負傷もあって秋季リーグ戦の開幕戦では1戦目を回避し色々と心配されてましたが、青山学院大学戦の2戦目に先発し7回1失点10奪三振でドラ1候補の常廣投手に投げ勝って、一気に再評価されました。この青山学院大戦を見て西舘投手はやはり1位に相応しい投手だと思い、中日陣営内に武内投手を外したら是非西舘投手で行きたいと持ち掛けました。その後のリーグ戦でも好投を見せていたので、実際他球団が単独指名をする可能性はありましたが、初回入札の指名は無いという見立てが中日陣営の考えでした。
また2位に関しても野手との兼合いになりますが、ここでも力のある大学生投手が獲得出来たらと考えており、候補としては名城大学の岩井俊介投手と専修大学の西舘昂汰投手の2人でした。
岩井投手に関しては上記でも述べた中日陣営内での1位12人予想にて全員1位で一致した9選手の中に入っていたため、他球団の動向次第では外れ1位での指名がある可能性がありました。なので1位候補で考えつつ2位にスリップしてきたら必ず押さえたい投手という位置付けでリストアップしました。
岩井投手は6月の代表合宿で出力の高さをアピールして周囲を驚かせた所から始まり、代表投手の中でもストレートの回転数がトップクラスの数値を記録するなど投げているボールは本当に1級品であり、1イニングに限れば来シーズンから活躍が見込める投手だと思います。先発としても魅力を感じ、秋季リーグ戦の初戦では来年のドラフト候補である愛知工業大学の中村優斗投手との投げ合いを制し、7回無失点の好投でネット裏に集結した12球団のスカウトにアピールをしました。岩井投手に関しては先発・リリーフの両睨みが可能な所が非常に魅力的だと思いますし、愛知県出身という点も非常にアドバンテージだと考えました。
実際のドラフト会議では1位指名の可能性は大いにある投手だと思いますが、仮想ドラフトはどうしても野手比重が高く出てしまうイベント故にドラゴンズの2位に残る可能性は正直あると思いました。
専修大学の西舘投手も非常に力のある投手で正直1位で名前が呼ばれてもおかしくない投手ではあります。専修大学が2部に所属しているとはいえ東都の2部は地方大学リーグよりも高いと評判で、中央球界と遜色ないレベルだと思うので2部で奮闘している西舘投手は問題無いでしょう。
2位の指名が終わり次にドラゴンズが指名出来るのは折り返して3位の最後と4位の最初になります。その間に22人指名されることを考えると選手のリストアップはとても難しいものとなりました。2位~3位という評価の選手は8割方指名されることを想定して3位ギリギリのラインから4位以降という評価の選手をある程度ピックアップし、あとは当日に上位想定してた選手の漏れを確認することくらいしか対策が出来ない難しい順位でした。
7月の仮想では上位指名が予想された名城大学の松本凌人投手がドラゴンズ3位の36番目まで残っていたので、迷わず指名に行きました。松本投手は春のリーグ戦で不調だったことが響き、日本代表にも落選して評価は下降気味だったのもありますが、この順位まで残っていたことはある意味幸運でした。
3位4位で指名したい投手のジャンルとしては高校生の将来性あるスケール大きい投手、リリーフとして即戦力が期待出来る大学・社会人の投手でした。
前者の理由として高卒3年目の髙橋宏斗投手が今シーズンも規定投球回に到達するなど活躍している一方で髙橋投手以下の世代の投手が左腕の森山投手しか居ない現状を考えると、しっかりファームでイニング数を稼いでじっくり育てる投手が1枚欲しいと考え、3~5年後を見据えて素材型のスケール感ある投手をここで確保したいと思いました。
その候補として東海大菅生の日當直喜投手、幕張総合の早坂響投手、神村学園の黒木陽琉投手の3投手でした。日當投手は春のセンバツで好投し、一時は上位候補として名前が挙がることが多かったですが、夏は早々に敗退しその後故障も発覚したこともあり現在は評価を少し下げている印象があります。しかしプロ志望届を提出しているのでプロへの願望は強いという見立てをしており、この順位で残っていたら是非指名したい投手でした。
早坂投手は投手転向1年以内ながら春以降急激に評価を上げた投手で、千葉県大会5回戦で敗れてしまったものの、プロ注目の専大松戸・平野大地投手との投げ合いは非常に見応えがありました。この投手の伸びしろを考えてもこの順位で指名する価値はある投手だと思いました。
黒木投手は夏の甲子園で一気に評価を上げた投手でした。実際私も甲子園で黒木投手を見たのですが、マウンドへの立ち姿や角度あるフォームから投げるストレートはとても強かったです。特に印象的だったのは縦割れのカーブがネット裏から見てもはっきり目視出来るレベルで、正直高校生では攻略はかなり至難の球でした。
実際の投球を見たこともあり個人的には黒木投手を強く推薦しましたが、中日陣営内では日當投手が人気ある印象でした。この部分に関しては実際の仮想ドラフト進行中に決まるのかなと想定されます。 後者の理由としては今シーズンのリリーフ陣の疲弊を考慮すると来シーズンから投げられる投手が最低でも1人以上は必要と考えており、この順位でもまだまだ力のある大学生投手は残る可能性があると思ったからであります。先述の松本投手に加えて平成国際大学の冨士隼斗投手が指名の候補として名前が挙がりました。
冨士投手もストレートの威力は強く、160キロを投げても不思議ではない投手ですが、冨士投手も故障の影響で秋のリーグ戦では本調子ではないので評価自体は下降気味だと考えこの順位でも指名出来る可能性があると想定しました。
また下位指名でも力ある投手が指名出来たらと考え高校生では愛産大工業の天野京介投手、大学生投手では中京学院大学の赤塚健利投手、社会人では王子の髙島泰都投手、そして独立リーグから徳島インディゴソックスの椎葉剛投手ら球に力がある投手が残っていたら是非指名したいという全体感を陣営内で共有しました。
2-2 指名戦略(野手編)
投手編で入札1位を国学院大学の武内投手に一本化したためここを動かすことは出来ませんが、投手事情が苦しいながらも今シーズンも得点力不足に悩まされたことを考慮すると打てる野手が欲しいという声が多く挙がることも無視することは出来ません。それは中日陣営内でもそのような声を挙げる人が居たこともあり一定数の理解を示していたため、今回は上位で1人指名しようという流れを作ることとなりました。
想定される指名シチュエーションは外れ1位もしくは2位の部分です。ここでは競合が確実視される花巻東の佐々木麟太郎選手や単独指名が予想されるENEOSの度会隆輝選手が残る可能性は限りなく低いため、他の選手を想定します。
外れ1位の部分では明治大学の上田希由翔選手と広陵の真鍋慧選手が候補として挙げられました。2人とも左のスラッガーとして今年のドラフトでは需要があり、7月の仮想ドラフトでは佐々木選手を指名すると思われた東北楽天が真鍋選手を単独指名、佐々木選手を外した球団で上田選手が外れ1位で競合するなどこの2人も需要が高く見込まれ、指名のハードルが高いと思われました。
武内投手を抽選で外した際に2人の左スラッガーを外れ1位で指名するか、投手の外れ1位候補としてリストアップした中央大学の西舘投手を外れ1位で指名するか、ここの方向性を中日陣営内で話し合った結果明治大学の上田選手が1番人気があったため、外れ1位に関しては上田選手に一本化しました。
武内投手を一本釣りに成功もしくは抽選で引き当てた場合は2位指名の段階で上田選手、真鍋選手の両選手のどちらかを指名したいと考えていましたが、上記のように仮想ドラフトでは野手人気が高まる傾向があるためこの2人は残らないのではないか、という意見が中日陣営内でも多く挙がりました。
そこで野手の2位として左のスラッガーとまでは言わないものの左の強打者候補として上田西の横山聖哉選手をリストアップしました。正直ドラゴンズの補強ポイントとズレてるような選手に感じますが、横山選手の可能性を高く評価し2位指名の候補に決めました。
ドラゴンズは昨年二遊間選手を支配下で3選手指名し、高卒3年目の龍空選手も1軍で経験をしていることもあり近年でしっかり補強が出来ているポジションのように思えますが、龍空選手や村松選手、福永選手が1軍で出場機会を与えられ田中幹也選手は故障で戦線離脱している影響がありファームで二遊間、特に遊撃手を固定出来ていない現状があります。本来なら1軍で根尾選手や京田選手がショートを守り、ファームで龍空選手が試合経験を積むという構図が理想でしたが、根尾選手は投手に転向し京田選手はトレードでDeNAに移籍し龍空選手が1軍で起用され続けてファームのショートが空洞化してしまった印象があります。そこで横山選手を獲得することで固定されていないファームのショートとして打席数を与えることが出来、将来的に1軍のコア選手へと成長が見込まれる横山選手はドラゴンズに必要なピースと考えました。
特に横山選手のストロングポイントは肩の強さであり、まずはしっかりショートとして育成しいざ1軍というタイミングでショートに龍空選手や田中幹也選手がレギュラーに君臨していたら、横山選手がサードに行くのも面白い選択肢だと思います。今シーズンのサード事情は主に石川昂弥選手が守っていましたが、石川選手は膝の故障からの復帰シーズンということもあり少し動きが固い1年でした。来シーズン以降はどうなるか分かりませんが、石川選手のファーストコンバートという選択肢が今後考えられることを想定すると肩の強さで光るものがある横山選手は非常に魅力的です。
また打線を形成する上で左打者は岡林勇希選手や大島洋平選手などリードオフを務める選手が多く、ランナーを返すクリーンアップには細川成也選手や石川選手など右打者が多いことからクリーンアップに左打者を組み込むことで非常に強固な打線が形成できることを考えると、そこに横山選手がハマればかなり面白いのではと思いました。
あとは横山選手が1位で指名されないことを想定するだけですが、昨年のイヒネ選手のように高校生ショートが1位で指名されるケースが無いとは言い切れませんので、そこの部分でもう少し話を詰める必要があると思いシミュレーションをしてみました。
1位の入札の部分で競合が予想されるのは細野投手・常廣投手・佐々木選手の3選手とU-18で再評価されつつある大阪桐蔭の前田悠伍投手と想定し、ここでは佐々木選手は3球団が競合されると予想しました。
佐々木選手を外したチームは真鍋選手もしくは上田選手に行くことが想定されますが、仮に埼玉西武が佐々木選手を外し上田選手を取れなかった時に横山選手に行くことが想定されるかと言われると正直考えにくく、左を諦めて右のスラッガーである慶應大学の廣瀬隆太選手や鹿児島城西の明瀬諒介選手もしくは大学生投手に行くことが想定されます。
東北楽天は若干可能性があると思いますが、2度外したら今年の市場を考えると残っている大学生投手に行く可能性のが高いと思われます。阪神も埼玉西武同様に2度外したら右のスラッガーもしくは大学生投手に行くことが想定されます。
そもそも3球団競合ということで1球団は佐々木選手を獲得出来ることを考えると、外した2球団が2球団とも左のスラッガーを再指名するかは微妙な所であり、スラッガー候補ではない横山選手は少なくとも1位で指名されることはないと考えました。
あくまで想定の話ではありますが、ドラゴンズの13番目指名の時点で横山選手は残っている可能性は高く、残っていたら是が非でも獲得したいという意見で最終的にまとまりました。
上振れの想定として1位で武内投手、2位で横山選手を獲得出来た場合は3位4位の部分は投手を2人獲得したいと流れを考えていますが、もし横山選手を獲得出来なかった場合は3位4位のどちらかで左打者を獲得したいという意見が出ました。そこでリストアップしたのは九州国際大付属の佐倉侠志朗選手と京都翔英の小笠原蒼選手でした。しかし今回は横山選手がほぼほぼ獲得出来ると想定していたので、この部分はこの2人以外の想定はしませんでした。
上位中位の4枠で投手3野手1の割合で獲得することが理想的であり、そうなると下位3枠に関しては投手1野手2もしくは投手2野手1の割合がバランス的にまとまりが良い気がしました。そこで野手を2人獲得するケースとして補強ポイントと照らし合わせてみると捕手と二遊間を1人ずつ取るのが理想的でした。
捕手に関しては下位での指名を考えていたので上武大学の進藤勇也選手や報徳学園の堀柊那選手の獲得は難しいと考え、下位でも指名出来そうな選手をリストアップしました。と言ってもドラゴンズは2年連続で高校生捕手を獲得しているためここでは大学・社会人をリストアップし、西濃運輸の城野達哉選手や流通経済大学の萩原義輝選手などの名前が挙がりましたが、関西大学の有馬諒選手を推す声が中日陣営内で多く挙がったこともあり、下位指名の捕手は有馬選手を優先順位1番として決めました。
ドラゴンズの捕手プロスペクトには石橋選手が居ますが、近代野球では1人の捕手で勝ち上がることは容易ではなく優勝した阪神タイガースのように梅野隆太郎選手・坂本誠志郎選手の2人体制が理想とされます。有馬選手が加わり石橋選手と有馬選手でドラゴンズ版の梅野・坂本体制のような関係性を築けたらというビジョンが中日陣営の中にあったのかもしれません。有馬選手のようたタイプの捕手はドラゴンズには居ないため、面白い化学反応があることが期待されます。
二遊間に関して今回の仮想ドラフトでは優先度を下げていたのも2位で横山選手を獲得する算段があったので、仮に2位で横山選手を獲得出来なかった場合は7位の部分で社会人ショートを獲得を検討したいという程度で留めました。候補としてはNTT西日本の泉口友汰選手、ヤマハの相羽寛太選手、日本新薬の武田登生選手の名前が挙がり、他にもホンダ鈴鹿の中川拓紀選手や三菱重工Eastの津田啓史選手もリストアップしました。
以上の検討事項をすべて集約すると下記のような指名パターンが想定されます。
3.結果
単刀直入に言います、仮想ドラフトは本当に難しかったです。ここまで尽く想定していた手を阻止されたケースは想像していなかったので、会議中とても頭を悩ませました。
まず1位入札指名の部分ですが、国学院大学の武内投手の公言をしたことで他球団を牽制することに成功し、単独指名が通るというビジョンが早くも崩れ去りました。
ソフトバンクは近年のスケール感ある高校生ではなく今年は堅実に即戦力投手に来る所は想定しており、青山学院大学の常廣投手か東洋大学の細野投手に入札すると考えてました。しかしよく考えてみると武内投手は福岡の八幡南高校出身の生粋の九州人な点とソフトバンク投手陣の左腕事情を考えると武内投手はピンズドの投手でした。ソフトバンクは現役最年長の和田毅投手がローテーションを張ってるなど和田投手以降の左腕投手がなかなか育っていないことを考慮すると武内投手の入札は必然的だったのかもしれません。それに8月にはソフトバンク三軍と国学院大学の練習試合で武内投手が好投したというニュースも頭には入れてたので、勝手に公言バイアスを掛けてたのは中日陣営側だったかもしれません。
これで分かったことは武内投手は競合覚悟でも入札に行きたいと思える投手まで評価が上がってきたということでしょうか。そこに関しては中日陣営としても見誤った判断だったかもしれません。本番のドラフトでは公言による牽制は効果があるのかもしれませんが、今回の仮想ドラフトでは公言効果による一本釣り計画は不発に終わりました。残念ながら抽選では外れてしまったので、今回は武内投手を獲得することは出来ませんでした。よって再度1位指名選手を決める外れ1位の選定に入りました。
ここでさらなるサプライズがありました。なんと1位入札指名の段階で東洋大学の細野投手への指名が1球団もありませんでした。これに関しては流石に予想することは不可能でしょう、これを想定出来た人は仮想ドラフト参加者の中に居たのでしょうか、そんなレベルの出来事が発生したと言っても過言ではありません。仮想ドラフト前に外れ1位についてのシミュレーションを重ねていましたが、武内投手を外してもなお細野投手が残ってるのであればシミュレーション度外視で何よりも最優先して入札するべきでは、という声が多くありましたので、外れ1位は細野投手で行くことになりました。
外れ1位で細野投手に入札したのは中日、西武、阪神の3球団でした。抽選の結果我々中日陣営が細野投手獲得となりました。実際のドラフトでもこのようなケースは発生するかもしれませんが、想定していなかったことが起こったのでここまで驚きを隠せませんでした。改めて外れ1位で細野投手を獲得出来たのは本当に大きかったですし、武内投手と同等の評価をしていた細野投手が取れたのでこれ以降の指名はプラン通りに進めることが出来ると想定されました。
しかしその後抽選を2度外したオリックスが中日陣営2位指名候補としてリストアップしていた上田西の横山選手を指名し、中日陣営内に衝撃が走りました。まさかオリックスが横山選手を指名するとは全く想定していなかったのと、この時点で左の強打者候補として名前を挙げていた明治大学の上田選手、広陵の真鍋選手が指名されていたので2位指名で考えていた左の強打者がリストから居なくなってしまいました。
これには相当頭を抱えましたが、ここで中日陣営としては1位で指名の無かった実力ある大学生投手で1番欲しい投手を指名しようという意見でまとまりました。そして2位指名では名城大学の岩井投手を指名しました。
ここまで想定していた流れにはならなかったものの、抽選を1度外してもなお1位細野投手2位岩井投手という大学生の左右の実力派を確保出来たのは非常に良かったと思います。細野投手は競合を確実視されていた投手であり、岩井投手も1位で指名があるのではと想定されていた投手だったので、この2人が指名出来たここまでの流れは万々歳だったのではないかと思われます。
次の3位指名は間に22人指名されるのもあり、流れを読みながら時間をゆっくり掛けられるタームとなりました。2位指名・3位指名と次々に指名されていく中、中日陣営が指名を考えていた神村学園の黒木投手が東北楽天の3位で指名され、名城大学の松本投手が埼玉西武の3位で指名されるなど前もって想定していた投手が相次いで指名され非常に焦っていました。
そこで上位で左の強打者を確保出来なかったことを考慮して3位指名の所で九州国際大付属の佐倉選手を指名しましょうという意見が陣営内から出たこともあり、熟考の結果3位で佐倉選手を指名すること決めました。しかし直前で北海道日本ハムに佐倉選手を指名され、中日陣営内に悲鳴が鳴り響きました。
ここまで想定していた選手を取られると少しパニック状態になっており、一旦4位指名予定だった東海大菅生の日當投手を3位で指名して長考の時間を貰うことになりました。
左の強打者をこの時点で指名していなかったこともあり最初に指名候補として名前が挙がったのは京都翔英の小笠原選手でした。しかし小笠原選手を4位で指名というのは前回の7月と同じになるので、どちらかというと前回と指名選手の傾向を変えたいというのが今回の仮想ドラフトのコンセプトの1つだったので、中日陣営内では小笠原選手の指名はあまり前向きではありませんでした。本番なら小笠原選手という選択肢は大いにあると思います。
次に私が提唱したのは即戦力投手の指名でした。ここまで欲しい選手が取られてしまってちょっと野手を取りに行くという選択肢を消しに行こうとしていました。まだ指名されていない即戦力投手として平成国際大学の冨士投手の指名を進言しましたが、あまり賛同は得られませんでした。個人的には投手を上位4枠で指名して、今年のドラゴンズは投手陣を強化するという明確なビジョンを示すことでドラフト戦略の意図を受け取ってもらいやすいのかなという考えがあったので、インパクトも残せるということで大学生投手の指名を進言しましたが、どうしても野手が欲しいという意見が多かったためその意見を無視することは出来ず、結果的に白羽の矢が立ったのが沖縄尚学の仲田侑仁選手でした。
高校野球界を代表するスラッガーの仲田選手を指名することは非常に面白いと思いましたが、仮想ドラフト前の打ち合わせでは強打者は左打者で行くという部分で右の仲田選手は全く想定して居なかったこともあり最初は懐疑的に思っていました。しかし高校生スラッガーという順調に育っても3~5年は時間を要するジャンルの選手ということもあり、ファームで適任不在のホットコーナーをメインとする長距離砲は左右に限らずじっくり育てるのも悪くないという見解がありましたので、このタイミングで仲田選手を指名しました。仲田選手に関してはここで指名しないと次の順番まで待つ間に他球団が指名することが想定されたので、行くならここしかないと思い指名を決断しました。
そして次の5位指名まで22人待ちとなり、ここでも指名を検討していた選手が多く指名されました。愛産大工業の天野投手、王子の髙島投手、中京学院大学の赤塚投手など東海地区にゆかりのある選手はこのタイミングでリストから消えてしまいました。そして5位の指名候補として挙げていた捕手に関してもここで動きがあり、埼玉西武の5位指名で西濃運輸の城野選手が指名されました。城野選手も指名候補の選手ではありましたが、中日陣営は関西大学の有馬選手を優先順位の上位としていましたのでその動向を静かに待っていました。
結果的に有馬選手は中日5位指名まで残っていたため、5位は有馬選手を指名しました。そして6位指名で検討していた投手はいずれも指名されてしまったことを考慮して、7位指名で検討していた独立リーグの徳島インディゴソックスの椎葉投手を6位で繰り上げて指名しました。
残すは7位指名となり、ここで時間が取れることもあって一度指名した選手を振り返りました。ここまで6選手の指名のうち、投手4名・野手2名で投手4名が高校生1名・大学生2名・独立1名、野手2名が高校生内野手1名と大学生捕手1名の内訳でした。指名戦略としては2位の部分で二遊間候補であり左の強打者候補である横山選手の指名を逃してしまったことが尾を引き、4位の部分で左右の違いはあれど高校生スラッガーを確保し、残すは二遊間選手となっていました。
順当に考えれば二遊間選手の候補としては社会人選手になりますが、6位指名終了の時点で三菱重工Eastの津田選手とヤマハの相羽選手は既に他球団に指名されてしまったので、候補としてはNTT西日本の泉口選手と日本新薬の武田選手の2択となりました。ここで中日陣営内でアンケートを取ったところ、泉口選手の人気が高かったため1度は泉口選手を7位指名選手として決定しました。
しかしここで4位の部分で左のスラッガーではなく右の仲田選手を獲得したことに関して懸念を抱き、左打ちのスラッガー選手は1名欲しいという意見が出てきました。と言ってもこの順位でスラッガー候補と呼べる選手は残っておらず、順当に二遊間候補として泉口選手を獲得するのが無難なのではと思った矢先に、事前に作ったリストの隅の方にある選手の名前を発見しました。それが太成学院大学の田中大聖選手でした。
田中選手は近畿学生野球連盟2部に所属する選手でありながら度々プロのスカウトから評判を聞く二刀流の選手で、中日スカウト陣も視察コメントを残していることもあり田中選手の指名は非常に面白いと思いました。特に動画で見る田中選手のスイングにとても魅力を感じましたし、今秋にリーグ戦でもしっかり数字を残している(仮想ドラフト当日時点では打率.667の好成績)こともあり泉口選手か田中選手で非常に迷いました。
悩みに悩みましたが、投げては最速153キロの速球に魅力的なスイングを生かした豪快な打撃が売りの田中選手の伸びしろに期待を込めて中日陣営の7位指名は田中選手の名前を読み上げさせていただきました。
4.まとめ
長々とにわかアマチュア野球ファンの長文感想にお付き合いくださりありがとうございました。7月回と9月回の2回の仮想ドラフトをやってみて今年のドラゴンズのドラフト展望がある程度読めたような気がします。
7月回の振り返りnoteにも少し書かせていただきましたが、ドラフトというのは翌年の戦力補強にだけ目を向けるのではなくチームの将来を中長期的に見てビジョンを描くのが理想的とされており、今年に限らず来年のドラフトについてもある程度頭に入れた状態で今年のドラフトに挑めるのがベストとされます。
来年のドラフトは明治大学の宗山塁選手を始め高校生にも大型ショートが控えていることもあるので、ドラゴンズが宗山選手を本気で狙いに行くのであれば今年二遊間候補の選手を無理に獲得する必要は無いと思われます。宗山選手は鳥谷敬氏以来の大学生の超超超目玉ショートの選手であり、獲得出来れば向こう10年ショートに困ることはありません。宗山選手が競合しないという世界線はあり得ないので、仮に抽選で外したケースを考慮しても桐光学園の森駿太選手や花咲徳栄の石塚裕惺選手などの高校生ショートも魅力的であり、個人的には無理をして取りに行く必要は無いような気がします。現有戦力に田中幹也選手の復帰が後押ししてくるのであれば戦える二遊間ではると思います。ファームで打席数を与えても良いと言えるコアの内野手が少ないので、その部分について今年のドラフトで指名があっても良いとは思います。
捕手についても来年は中部大学の清水智裕選手や早稲田大学の印出太一選手など東海地区に縁のある実力派の捕手が控えており、特に印出選手はドラゴンズの髙橋宏斗投手と中京大中京時代バッテリーを組んでいた元チームメイトであり、今度はドラゴンズのユニフォームを着て中京バッテリー再結成を期待しているファンをきっと多いはずです。というのが7月までの構想でしたが、木下拓哉選手の国内FA権取得が24年オフに迫っていることを考えるとFA年のオフにドラフトで補強するのは1年遅い気がしますので、今年捕手を1人確保して1年間プロの世界に浸けて慣れさせる時間が必要と考えています。なので捕手に関しては今年指名出来たら理想だと思っています。
投手は来年も今年並みに豊作の感じがしますし、ドラゴンズ的にも今年来年で投手は合計7名くらい指名出来たら理想だと思います。それくらい今後のことを考えると投手の補強は緊急性があると考えています。
左の強打者は今年ほど市場で名前が挙がっておらず、どちらかと言うと青山学院大学の西川史礁選手や大阪商業大学の渡部聖弥選手など右の長距離砲の名前を聞くのでこのジャンルに関しては今年指名するのがベストかもしれません。しかし2度の仮想ドラフトでここの需要はかなり高いことが証明されており、1位枠をプロスペクト投手で行くと確保出来ない可能性があるのでこの辺はしっかり吟味して入念な指名戦略を立てる必要があると思われます。
以上が今年の補強ポイントと来年のドラフトとの照合部分でした。やはり今年のドラゴンズはプロスペクト投手と左の強打者の2枚抜き、これが成功するかどうかでドラフトの評価が左右するような気がします。2年連続セ・リーグ最下位となってしまったことはとても悲しい出来事ですが、今後ドラゴンズが浮上し数年後優勝が狙えるチームに成長するためにも今年・来年のドラフトは失敗が許されません。特にウェーバー順13番目を確保した今年のドラフトはどの球団よりも優位に上位指名戦略を進められるアドバンテージを持っているので、確実に有力選手を確保出来る指名戦略は必要だと思います。そのための(ファン目線の)道しるべを2度の仮想ドラフトで示せていたらいいなと思います。
本当に長い文章だと思います。気力を持って最後まで読んでくださった方本当にありがとうございました。今回の指名の感想等ある方は9月仮想ドラフトの動画内のコメント欄で書き込んでください。恐る恐るコメントを見てみたいと思いますので。
5.延長戦
動画をご覧になった方はお気づきですが、9月の仮想ドラフトでは司会のサラリーマンスカウトさんに加えてスポーツライターの西尾典文氏が解説者として出演されており、動画内でも触れているように実質ス○イAのような動画となっております。西尾さん、運営チームのもこもこパンダさん、動画編集のたかきさん、仮想ドラフト参加者の皆さん、そして主催のサラリーマンスカウトさんのおかげでこのような夢の企画に携わることが出来てとても嬉しく思います。(7月回では読み上げ担当を務めていましたが、9月回は別の方に担当してもらいましたので今回声の出演はございません。中日陣営はマイクトラブルが発生したためスポット的に出演している可能性はあります)
解説者として出演されていた西尾さんが後日9月の仮想ドラフトについて、各球団の指名を評価する企画をサラリーマンスカウトさんのYoutube内に動画としてアップされていますので、本編をご覧になった方はこちらも是非ご覧ください。ドラゴンズについても西尾さんが少し触れています。よろしくお願いします。
また今回データの参照は下記のスポナビさんより引用させていただいております。