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標高1150mのキャンプ場/宿泊施設「WASAMATA HUTTE」のロゴシンボルデザイン。


紀伊山地(奈良〜三重〜和歌山あたり)を縦断する大峰山脈と台高山脈に囲まれた、標高1150mにあるキャンプ場兼山小屋宿泊施設「WASAMATA HUTTE 和佐又ヒュッテ」。

どのような、歴史を辿りキャンプ場になったのか。なぜ、この施設のシンボルが凸凹とラフな線で作られているのか。今回はそのお話を少しさせてください。

勝山浩二 Coji Katsuyama | monodachi

合同会社オフィスキャンプ デザイナー/アートディレクター。1986年生まれ、大阪市出身。グラフィックを軸にした広告デザインやWEB、プロダクト、ブランディングなどを手がける。地域プロジェクトや企業ブランディングなどを手がけるデザイン事務所を経て、現在は奈良県奥大和地域にフィールドを移しローカルデザイナーとして活動。木材産地で地域にねむる林業や木工産業、農業、地域に関わる起業家たちと共にプロジェクトを進行中。




四季の変化が美しい大自然に囲まれたロケーションは、キャンパーはもちろん、大峰山脈への登山の拠点として多くの登山者にも愛用された山小屋でもありました。惜しまれながら2019年に閉館した施設が、4年の時を経て2023年10月に新たに生まれ変わりました。

旧 上北山村休養休憩施設
WASAMATA HUTTE 和佐又ヒュッテ

昨今のキャンプやアウトドアブーム、それに大小様々な民間の施設ができ、さらには行政の施策も合間って、日本全国至るところにキャンプ施設がたくさんできました。

このキャンプ場は、他の施設とは少し属性が異なります。キャンプ場なのですが、元々は登山をされる方たちのための山小屋です。つまり、交通アクセスとしては少し不便で、でも手付かずの自然が残っていて、自然と人間との距離が近い。

数多ある施設との違いは何なのか?和佐又ならではのアイデンティティは何か?模索することで生まれたコンセプトが「ありのままの自然を残す」というワード。(たしか、提案当初は、粗野な自然を残す という言葉だった…)

和佐又山の自然に触れることで、自然のありがたさや尊さを感じて欲しい。「ありのままの自然を残す」というコンセプトを体現すべく、和佐又ヒュッテのデザインで大切にする以下の3つのことを定めました。

  1. 山に在る自然のものを使う

  2. 山の景観を崩さない

  3. 風土を伝える


山に在る自然のものを使う


落葉した葉っぱや、腐って落ちた枝、木の実、石や鉱物、そんな山に在る自然のものだけを使って、この山に似合うデザインを考えていくことはできないかと模索します。


山の景観をくずさない


サインや看板の目的は、もちろん、視認され、認知され、集客につながることですが、和佐又ヒュッテの看板はそれだけでいてはいけないと考えます。

主役はキャンプ場や宿泊棟などの施設ではなく、息を呑むほどの広大な山の景観や、豊かな四季折々の植物や、山に生きる鳥や動物たちなのです。
「ありのままの自然」に逆らうことなく、それらを邪魔せずに、風景を守り、自然に溶け込むことのできるデザインが必要です。


風土を伝える


この場所は、谷山の起伏が激しい和佐又山の中腹。
さらに、
Wasamataの「W」であり、又(谷)のカタチ。
wasaMataの「M」であり、山のカタチ。
というアイデンティティを見つけることができました。


落枝を拾い集め、みんなで組み合わせて作ったロゴマーク


これら3つのことを踏襲してできあがったのが、このロゴマークです。

じつは、このマークは、本当に敷地内にある落枝を拾い集め、メンバーみんなで組み合わせて作ったロゴマークです。太い枝や細い枝、長い枝や短い枝、それぞれのバランスを確かめながら、様々な樹種を確かめながら、「あーでもない、こーでもない」と言いながら作りました。

それゆえに、誰にでも描けるようなマークになりました。

キャンプサイトに泊まっている時に、焚きつけ用に拾ってきた枝でふと作っちゃえるような。
子供と一緒に枝拾いしながら作っちゃえるような。
敷地内にこんな枝がたくさん挿さっているシーンを想像するとニヤニヤが止まりません。えへっえへっえへっ

それでは、今回はこのあたりで。ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。また機会があれば他の記事も読んでください。




Client: Kamikitayama Village
Art director, Designer: Coji Katsuyama
Creative director: Daisuke Sakamoto
Creative Agency: Office Camp llc.

https://wasamata-hutte.com/

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