グローバルサウスの盟主はどっちになる? 「途上国ニュースの深読みゼミ」のみんなで考えたこと
1本の記事を2時間かけて、疑問点を考え、それをネットで調べ、自由に意見を言い合う「途上国ニュースの深読みゼミ」の第5期(3月期、全4回)が今週、終わりました。今期も「ニュースの本当の楽しさがわかった」「読み方がわかったら、見える世界が変わった」「意見交換がおもしろい」といった感想をいただきました。
最後に取り上げた1本は、「グローバルサウスの盟主を中国とインドが争う」という、途上国ウォッチャーにとっては気になって仕方のないトピック。参考の記事を読み、受講者らは「気になったこと」を調べ、シェアし、自分なりの見方・考えを言い合いました。
最終日の内容をかいつまんで説明すると、下のような感じです。
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ここ10年の中国の動きをみると、目立つのはなんといっても「一帯一路」(BRI)。言い換えれば、途上国に対する巨額のインフラ投資。米国がある意味“途上国を軽視”(価値観を押し付けたい)してきたこともあって、その間隙を縫うかたちで中国は、アジア・中東はもとより、アフリカ、ラテンアメリカにも一帯一路を広げてきました。そのエリアはいまや、米国を取り囲んでいます。
さらに最近目立つのは、中国が国際紛争解決の「仲裁者」を目指す動き。ウクライナとロシアしかり、サウジアラビアとイランしかり、さらにはミャンマー国軍とその周辺国・国内勢力まで。その影響力はすさまじいです。
これ以外にも、中国語や中国文化の普及を目指して中国政府が国外に開設する「孔子学院」の拠点数(162カ国以上!)、新華社通信の海外支局の数(200カ所!)ともに驚異のレベル。中国のイメージを変えようとプロパガンダの役割を担っています。
ハードパワーだけでなく、ソフトパワーにも抜かりのない中国。いや、シャープパワー(他国に対して世論を操作するなどして、自国に有利な状態を作り出す外交戦略)か。いずれにしろ、その大きな資金源のひとつは貿易黒字です(特に対米)。
対するインドはどうか。インドの強みは「世界最大の民主主義国家」であること。要するに、西側の価値観が共有できるという点。途上国にとってはインド側につけば西側諸国の支援(たとえば世銀からとか)を受けられやすいことを意味します。
ただ現時点ではインドそのものには中国に対抗するほどのパワーはありません。人口こそ中国を上回りましたが、経済力は到底太刀打ちできないレベル。モディ首相も「メイク・イン・インディア」という製造業を振興させる戦略を打ち出していますが、まだまだこれからです。
ですが、将来の展望はインドのほうが明るいかもしれません。なぜなら、高齢化がもはや深刻な問題となった中国とは異なり、インドは国民の平均年齢が28歳と若い。人口ピラミッドもきれいな二等辺三角形になっています。人口ボーナスを将来享受して経済力を高めていく可能性は大です。中国のパワーを支える経済力に陰りがくるかもしれません。
いずれにしろ、こんなふうに考えると、中国とインドの争いは、旧東側諸国と西側諸国の代理戦争のようです。別の言い方をすれば、南北が対立する構図ではなく、力をつけてきたグローバルサウス(途上国)の奪い合い。
いかがでしたか? 興味がわきましたか?
こんな感じのプログラムが「途上国ニュースの深読みゼミ」です。唯一無二の内容。ニュースを読むのがおもしろくなります。世界の見方が変わります。
4月に第6期を開講します。締め切りはあす3月30日。オンラインですので、地球のどこからでも参加できます。詳しくは下まで。
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