高島屋のケーキ問題にみる「途上国から学べること」
途上国を専門とするNPOメディアのganasは昨晩、途上国を取材し、記事を書き、それを発信するプログラム『Global Media Camp(GMC)』のオンライン説明会を開きました。
そこで参加者のひとりから「途上国から学べることは何だと思うか?」という趣旨の質問をいただきました。ganas編集長が担当するあまたの講座のなかではこの手の話も時々するのですが、この機会にこちらでもganasの考えをシェアします。
ganasサポーターズクラブのキャッチフレーズは「途上国を盛り上げ、途上国から学ぶコミュニティ」です。お気づきのように、「途上国から学ぶ」という文言が入っています。
響きが良いから入れたのか? なんとなくウケそうだから入れたのか? いずれも違います。
ganas編集長は本当に、途上国から学べることは山ほどある、と身をもって体験してきました。きのうのGMC説明会でお話した内容を少し膨らませて下でご説明します(この話になると、具体例を挙げられない人が少なくないのはなぜでしょう)。
たとえば、いま話題の「高島屋のクリスマスケーキが崩れていた」という件。ケーキを心待ちしていた人にとっては非常に残念だったと思いますし、こういうことはないほうが良いのは言うに及びません。ですが、こういうことがひんぱんに起きるのが途上国です。
もちろん、箱を開けた瞬間にケーキが潰れていたら驚くし、がっかりするし、ムカつくことでしょう。ではその怒りを業者にぶつけたところでどうなるのか? 解決できるのか? たいていはできませんよね。
そこで学べるのが途上国での経験、発想の転換です。思考を後ろ向きから「前向き」に変える。言い換えれば、クレーム(文句)をつけるのではなく、いわば諦めて、この後どうすればいいのかを考える。
ケーキは幸いにして食べられます。味は変わらないので、「潰れちゃったね」とこれをネタにみんなで盛り上がってもいいですし、またみんなでオリジナルのデコレーションを施してもいいかもしれません。楽しそうですね!
さらに、クリスマスを祝える人もいるけれど、そうした人たちの幸せを下支えする人たちもいる現実を踏まえて「クリスマスだし、許してあげようね」といったお話を家族やカップルでするのも悪くないですよね。心がポカポカしてきます。(親の/恋人としての)器の見せどころ!?
どうしてもきれいなケーキを食べたかったら、どこかのお店で買い直せば良い気がします。高島屋の高級ケーキを買える人はそもそもお金に余裕のある人が大半ではないでしょうか。このほうが気分もすっきり。他人は変えられないけれど、自分(の行動)は変えられます。
ただ例外として、心から気の毒に感じてしまうのは、苦しい生活を送る人が、高島屋のケーキが大好きだった誰か(たとえば病弱の母とか)にどうしても食べさせたくて、なけなしのお金をはたいて購入したケース。この場合は、いたたまれない気持ちになります。
これ以外にも、途上国から学べることは本当に山ほどあります。上の例はほんの一部。また思考の面だけではなく、生活を楽しくしてくれる面もあります! この話をすると長くなるので、次回また。
*ちなみに上の写真は、バニラのアイスクリームにメキシコの調味料タヒン(中身はチリ、塩、乾燥ライム)をかけたもの。絶品。これも途上国から学べることのひとつ。この食べ方、このおいしさが人生を楽しく豊かにしてくれます!
というわけで今年もあと4日ですね。フォロワーの皆さま、良いお年を!
▽昨晩のGlobal Media Camp(GMC)のオンライン説明会の録画をシェアします。
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