【ごきげん人研究】018 ドロシー その5
航空会社の搭乗員が、さらに1時間遅れるとアナウンスしました。ドロシーは唸ります。
スワミは、バガヴァッド・ギーターにこう書かれていると伝えました。我々の思考、言葉、行動は、至高主への奉仕の精神で行われ、かつ他の魂の共感をもって行われるとき、カルマの法則を超える、と。
『実際、ほんの少しの奉仕で、カルマの生涯から逃れることができます。奉仕は、神の愛の種を心のうちに育てます。聖書が言う通り、神の国は心の内にあります。』
その時、ドロシーは激しく咳き込みました。スワミは近くの店に駆けて行き水のボトルを買ってきてドロシーに与えました。
『私の状況では、神の必要性を感じるべきと仰りたいのね。この水のように。でも私にはまだ時間が必要だわ。瞑想は役に立つかしら?』
瞑想には沢山の種類がありますが、スワミは、『マントラ瞑想』を選びました。『マントラ』とは、サンスクリット語で、心を不安から解放する音の振動を意味します。
『鏡を考えてみてください。鏡は、覗き見た時に完璧にあなたのイメージを映し出すものとして作られています。でも埃だらけだと、イメージは曇ったり歪んだり、全然見えなかったりします。心も鏡のようなものです。我々は何年もかけて、心を誤認識、欲望、怖れという埃まみれにすることを許しています。これらは、我々が何者かについての誤った感覚、偽のエゴです。我々が心の中の鏡を見るとき、主に埃を見ています。
マントラ瞑想は、心の鏡をクリーンにして、我々自身の本当の姿を見れるようにしてくれます。心がクリーンになると、誤認識の霧は晴れ、魂の本質が浮かび上がってきます。我々が生来持っている愛を感じるようになります。そして、全ての存在は我々の兄弟姉妹であると認識します。みんな神と結びついているから。』
スピーカーからアナウンスが流れ、なお1時間の遅れを予想しております、と。
ドロシーは額に手を当てて、『お願い、マントラを教えてください。』とスワミに頼みました。
次に続く〜