機械加工の種類:その1 鍛造と鋳造

自動車から工場の機械設備、また家庭にある身近な金属から成る製品は原料である「鉄鉱石」などを加工して製品化しています。
プラスチック製品の場合、樹脂原料を熱で溶かして「押出成形」や「射出成型」「真空成型」などの工法によって多くの製品が出来上がりますが、それらの加工を行う機械装置は多くの加工手順を得て完成品となります。

 今回は、それら多くの機械加工の中でももっとも古くから行われている
「鍛造」と「鋳造」について分かりやすく解説します。

「鍛造」

 「鍛造」は、そのまま金属を「鍛える」加工方法です。「鍛冶屋」という言葉からも分かるように日本では「刀剣」の製造方法として古くから行われてきました。
 鉄の場合、1000℃以上の高温に熱した塊をその鉄より硬いハンマーで何回も叩き上げで、目的の形に加工するものです。大きな鍛造品は、プレス機を使用して叩きます。加工品の形状を自由に設定できる「自由鍛造」と決まった寸法の加工品を得る「型鍛造」があります。

自由鍛造
型鍛造

「鍛造」のメリットは、何回も金属組織を叩くため組織の密度が高くなり、部品の強度が向上することです。よって、自動車のホイールや変速機のギヤエンジンのクランクシャフトなどの強度が要求される部分は鍛造加工で製造されています。デメリットとしては、金型の費用が高額で定期的な保守も必要になることが挙げられます。
 また、高温で加工する「熱間鍛造」とは別に常温で行う「冷間鍛造」があります。これは、小さなネジの製造などに用いられています。
 鉄をはじめとした汎用金属は、熱をかけなくてもある程度の力で変形します。板金の「プレス加工」は、その特性を利用したものです。「鍛造」や「プレス加工」などを総じて「塑性加工」と呼びます。

「鋳造」

「鋳造」は、金属をドロドロになる温度で溶かして「液状」としたものを「鋳型」と呼ばれる型に流しこんで目的の形を得る方法です。「鋳物」と呼ばれる鉄瓶のような形状の加工品を得るのに使用されてきました。

鋳造

鍛造と異なり、鋳型の多くは「砂」などが利用できるので加工コストが安いメリットがあります。しかし、型に流し込んだ溶融金属に「巣」と呼ばれる
空洞部分ができる場合もあり、機械的な強度では「鍛造品」には劣ります。
 特に、溶融した金属の冷却速度のバラツキから発生する「残留応力」が鍛造品に比較して大きいので、突然部品が割れたりする可能性があります。
 とは言え、複雑な形状に対応できることからポンプのケーシングや、遠心鋳造法による大型の金属パイプなどの製造に使用されています。遠心鋳造法は、その名の通り鋳型を回転させながら鋳込むので、「巣」が発生し難く強度と寸法が安定した加工品を得ることができます。押出機のシリンダー部分は、この製法で作られています。

 鍛造や鋳造で加工された機械部品はそのままでは寸法精度や表面の平滑性が劣るので、後加工が必要です。次回は、その後加工でも多く行われている
「切削加工」について解説する予定です。

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