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孤独のグルメに、思う。

私は、五郎さんを尊敬している。

どこの五郎かって?

それはもちろん
「孤独のグルメ」の主役である
井之頭五郎さんだ。

五郎さんのおかげで、
食は楽しむものだと知った。
楽しんでいいものだと分かった。

何を食べるのか。

たったそれだけのことに、
いい大人が真剣になって挑む。
立ち向かう。

幸福に、空腹を満たす。
そのために。

なかなか決められずに焦る姿も、
オーダーをしてホッとする姿も、
私を安心させてくれる。

食に対して
そんなにもうろたえたり、
小躍りしたりしてもいいのだと。

周りの客の注文品が気になったり、
聞き覚えのないメニューに惹かれたり。
そんな、
好奇心を抑えられない姿にも
たまらなく共感するばかりだ。

一口ひとくちを大切に味わうのはもちろん、
より美味しくいただくためなら
猫まんまのようなぶっかけ飯もいとわない。
そういう遊び心も大好きだ。

注文しすぎてしまい、
先走ったなとか
さすがに食べすぎてしまったとか
大人ぶらない反省っぷりにも
親近感があふれ出てくる。

かく言う私は。

もう何十年も
自分の食べたいものが分からずに生活してきた。

だから。

外食の時の
メニューを広げる時間が苦痛だったりもする。

だって、難しいから。

家でなら、
とりあえず今あるものをで済ませられるけど、
外食となると
何かひとつに決めなくちゃいけない。

これが、難しいから。

でも、
五郎さんのおかげで、
なんとなく肩の荷がおりた。

存分に迷っていいし、
それが当たり前なのだと理解したから。

何を食べるかじっくり考えることから
食の楽しみは始まっているのだと分かったから。

なかなか思い至らないことではあるが、
人間が一生の間に食べられる食事の数は
思うほど多くない。

始まりはミルクや離乳食だし、
死ぬ直前までしっかり食べられる人なんて
少ないだろうし。

だとしたら。

今からでもいいから
一食一食を大事にしたいと思う。

ただでさえ、
私はたくさんの食を、食行為を
無駄にしてしまっているのだから。

今日もまた、
五郎さんの食事風景を楽しんだ。

見るたびに思う。

私も五郎さんのように
食と真っ正面から向き合える人になりたい。

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