case1: 迷子になった "東京らしさ"
◾️ 事件の始まり
ある日、関西にいる友人から数年ぶりに連絡が来た。
「来週東京行くんだけど、久しぶりに会えないだろうか?」
予定などあるわけもないのだが、念のために事務所の依頼カレンダーを確認する。やはり、その日は朝から晩まで真っ白である。
いや、正しく言うならば、その日も真っ白である。
「せっかくだ。私が東京を案内しようか?」
あまり深く考えずに返信をした。
話しを聞くと、その友人は出張で東京に来るだけで特段行きたい場所があるわけでもない。かといって、東京に初