『ザ・ソプラノズ』ラストシーンについて製作者がうっかりネタバレ
数シーズンに渡って放送されたドラマの中でも、綺麗な終わり方を迎えたものがある一方で、トラブルや脚本の混乱で綺麗に終わらなかったものも数多くあるだろう。だが、終わらせなかったドラマはそれほど多くないだろう。
その数少ないショッキングな終わりを迎えてから13年経った『ザ・ソプラノズ』ついて、製作者のDavid Chaseがうっかりラストシーンの真相について語ってしまうハプニングがあったというニュースが各メディアで先日報じられた。
伝説のラストシーン
マフィアの抗争で多くの死人が出る中でも、片方のボスである主人公トニー・ソプラノは無事に生き延び、勝ち取った平穏を家族と祝う。それが『ザ・ソプラノズ』のラストシーンだった。
だが、和やかな雰囲気と裏腹に、どこか不穏な気配を視聴者は感じ取る。カメラはなぜか頻繁にレストランにいるモブの姿を映し出す。ヒロインは運転に不慣れとはいえ、やたらと縦列駐車に失敗する。
フィクションの人間は意味もなく駐車に失敗したりしない。何かが起きるという予感とともにレストランのドアが開く。そしてその瞬間、音楽と映像が同時に途絶えて終幕を迎える。あまりに唐突な終わり方に、おそらく相当数の人が放送事故かテレビの故障を疑ったに違いない。
ラストシーンの動画
そんな終わり方をして、続編も出ないものだから当然製作者は質問攻めにあう。これまでは説明を拒否したり、はぐらかし続けていたようだが今回だけは別だった。
記事によると、事故が発生したのは、昨年出版された『The Sopranos Sessions』向けのインタビューを行っている際、共著者であるMatt Zoller SeitzとAlan SepinwallがDavid Chaseに質問をしていたときだった。
Alan:「終点がある」とあなたが言うとき、それはホルステン(ラストシーンのレストラン)にいるトニーという意味ではなく、さらに2年分のストーリーにできるプロットを持っていたという意味ですよね。
Chase:そう、私はドラマが終わる2年ほど前からあの死の場面についてアイデアがあった。トニーはマンハッタンでジョニー・サックとの会合のために呼ばれて、リンカーン・トンネルを戻る。その後、画面は暗くなって、トニーは戻ってくるはずなのに視聴者は彼の姿を見つけることができない。会合で彼に何か悪いことが起きたと示唆させるんだ。しかし、私達はそうしなかった。
Matt:お気づきですよね、もちろん。ラストシーンのことを死の場面と言ったことに。
(長い沈黙が続く)
Chase:クソッタレ。
今回の一件で、トニーの死の可能性が高まったものの、あのラストシーンの後に何が起こったのかについて公式な見解が出ることはおそらく今後もないだろう。
ソプラノズは元々、視聴者に解釈を委ねるような構成になっていた。主人公のトニーにしても、マフィアのボスとしての冷酷さと時折見せる優しさが共存していて、B級にありがちな一面的な描き方はされていなかった。
しかし、多義的な価値観を提供していたとしても、製作者もまた一人の観測者として解釈を持つ。彼の中ではトニーは生きている可能性を否定こそしないが、死んだことになっていたのだろう。
新作映画について
トニーの未来を知ることはもうできないだろうが、過去については新たな情報がある。前日譚としての新作映画『The Many Saints of Newark』が2021年春に公開される。(元々2020年秋の予定だったが、コロナウイルスの影響で延期されたらしい)
10年以上も間隔が空いた新作というのはどうしても不安になってしまうが、パンデミック収束後の楽しみということで首を長くして待っていたい。
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