サーフショップのスレッショルド
映画"ハートブルー"を見てサーフィンを始める決意はしたわけだけど、まわりにサーフィンをしている人がいなくて何を揃えればよいかとか揃えるものの良し悪しとか全く知識がなかった。当時はインターネットも普及してなくて、唯一それらしきものがニフティサーブという、当時パソコン通信と呼ばれていたコミュニティで、そこのフォーラムから色々教えてもらってはいたんだけど、結局近くのプロショップにとりあえず行けと言う話に落ち着くのだった。
そういやクルマでいつも走ってる近所の道沿いにサーフショップがあったなと思い、そこに行く事にしたんだけど…恥ずかしくて店に入れない。。サーフショップにサーファーっぽい服を買いに行くとかなら入れそうなのだが、サーフボードを買いに行くとなると凄くスレッショルドが高くなるのだ。
まず28歳という年齢でサーフィンを始めるというのが恥ずかしかった。今これを書いている2020年、海は初心者含めてオッサンだらけだが、当時サーフィンは若年層がやるもので、28歳というのは当時の感覚で言えばサーフィンを辞めるような年齢だった。
よし、今日は行くぞ!と心に決めていつも家を出るんだけど、店の前まで来ると心が折れてしまい、"今日はちょっと夜が遅いから…"とか、"今日は対向車が多くて店に入りにくい…"とか、なんやかんやと理由を付けてはそのまま素通りをする事が数回。何度か挑戦してひと月ふた月後にようやく店に入れた。
ドアを開けると、やはり想像どおり自分よりずっと若い店員さん。店の奥にいる店長あるいはオーナーらしきヒトもあきらかに自分よりずっと年下で真っ黒に日焼けしている。想像どおり場違いな奴が来たという厳しい視線が僕に刺さる。もうここまで来たら引き下がってられない。
"サーフィンを始めたいんですけど何にもわからなくて…"と素直に伝えた
ところが予想外にみんな優しくてお店に居た常連ぽいヒトも色々アドバイスしてくれる…んだが、とにかく何を喋っているのか専門用語ばかりで全く理解できない。
とにかく勧められたモノを言われたまんまに全部買う。。確か全部で総額15万円くらい払ったのではなかろうか。カモがネギを背負って…状態だった。けれど今考えるときちんと品定めしてくれたんだと思う。型落ちだけど浮力が大きめのショートボードとサーフボードを運ぶのに使うハードケース、半袖半ズボンタイプのウエットスーツ、サーフボードと足をつなぐコード、サーフボードに塗る滑り止めのワックスはサービスで無料でつけてくれた。それから2年くらいはそのお店にお世話になる事になった。
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