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9|絡まないことの快適さ──ヘッドホンをワイヤレス化する

デスク沼おぬまです。前回はギターのワイヤレス化について書きましたが、今回はヘッドホンもワイヤレスにした話を書きたいと思います。

ワイヤレスヘッドホンを探す

さて、ギターからはワイヤレスに音を出すことができるようになりましたが、平日の日中や夜間など、音を出して家人に迷惑をかけるわけにはいきません。特に音楽制作はどうしても夜間に行なうことが多いので、ヘッドホンは必須です。
それで定番のSONYのMDR-CD900STを買って満足していたのですが、ふとしたときに、コードが邪魔だな、と思うようになりました。ギターのネックに当たったり、演奏時に手に引っかかりそうになったり、ちょっとしたときに気になるんですよね。
そこからはもう、ヘッドホンもワイヤレスにしたい! という気持ちがおさまらなくなってしまいました。

しかし、ヘッドホンのワイヤレス化は大変でした。というのも、ワイヤレスによる音の遅延の問題をクリアできるヘッドホンがなかなか見つからなかったのです。
ワイヤレスのヘッドホンは数あれど、そのほとんどがBluetooth接続です。音楽を聴くだけならいいのですが、ギターを弾くとなると、Bluetooth接続では遅延が大きすぎます。
いろいろ調べて、2.4GHz帯を使ったワイヤレス電送が速いとわかり(ギターのワイヤレスシステムも2.4GHz帯でした)、それを売りにしているオーディオテクニカのATH-DWL770を購入しました。しかし、環境にもよるのかもしれませんが、それでも遅延が顕著で、ホワイトノイズもあり、何よりMDR-CD900STと比べると音質が雲泥の差だったのです。正直、楽器演奏用としては使えるレベルではありませんでした。
その後、「楽器用ワイヤレスヘッドホン」と検索しても適合するものが全然出てこないので、「遅延なし ワイヤレスヘッドホン」で検索していたところ、ゲーム用のヘッドセットが出てくるようになりました。ガチゲーマーにとっても、音の遅延は大きな問題だということです。そして、このワイヤレスゲーミングヘッドセットは、楽器用としても転用できると私は考えました。ちなみにワイヤレスゲーミングヘッドセットも、電送方式は2.4GHz帯を使ったもので、各社の技術力によって、音質と遅延に差があるようです。

Arctis Pro Wirelessを買う

ゲーム用のワイヤレスヘッドセットという選択肢を得た私は、これを楽器用として使うべく、検討を始めました。一番の要は、遅延が少ないことですが、音質が悪くてもモチベーションが上がらなくなるので、音質にもこだわりたいと思いました。
また、私の場合はヘッドホンへの入力が複数あるものを必要としていました。というのも。オーディオインターフェースからの音声出力と、PS5からの音声出力を切り替えて使いたいと考えていたからです。ギターとゲームの両方で使える環境が理想的でした。
これらの条件を満たすものとして、最終的に私が購入したのは、SteelSeries Arctis Pro Wirelessです。

音質については、ゲーミングという用途になるので、どうしても通常のモニターヘッドホンに比べるとスペックに差が出てきます。しかし、少なくとも先述のATH-DWL770と比べると格段に音質がよかったです。これで満足できると思ったので、あえてMDR-CD900STとは聴き比べをしませんでした。
遅延については16msと公式ブログで書かれています。ATH-DWL770のときは、明らかに弾いている生音とヘッドホンの音がズレていましたが、Arctis Pro Wirelessでは感じられませんでした。

Arctis Pro Wireless

ヘッドホンへの入力の数についてですが、多くのワイヤレスゲーミングヘッドセットは、USBドングルという、USB端子への接続方式をとっており、入力はひとつに限られています。
その点、Arctis Pro Wirelessは、トランスミッターを経由しての接続なので、入力が複数あり、オーディオインターフェースからの入力と、PS5からの入力を切り替えて使えます。また、使い方次第では切り替えもせず、同時に聴くこともできます。私は同時に聴ける状態で使用しています(同時に聴きたいわけではなく、切り替えせずに使うのが便利だからです)。
接続方法は、オーディオインターフェースのヘッドホンアウト→Arctis Pro Wirelessのラインイン、PS5のUSB→Arctis Pro WirelessのUSBです。この方法だと、Arctis Pro Wirelessの音声出力を「AUX」にすれば、Macの音もPS5の音も同時に聴けます。

Arctiss Pro Wirelessトランスミッターの背面。一番左がラインイン(オーディオインターフェースと接続)、「OPTIONAL」は電源で、その右がUSB(PS5と接続)


PS5からUSBで繋ぐとサラウンド機能とチャットミックス機能が使えないとのことですが、私の使い方ではこれらは特に必須ではありません。もしこれらの機能が必要な場合は、PS5のHDMIから光音声を分離して、それをArctis Pro Wirelessの光音声入力(OPTICAL IN)に差せばOKです。その場合は、Arctis Pro Wirelessの音声出力を「AUX」と「PS5」とで切り替える必要があります(ヘッドセットのスイッチで切り替えられます)。
また、面白い仕組みとして、トランスミッターにヘッドセットのバッテリーの充電機構が組み込まれており、予備のバッテリーを常に充電しておけます(製品にバッテリーがふたつ付属します)。使用中にバッテリーが切れてしまっても、すぐに予備のバッテリーに切り替えられるので重宝しています。

バッテリーは慣れれば簡単に交換できます

今回のワイヤレス化の補足

実はギターとヘッドホンのワイヤレス化自体は2年くらい前に行なっておりました。月日がたち、いくつか新しい製品が出たので、興味があって調べたものも紹介したいと思います。

Arctis Pro Wirelessについては、新機種のArctis Nova Pro Wirelessという製品が出ました。

調べてみると、Arctis Pro Wirelessと音質はほとんど変わらず、音域のイコライジングが可能なソフトウェアが付属するのが売りのようですが、これがMacに対応していないため、私はアップデートを見送っています。

また、この5月に発売されるヤマハのYH-WL500は、完全に楽器用のワイヤレスヘッドホンです。

遅延は4msと、かなり速いです。ただ、トランスミッターへの入力は1系統だけなので、私のように複数の入力を必要とする人には向いていません。

あと、最近気になった製品が、LogicoolのG FITSです。

こちらはワイヤレスゲーミングイヤホンです。自分の耳の中の形にフィットするように、イヤープラグが変形します。そして遅延はLogicoolのLIGHTSPEED仕様とのことなので、その通りであれば1msとなります(ただし、実際は他のLIGHTSPEEDとは異なるという情報もありました)。ただ、こちらも入力は1系統です。USBレシーバーなので、USB切り替え機を使えば、PCとPS5の切り替えはできるのかもしれません。しかし、私の場合はライン入力ができないと、オーディオインターフェースと繋ぐことができないので、どちらにしても使えません。

私がワイヤレス化をもくろんだ2年前に比べて、ワイヤレスの製品が増えてきていると感じました。世の中がどんどんワイヤレスのヘッドホン、イヤホンを求めてきているのでしょうか。できれば、複数入力に対応したトランスミッター付きのもので、音質や遅延対策が向上したものがもっと出てくるといいなと思います。在宅ワークも増えていると思うので、家で仕事をしながら休憩時間にゲームをする人も多いのではないでしょうか。需要はありそうに思います。

ディスプレイについて

ついでにディスプレイも紹介します。私が使用しているのは、AOCのAG274UXP/11です。

このディスプレイの特徴は、解像度が4K、リフレッシュレートが160Hz、応答速度が1ms、とゲーミング仕様でありながら、DCI-P3が102%という優れた色域を持つことです。
PS5が120Hzのリフレッシュレートに対応したということで、ディスプレイのアップデートを考えていました(以前のディスプレイは60Hz対応)。しかし、仕事でも使うため、色域の広さも重要です。それでいろいろ探していたところ、このディスプレイを見つけました。スペックが完全に私の希望通りだったので、迷うことなく購入しました。

正面
背面。モニターアームはエルゴトロンのもの

筐体はブラックなのでデスクに合います。背面はカラフルに光らせることができます。背面を光らせると部屋がエモくなりそうでいいですね(私はデスクを妻と向かい合わせに置いていて、光らせると迷惑になるのでやっていません)。
MacとPS5の入力切り替えはリモコンで可能です。デスクの天板裏に固定しました。手探りで入力ソースを切り替えます。

リモコンは天板裏に設置。丸いので落ちそうですが、意外と大丈夫です

ヘッドホンのワイヤレス化によって、私のギターとゲーム環境の完全ワイヤレス化は完成しました。これで手間なく簡単に、ケーブルから解放された状態で、ギターを弾いたりゲームをしたりできます。
もちろん普段の音楽リスニングや、動画の視聴にも大活躍です。ケーブルが絡まない生活は、端的に言って快適です! ワイヤレス最高!

デスク周りの環境はほとんど書いてしまいました。次回は、チェアのことを書きたいと思います。

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