思い出の場所、松本パルコ 閉店前のコピーを考えてみました。
松本パルコが、2025年2月に閉店するらしい。
聞いたとき私は、かなり衝撃を受けました。
松本パルコは、長野県松本市にある商業施設です。1984年開業以来、松本駅前を象徴する建物として、地域の人々に愛されてきました。学生時代を松本で過ごした私にとっても、思い入れのある場所でした。
都会的なお店が揃っていて、歩いているだけでなんだかちょっと大人になれた気がしました。友人と待ち合わせたり、誕生日プレゼントを選んだり、イベントに行ったり。「パルコ前にいるね!」というメッセージを、何度送ったかしれません。もっとたくさん行っておけばよかった…。なくなると聞いて初めて、ここが自分にとって思い出深い場所だったと気がつきました。
せめて最後に、ありがとうと伝えたい。私と同じように、松本パルコに思い出がある人にも、懐かしく振り返ってほしい。いても立ってもいられなくなり、勝手にコピーを書いてしまいました。(※プロモーションではなく、あくまで個人制作です)
世には出さず、ひっそりと供養しよう…と思っていましたが、メンバーに背中を押され、公開することにしました。読んでくださった方にとって、思い出の場所を思い出すきっかけになれば嬉しいです。
コピー
A案
パルコ前で、想い人を待っている場面をイメージしました。
スマホを握りしめ、身だしなみを確認しながら、そわそわと相手を待っている。早く来てほしいような気もするし、いっそ来てほしくない気もする。そんなワンシーンを、松本パルコはいくつも見守ってきたはずです。
かつて、ここで誰かを待ったことがある人が、あのころの気持ちを思い出してくれますように。
B案
人も建物も、いつかはなくなってしまいます。では、なくなってしまったらもう会えないのでしょうか。そんなことはないはずです。
出会った事実は残ります。いつでも、記憶のなかで会いにいける。パルコにも、かつてパルコに集った人にも、そう伝えたかった。閉店を悲観的に捉えず、別れではないことが伝わればいいなと思いました。
C案
大学を卒業してからも、私は時々松本へ行きます。当時よく歩いた道を歩いていると、あのころの私たちがまだここにいて、すれ違うんじゃないかと思うことがあります。学生と思われる人たちの姿に、かつての自分たちを重ねて、思わず後ろ姿を目で追ってしまったりします。松本で青春時代を過ごした方で、同じ経験のある人はいませんか。
若い日を過ごした場所を、大人になってから訪れたときに感じるノスタルジーを、コピーに落とし込みました。
D案
何かの節目に交わされる、「今までありがとう」という言葉。それを聞くたびに、もう二度と会えないみたいで、永遠の別れの挨拶みたいで、なんとなくかなしくなっていました。
「そんなにしんみりするなよ。思い出がなくなるわけじゃない。思い出してくれればいつだって会えるじゃん。さよならするわけじゃないよ」
パルコ側がそんなメッセージを伝えてくれたら、閉店もさみしくないかもしれないな、と思って書きました。
E案
またね、という言葉は、いつかまた会うための祈りだと思っています。だから友人と別れるときは、「さよなら」ではなく「またね」と言いたい。
松本パルコは閉店してしまうけれど、ふとしたときに思い出すかもしれません。今までのように行くことはできないけど、いつかまたどこかで、何らかのかたちで再会できたらいい。そんな祈りを込めました。
F案
メンバーにこのコピーを共有したとき、ハラさんがこんなエピソードを話してくれました。
「若いころ、松本パルコに入っていたお店でスーツを買ったことがある。そこの店員さんがすごくかっこよくて、自分も真似ていたんだよなあ。顔ははっきり思い出せないけど、今でもその思い出は残ってる」
長く愛されてきたパルコだからこそのエピソードだと思いました。
閉店しても、思い出の中で会える。そんな前向きなメッセージを伝えたいと思いました。
G案
あのころに戻りたい、あのころはよかった。
そんなふうに懐古することが、誰しもあると思います。でも、過去を思い返すときに今が苦しいと、「もう戻れない幸せな日々」を思い出してかなしくなってしまいます。回想するときは、「あのころはよかったな」と思いながら、「今も最高!」といえる状態でいたい。今を愛することで、過去をもっと愛おしく回想できるような気がします。
思い出を懐かしみつつ、悲観的にならないように。今を愛しながら、思い出を大切に振り返ることができるように。そんな思いを込めて書きました。
お世話になった存在に、恩返しができる言葉を
大人になってよかったなと思うのは、自分にできることで、誰かに恩返しできる瞬間が増えることだと思います。私はまだまだですが、自分にできることで、ありがとうを返していけたら嬉しいです。
言葉には何ができるんだろう、と悩むこともありますが、言葉には人のこころを動かす力があると思っています。感情と言葉にはすこし距離がありますが、すこしでも「伝えたい」をかたちにして届けられるように、これからも精進していきます。
今回は、自分の個人制作を公開させていただきました。今、エルでは新しい広報コンテンツとして社外報プロジェクトを進めており、メンバーの自主制作も発表していく予定です。お楽しみに!!
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