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後編|POP UP ACTANT#3「SERVICE DESIGN FOR MOBILITY:パターンランゲージでデザインする未来の移動」

日時|2019年7月30日17:30〜20:00
会場|SHIBAURA HOUSE
スピーカー|アパー・トゥリ

フィンランドより来日したWhimのデザイナー、アパー・トゥリさんをお招きした第3回POP UP ACTANT。後半は、新たなMaaSサービスのアイデアを探るワークショップの模様をお伝えします。

ミニワークショップ

プレゼンテーションの後には、先に紹介された「パターンランゲージカード」を使用し、マルチモーダルな移動の流れを、参加者とともに実際に考えるミニワークショップが行われました。

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ホワイトボードに、自転車とバス、その間に大きな四角を描き始めたアパーさん。

「例えば、自転車で移動した後にバスに乗ろうとします。その間(四角)にも必ず何かが起こっています。まず、ユーザーは自転車を駐輪することを考えるでしょう。その行動の裏には、自転車が盗まれないよう安全な場所におきたい、雨に濡れないようにしたい、など様々な欲求があるでしょう。次に、お腹が空いていたらバスに乗る前にキオスクに寄ってスナックを買おうとするでしょう。携帯電話の充電をしたいかもしれません。そして、間違いなくバスに乗車するために、目的地へのバスが何時にどこから発車するのかサインを探すかもしれません。そしてチケットを買うでしょう」

マルチモーダルな移動方法をデザインするためには、その移動の遷移の過程で、実際に何が起こっているのかを理解する必要があります。ワークショップでは、アパーさんの例のように、ある移動と移動の間に起こっているユーザージャーニーを作成し、その上で必要なサービスや解決策を検討しました。

ワークショップの流れ

ワークショップの構成はとてもシンプルで、以下の3つの工程で進行していきました。

①ユーザージャーニーをつくる
何の移動手段から何へ移動するのかを決定し、「パターンランゲージカード」を組み合わせながら、ユーザーの視点で、この移動間に何をしているか、何が起こっているかを考えます。

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「適切なカードがなければどんどん新しくカードを作成してください。このカードは、まだプロトタイプの段階です。ヘルシンキ以外でも、Whim外部の人たちと試すことも初めてなので、日本の皆さんからのフィードバックをください!」

ネガティブな行動はカードの色が分られていましたが、そうした色使いも含め、使いながら必要性を見極めている段階なのだそう。参加者の皆さんも、新しいカードを作りながら様々な移動のジャーニーを作成していました。

②ユーザーの考えと感情を書き出す
各行動(カード)に対して、ユーザーが何を「考えて」いるのか、何を「感じて」いるのかを考えます。

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例えば、最初にアパーさんが説明した「自転車を駐輪したい」というのはユーザーが「考えて」いること、そこで「自転車を盗まれたくない」というのが「感じて」いることです。各行動に対して「考え」と「感情」を整理していくことで、ユーザー視点での移動の遷移が明らかになっていきます。ここで、それぞれのフェーズでユーザーに共感し、理解することが重要なのです。

③サービスアイデアを考える
整理したユーザージャーニーから、ユーザーが必要としている解決策となるアイデアを1つ考えます。

ユーザージャーニーから見えてくる共通のパターンや行動の側面を見つけ出し、そこでデザイナーとしてどう物理的に、もしくはデジタル技術を使って、サービスを提供できるかを考えます。今回のワークショップでは、各チーム1つのアイデアを考え、発表しました。

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例えば、新幹線からローカル電車への乗り換えジャーニーを検討したチームは、旅行の際に大きな荷物が邪魔になるという点から、駅で手荷物のドロップオフができるサービスを発表。4チームとも、それぞれ様々な移動間のユーザージャーニーとユニークなサービスアイデアを発表していました。

アパーさんからは、「日本ならではの視点でMaaSを考えるとてもいい機会で、新しい気づきが得られました。日本のデザイナーは活発でやる気に満ち溢れた素晴らしい方が多く、驚きました。大変楽しく、有意義な会でした」とコメントをいただきました。

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ワークショップが終わった後も、アパーさんも交えて参加者の皆さんの議論が絶えず、色々な意見交換ができました。今回は少人数での開催ではありましたが、終始和やかな雰囲気で新しい移動のサービスやその在り方について皆さんとディスカッションすることができました。

Whimは今後日本でも展開される予定です。アパーさんはこのサービス・プロダクトでグッドデザイン賞も受賞したようです。フィンランドのデザイン思想が日本でどのように実現されるのかとても楽しみです。

Apaar Tuli|アパー・トゥリ
Apaar Tuli is an independent designer from Helsinki with a background in interaction design, architecture and urban planning. As the lead product designer of Whim, he has been closely involved in designing for the world’s first Mobility as a Service platform. Previously, he has designed a range of products and services at Nokia Design and Microsoft’s Devices Design studios.
Apaar is a passionate traveller. He has directed two ethnographic documentaries shot in some rather unvisited corners of the world, and then screened in various film festivals across Europe. He also happens to be an year-round cyclist in Helsinki’s sun and snow.
twitter https://interaction18.ixda.org/program/talk-the-maasive-future-of-transport-apaar-tuli/

(2019.11.19)