12/21刊行『コ・デザイン──デザインすることをみんなの手に』
情報デザイン・参加型デザインの研究者/教育者として大学で教鞭をとるかたわら、ACTANTの活動にもパートナーとしてさまざまな場面で協力いただいている上平崇仁教授。その初の単著となる『コ・デザイン──デザインすることをみんなの手に』が、12月21日にNTT出版より刊行されます。
現代社会の複雑な問題を創造的に解決していくための手法として、近年ますます重要視される「コ・デザイン」。異なる立場にある多様な人々が「いっしょに」デザインを進めていくにはどうすればいいのか? その核となる考え方とメソッドをわかりやすく解説した、待望の1冊です。
今回の出版に際して、上平教授から以下のメッセージを寄せていただきました。ご興味をもたれた方は、ぜひ、お手にとってご一読ください。
著者メッセージ
上平崇仁|専修大学ネットワーク情報学部教授
ちょっと変わった切り口のデザインの本を書いてみました。デザインを学ぶための書籍はたくさん出版されていますが、通常はデザインの〈すぐれた実例〉や〈やり方のお手本〉に焦点を当てるものです。この本は全く逆です。私たちの生活の中に当たり前のようにある出来事をつなぎ直し、なんとなく知っていることやどこかに置き忘れていることを改めて発見する、そんな関係性を通してデザインを理解しようとするものです。
「コ・デザイン」という取り組みを知るだけでなく、「いっしょに」「デザインすること」は、どんな意味を持つのか。なぜ今の時代に取り組む必要があるのか。これまでデザインの文脈の中ではほとんど語られなかった領域とつなげて考えていくことで、めくるめく不思議な読書体験ができるでしょう。そして、私たち自身がなにかをデザインする行為は、そんな全体性の中にあることにも気づかされるでしょう。いますぐ使える知識のためではなく、前後左右を見渡しながらゆっくり考える旅をしてみたい人に、是非おすすめしたいと思います。
本書の活用方法
幅広い方々が自分の視点と重ねることができるように、専門家と非専門家/入門者の両方の視点に立って書かれています。なるべく読み飽きないように、ストーリー性を重視して語り言葉に近づけました。厚みのある本は気が重くなるかもしれませんが、ボーナストラックの入ったアルバムのようなものと考えていただければと思います。
・収録されている各章のそれぞれの節が、ひとつの話題のショートレクチャーに対応しますので、分担して読んで、読書会をしてみるのにも使えるでしょう。
・学生さんたちは、目次にそって順番に読んでいくことをおすすめします。小説のように順番に読み進めなければならないものではありませんので、その時点で興味のないところは飛ばしても問題ありません。数年後に読んでみると、また違う見え方をしてくるでしょう。
・本書は入門書的な位置づけですが、デザインの専門職のみなさんにとっても、ご自身の人生経験やこれまでの知識と結びつき、より解釈が深まる部分が多いのではないかと期待します。読み慣れている方々は、目次で興味を引いた章や見出しから入り、参考文献へと広げていくスタイルで全くかまいません。
・手法の詳細なやり方などは、本書の主眼ではありませんので割愛しています。キーワード的なものはできるだけ平易な言葉に置き換えて語りの中に組み込みましたが、不明な言葉などは必要に応じてお手元の端末で検索して補完していただけたらと思います。
『コ・デザイン──デザインすることをみんなの手に』
上平崇仁 著
デザインすることは、怖くない!
さあ、いっしょにデザインしよう!
誰もがデザインすることを求められる時代に
デザインすることの思想と実践を深く掘りさげ
デザイナーにも、ノンデザイナーにもわかる言葉で
その役割と価値を説いた
いままさに“みんな”が求めていたデザイン書。
*コ・デザイン(CoDesign)とは?
デザイナーや専門家と言った限られた人々によってデザインするのではなくて、実際の利用者や利害関係者たちとプロジェクトのなかで 積極的にかかわりながらデザインしていく取り組みのこと。Coは、接頭語で、「ともに」や「協働して行う」という意味。
出版社:NTT出版
発売日:2020.12.21
定価:2,970円(税込)
サイズ:A5判
ISBNコード:978-4-7571-2384-7
また、同じくNTT出版から発行されている、武山政直教授の既刊『サービスデザインの教科書:共創するビジネスのつくりかた』(2017)も、12月中旬より重版出来となります。こちらもあわせてお手に取ってみてください。