美術館鑑賞|『アーツ・アンド・クラフツとデザイン』
会期最終日に滑り込むように行ってきた『アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで』。
これはデザイナーとして行っておかねば!と思っていた展覧会だったので無事行くことができてよかったです!
モリスとアーツ・アンド・クラフツ運動
ウィリアム・モリスは"モダンデザインの父"と呼ばれており、デザインの歴史を語る中では必ず名前が出てくる超・有名人!
今、100円ショップのセリアで種類豊富なモリスグッズが販売されているので、彼の作品を目にしたことがある人は多いのではないのでしょうか?
モリスが活躍したのは19世紀後半のイギリス。
産業革命によって機械化が進み、様々な商品が庶民の手にも届きやすくなった一方で、"職人技術"と言われるような手仕事が失われていることにモリスは警鐘を鳴らします。
"中世の手工芸の復興"と"生活と芸術の統合"を目標に掲げ、モリスが仲間たちと起こしたデザイン運動を「アーツ・アンド・クラフツ運動」といいます。
手仕事を重視しすぎたのもあり、最終的に商品の価格が高くなってしまい、裕福な人しか手にできないものになったという側面もあるのですが、日常の製品こそ優れた製品が必要というモリスの考え方はイギリス国内のみならず、世界へと広がりました。
私が印象に残った作品はコレ!
いちご泥棒|ウィリアム・モリス
モリスの代表作ともいわれる「いちご泥棒」。
インディゴ抜染法とは時間と手間と技術が必要だそうで、まさに手仕事の全てが作品に表れています。
リバティ・テキスタイル
リバティプリントについては知ってはいたものの、アーツアンドクラフツ運動と近い関係があったことは恥ずかしながら知りませんでした。
モリスが「モリス商会」を立ち上げた1875年。
リバティも「リバティ商会」を発足し、競い合いながら、同じ理想を掲げ、協力しながら時代を築いていったそうです。
トイブックといわれる現代の絵本の基盤をつくったウォルター・クレインやモリスの次女であるメイ・モリスの作品なども展示されており、アーツ・アンド・クラフツ運動は、モリスにスポットが当たりがちですが、本当にたくさんの人たちが関わっていたことを鑑賞を通して感じました。
歴史は流れ、繋がっていく
今回のサブタイトルにお名前が入っているフランク・ロイド・ライト。
彼はアメリカの建築家でシカゴ・アーツ・アンド・クラフツ協会の創立メンバーでした。
プレーリースタイルといわれる屋根を低く抑えた建物が地面に水平に伸び広がる設計法を用いたマーティン邸が有名です。
『アーツ・アンド・クラフツとデザイン』展では、マーティン邸の映像と音楽が流れている部屋もありました。
▲展覧会ではライトの作品は写真NGだったので、マーティン邸の公式サイトのリンクを貼っておきます。3Dツアーもできたので観光気分で楽しめます♪
モリスは「手仕事」を重視していた一方で、ライトは「機械」を上手く活用していたようです。
また、「アメリカのアーツ・アンド・クラフツ」の展示の中でティファニー・スタジオについても下記の記述がありました。
アメリカでは、モリスの思想と機械のイイトコどりでアーツ・アンド・クラフツ運動を進めていたというのが印象的でした。
また、ライトはアール・デコの建築家、ティファニーはアール・ヌーヴォーの作家だと思っていたので、『アーツ・アンド・クラフツとデザイン』展で見れるとは思っていませんでした。
ついついカテゴライズしがちですが、あくまでもデザインの特徴や流行なのでスパッと定義されるものではないんだなと改めて感じました。
『アーツ・アンド・クラフツとデザイン』展を鑑賞して、機械産業が発展していく中、モリスが中心となって「デザインとは何か?」と立ち止まって考え、実践を重ねた歴史があるからこそ、形を変えつづけ、"昨今のデザイン"に繋がっています。
そんなことを思いながら『アーツ・アンド・クラフツとデザイン』展を満喫してきました。
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『アーツ・アンド・クラフツとデザイン
ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで』
会期:2024年4月27日(土)-2024年6月30日(日)
場所:新居浜市美術館
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最後まで読んでくださり、ありがとうございます! これからも読んでよかったと思える記事が書けるようさらに精進してまいります!