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【第2回LT大会】🦁イベントレポート
本記事は、12月17日(日)に東京ミッドタウンデザインハブで開催した学生向けLT大会のレポートになります📢
様々な領域でデザインに取り組む学生7人が、5分間のLTを行いました。
この記事では、LTのサマリーを紹介します🗒️
🗣️Soya Hiranoさん 「学生だけで最高のボードゲーム作っちゃいました」
🔗 Twitter(新X):https://twitter.com/Soya23_
デザインを専攻する学生で、授業やプロジェクトの中でアイデア出しをする機会が頻繁にあるHiranoさん。他人に自分のアイデアを話すことに苦手意識があったという自分の経験を活かしてチームで開発した、自分のアイデアを他人に伝えることが楽になるボードゲーム「ジャジャーン」についてお話しいただきました。
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「ジャジャーン」は双六のようにステージを回って世界一の発明家を目指すというストーリーの中で、自分のアイデアを披露していくというボードゲームです。特に、既存のアイデア出しのためのボードゲームの、アイデアをプラスマイナスで評価してしまうため萎縮してしまうという課題があったのですが、「ジャジャーン」ではプラスマイナス評価ではなく、「あたらしい!」「おもしろい!」「スキかも!」「つかえそう!」の4種類のプラスで評価することで、アイデアを安心して出せるような環境を設計しています。
Hiranoさんはこれを、近いうちに実物にして、学生が休憩時間にいるような大学のオープンスペースに1つずつ置きたいというビジョンがあるそうです。同じデザインを学ぶ大学生の悩みから始まったプロジェクトが形になって今自分たちが使っているということが、他の学生を鼓舞できれば、という思いも語ってくれました。
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🗣️小林ゆにさん 「ブランディングコンテストで優勝して気づいたこと」
🔗 Twitter(新X):https://twitter.com/koyuni_0220
小林さんは、バックグラウンドの異なるメンバーでチームを組んで、たくさんのコンペに出場されています。ちょうど発表の前日まで参加していて見事優勝された、ブランドデザインコンテストBranCo!で得た3つの学びについてお話しいただきました。
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1つ目は、「誰もしたことがない調査をしよう」です。今年度のBranCo!のテーマは「遊び」だったのですが、アイデアを出すためにリサーチとして「遊びを飲み物で喩えてみると?」という調査をしました。
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2つ目は、メンバーのモチベーション維持の重要性です。
メンバーのモチベーションはコンペのアウトプットに如実に影響するので、気を配っています。例えば「ミーティング終わりにポーズをとる」ということを実践しています。ミーティングが難航して何も決めることができなくても、ポーズだけは決めることで、チームが瓦解せず一体感が増すという効果があります。
3つ目は、社会記号を作るということです。広告コピーの世界には、曖昧ながら世の中全体の空気として感じられていることに記号を与えることでニーズを作り出し、マーケットを拡大してきたという歴史があるといいます。コンペでは、大人が「遊ぶ」にはどうしたら良いか?を考えました。大人は大抵「遊び」がそれが気づいたら忘れて逃げてしまいます。これを「遊び逃し」と名付け、まだ気づかれていないものの確かに存在する課題を提示し、それを解決するために、大人の遊びを捕まえて逃さない「遊びのへそくり」というブランドを提案しました。
🗣️Yukiさん 「エンジニアに喜ばれるデザイナーになりたい」
🔗 Twitter(新X):https://twitter.com/snowyk25
Yukiさんは、情報系の学部に通いながら独学でデザインを勉強して、今はエンジニアとチームを組んで受託開発を行っています。その中で、サーバーサイドエンジニアと話す機会が多くあるそうなのですが、エンジニアとデザイナーの向き合い方を実践例をまじえてお話しいただきました。
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デザイナーとサーバーサイドエンジニアのコミュニケーション不足を避けるために、特に2つのことに気をかけています。
1つ目が、仕様擦り合わせの前にオブジェクトを擦り合わせるということです。これはオブジェクト指向UIの「オブジェクト」です。デザインを作る前にオブジェクトの名前や定義を揃えることで、後に細かい仕様を詰める際の認識を合わせやすくなります。
2つ目が、データベースの設計とUIを照らし合わせる会を開催することです。UIデザイナーが勝手にできると思っていた仕様や挙動を早めに洗い出して、大規模なやり直しを防ぎ、コストを減らす工夫です。
こういってしまうと「デザイナーは実装も理解しなければいけない」という主張に捉えられてしまいがちですが、Yukiさんは「デザイナーはこれができなければいけない」という固定観念に縛られるべきでないといいます。「自由にやりたい方向にやればいい」というメッセージを受け取りました。
🗣️三橋さん 「エンジニアリング×デザインでできること」
🔗 Twitter(新X):https://twitter.com/YukiMihashi
三橋さんは、チームでブレインストーミングをするWebアプリhidaneをはじめとして、いくつものデジタルプロダクトをデザインエンジニアとして作っています。エンジニアリングとデザインを両方やることで何が生まれるかという観点でお話しいただきました。
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デザインとエンジニアリングの掛け合わせによってできることとして、まずエンジニアから共有が漏れるような細かい仕様をデザイン的に最適化できるということが挙げられます。例えば状態管理やバリデーションの出し方などを網羅的にデザインできます。
同時に、実装しやすいデザインを作ることができるので、実装の負荷を少なくしつつ、体験を最適化することができます。エンジニアとデザイナーで分業すると、デザイナーの要求をサーバー負荷と両立する解決策をエンジニアが考える必要があります。しかし、デザイナーがサーバー負荷と体験を同時に考えられると、設計の可能性がぐっと広がります。
その事例として、hidaneの「ユーザーが他のユーザーのカーソルの動きを見られるUI」の開発があります。実装のためにはカーソルの通過点の座標情報をサーバーに送ることが必要なわけですが、細かく通過点をサンプリングすると通信量が多くなり重くなる一方で、粗いとカクついた動きになってしまう。しかし、体験という観点で見た時、他の人のカーソル移動を知る上で重要なのは「どこからどこまで移動したか」だけです。
最終的には、移動開始点と終了点の座標だけをサーバーとやりとりし、フロントエンドでベジェ曲線を描いて2点間を補完してカーソルの軌跡として提示することで、低通信量と滑らかなインタラクションを両立しています。
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🗣️にぽさん 「『福祉への入り口』をデザインする」
🔗 Twitter(新X):https://twitter.com/nipo____39
にぽさんは、大学のゼミなどで、デザインを使って社会課題を解決するためのプロジェクトに関わられています。そのうちの一つである、福祉業界の就職イベントの広報プロジェクトの軌跡についてお話しいただきました。
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このプロジェクトは、最初は福祉業界の就職イベントのポスターなどのデザインから始まりました。
「福祉とは何か」というのを考えながらプロジェクトを進行し、実際に自分の目で福祉を見つめてみることで、いくつかの気づきを得ました。
福祉と関わりのない人にとって、福祉は、「遠い、怖い、介護福祉士など特殊な資格の必要な職業」というイメージで、ハードルの高いものとして見做されがちです。しかし実は、自分たちの身近で福祉に対してできることや、考えられることはたくさんあるといいます。また、人の気持ちを思いやるという点ではデザインと共通する部分も多いそうです。
そこで、「気軽にふらっと来れる」というコンセプトで福祉就職イベントを設計しました。
しかし、結果的には集客に失敗。失敗原因を分析すると、ターゲットである学生が福祉に辿り着くまでの動線を整備できていなかったことなのではないかと考え、本当の課題は「福祉への入り口がないこと」なのではないか、と課題を再定義しました。今は「福祉への入口を作る」という目標を立てて、「フラッとおいでよフクシのプラットフォーム、フフプ」を作っています。
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フフプでも、なかなか思うように成果が出ているわけではないとにぽさんは言いますが、「プロジェクトはなまもの」であり何が起こるかわからないものだとして、同時にそれを肯定していることが印象的でした。
🗣️中條さん 「心が通じ合う30年後のコミュニケーションメディアのデザイン」
🔗 Twitter(新X):https://twitter.com/rintaro_chujo
中條さんは、大学院修士1年で、人と人のコミュニケーションを情報技術がどう変容させるかというテーマで、HCI(Human-Computer Interaction)の研究をしています。研究というフィールドでどのようにデザインに関わっているかをお話しいただきました。
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研究の原点にあるのは、高校時代に体験した、耳の聴こえない人との共同生活でした。対面であったとしても、声を通してではなくLINEでメッセージを送ってコミュニケーションをとります。その時感じたのが、テキストメッセージでは、悲しいとかイライラしているといった感情が伝わりづらいということでした。しかし、この課題は耳が聴こえない人だけではなく、チャットアプリを使う誰しもに当てはまるものですよね。
言葉では伝えられない感情を伝えるために注目したのが、漫画の吹き出しです。吹き出しの形には、そのセリフを言っている人の感情が表現されています。
この気づきをもとに行った研究が、漫画の吹き出しをチャットアプリのUIに取り入れるEmoBallonです。まず公開されている漫画のデータセットをもとに、セリフの表現する感情のデータと吹き出しの形状のデータを抽出します。それをもとに、ユーザーが入力した内容から読み取れる感情に合わせて生成された吹き出しの形状とともにメッセージを送り、吹き出しを通じて感情を伝達できるUIをデザインしました。
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中條さんの研究は、目下のユーザーに対してどうUIを設計するかというプロダクトのデザインとは、時間のスケールが異なるものです。しかし、両方とも人と人の関係性にデザインで干渉するという意味では共通しています。
🗣️かみじさん 「学生開発サークルにおけるデザインサークルのこれまでとこれから」
🔗 Twitter(新X):https://twitter.com/kamij_i
かみじさんは、東京工業大学でデジタル制作やプログラミングに関心のある学生が集まるtraPというサークルに所属しています。traPは、traQという部内クローズドSNSプラットフォーム(SlackとDiscordの合いの子のようなSNS)を自作し、それを使って部員はコミュニケーションを取っているといいます。かみじさんには、traQの現在地と今後の取り組みについてお話しいただきました。
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traQは、SlackとDiscordの合いの子のようなSNSで、元々かみじさんの先輩にあたる方々がチームで開発していたものです。かみじさんがtraQの開発に興味を持ったのは、このtraQがまさにコミュニティを作り出し、人の進路を変えてしまうような貢献をしていると感じたからです。このコミュニティを維持したいという動機でプロジェクトにコミットしています。
しかし、サークルの性質上、作った先輩は卒業・就職してしまうので、下級生がそれを引き継ぎ、さらにその下級生が引き継ぎ……とプロダクトやその思想を継承していく必要があります。そのためにかみじさんたちはデザインチームを組織し、エンジニアとの分業を進めました。
今はエンジニアの要望をUIに落とし込むことと、デザインシステムの構築、そして特に大変な後輩の育成に力を入れています。
以前はOOUIの書籍を練習してもらうところから教育していましたが、むしろ、ハッカソンや開発で実際に作って、できあがったものを見るという体験がモチベーションを上げられるので、それを育成に取り入れていきたいとのことでした。
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traQは、こういうサークルにしたい、という思想から始まったプロダクトです。かみじさんは、今後も強い思想に基づくプロダクトを、デザイナー以外も巻き込んで作り続けたいといいます。
✍️さいごに
Design Homies は、" For Designer Students Creating the Future 🇯🇵" をかかげ、日本の学生デザイナーがデザインについて純粋な議論ができる場を創り、学校を超えて、幅広くデザインに興味がある学生の仲間が繋がり会える空間を目指しています。
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今後も学生が主体となって、デザインについてアツい化学反応が生まれる場所となるように、LT会や勉強会を開催していきたいと思います🔥
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