アイルランドで出会ったアートとデザイン
この記事は、弁護士ドットコム Advent Calendar 2024 の5日目の記事です。
また、クラウドサイン デザイナーチームでは、CloudSign Designer 5DAYS と題し、連投企画を行なっています!
コミュニケーションデザイナーの記事
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DAY5 DesignOps : コミュニケーションデザインを技術的アプローチで強くする
プロダクトデザインチームも同日連投してますので、合わせて読んでいただけると嬉しいです。
#DAY1 #DAY2 #DAY3 #DAY4 #DAY5
みなさんこんにちは!クラウドサイン・コミュニケーションデザインチームのehanです。
私は今年の夏、1ヶ月ほどアイルランドに滞在していました。
アイルランドってどこ?どんな国?
と気になった方のために、少しご紹介。
アイルランドはここ
アイルランドはこんな国
日本からアイルランドまで飛行機で約15〜18時間くらい(直行便はないためヨーロッパか中東の主要空港を経由するルートが一般的)
夏の気温は日中19〜24度程度で、とっても涼しく過ごしやすい
日本と同じ島国で、国土は北海道の面積の約8割強(約3時間あれば車で東海岸から西海岸まで行ける)
1949年にイギリス連邦から脱退し、アイルランド共和国として独立
そのため島にはアイルランド共和国とイギリス領の北アイルランドが共存(アイルランドの通貨はユーロ、北アイルランドはポンド)
外務省にわかりやすい情報が載っているので、気になった方は読んでみてください
アイルランドは独立までに多くの苦労がありましたが、今ではGDP(国内総生産)世界第2位の国。そして実は、首都・ダブリンのグランド・カナル・ドック地区には世界的なIT企業が集まっていて、ヨーロッパのシリコンバレーとも呼ばれています。そんな経済発展を遂げた現在のアイルランドに住む人々は、優しく穏やかで話好きの方が多い印象です。
私はアイルランドに行くまでは「アイリッシュバー」のイメージが強かったのですが、実際に足を運んでみると他にも魅力がたくさんあります。
滞在中はアイルランド・首都ダブリンでアートやデザインに触れる機会がとても多かったので、今回はその中からいくつか気に入ったものを取り上げます。
ケルズの書
まずはアイルランドの由緒正しき名門校・トリニティ・カレッジ(ダブリン大学)で展示されている、8世紀に制作された「ケルズの書」と呼ばれる装飾写本を紹介。装飾写本とは、主に中世ヨーロッパのキリスト教の修道士が手描きで複製した聖書のことです。
この「ケルズの書」は制作から1200年が経過していて、アイルランド国宝でもあり、「世界で最も美しい本」と呼ばれています。残念ながら「ケルズの書」自体は撮影NGで、写真がありません。そのため、撮影OKだった展示室の写真とともにご紹介。
デザイン面の見どころ
これは「カイ・ロー」のページ。「カイ・ロー」とはギリシャ語でキリストの名前を省略したもの。「χ(カイ)」「ρ(ロー)」のタイポグラフィがページ一面に堂々と配置されています。
このページでは、絶妙なバランスで構成された要素が視覚的魅力を生んでいます。「χ」「ρ」を大きくページ全体に配置し、周囲には繊細な装飾が描写されています。装飾は宗教にまつわる紋様やイラストで構成されていて、すべてに意味が込められたデザインとなっています。
またこの本の驚くべきところは、情報量です。 この聖書、A4を一回り大きくした程度の大きさなのですが、そのサイズに対して圧倒的な緻密さで描写・装飾が施されています。
館内でお借りした音声ガイドによると、写本を複製したのはまだ若い修道士。時間も労力も必要なこの作業は若い人じゃないと耐えられないのでしょう。修道士たちは辛すぎて、「もううんざりだ」「早く終われば良いのに」と余白に書き残していたらしいです。この気持ちは理解するに容易いですね…。
多くの人を圧倒する完成度
そんな修道士たちの努力の甲斐あって「ケルズの書」は完成しました。1200年以上経った今でも、この完成度の高い書物は人々を驚かせています。そして当時の宗教文化やアイルランドの伝統を知るための遺産として、大事に守られ続け、語り継がれる存在です。
トリニティ・カレッジが公式で「ケルズの書」の展示風景を動画でアップしていたのでシェアします。
世界最古の図書館も見どころ
「ケルズの書」を展示しているトリニティ・カレッジ図書館そのものも見どころで、ダブリンの観光名所です。
図書館のロングルームと呼ばれるエリアは、世界的に有名な場所の一つ。一歩足を踏み入れると高い天井いっぱいに造られた本棚が左右に広がります。
1732年に完成された図書館は、現在再開発プロジェクトを行っているため、私が訪れた時は一部の本棚が空っぽの状態でした。またいつか、本がぎっしりと並んでいる状態を見るために訪れたいです。
アイルランド国立美術館
続いては、国立美術館。私が滞在中に4回も訪れた場所です。4回も?と思われそうですが、公立美術館は展示量が充実しているので、時間をかけてゆっくり見ることにしました。
気に入った展示
常設の展示室は撮影できなかったため、国立美術館公式の作品ページのリンクを貼りつつ紹介します。
ジャック・バトラー・イェイツ
アイルランドを代表する芸術家。国立美術館では、過去に彼の展覧会を開催していました。ジャックの作品は筆遣いのストロークが特徴的で、絵の具のテクスチャーを感じさせる画面作りが印象的で好きでした。描いてるモチーフは街中の風景だったり、人物だったり、生活を感じさせるものが多いです。あとはアイルランドは郊外に行くと青い空と爽やかな緑の景色が一面に広がるのですが、そんな場面を切り取ったような一枚も展示されていて、生涯アイルランドの日常風景を描き続けた作家なのだと感じました。
ナショナルポートレートコレクション
国立美術館は「肖像画」を題材にしたコレクションを集めていて、2014年からは「ポートレート賞」なる公募を催しているようです。そのため展示室の一角では、様々な表現手法で描かれた肖像画が並んでいました。個人的に良いなと思ったのはこの肖像画。描かれている人がファッションデザイナーであることを思わせるモチーフを画面に取り入れています。表情も余裕ありげで、人柄を想像できる絵なのが良いですね。
先ほど紹介した国立美術館のほかに、国立博物館や印刷博物館も、アイルランドの伝統文化や工芸に触れられる展示内容で大変おすすめです。
そして、先ほど紹介した施設では、なんと入場料を設けていません(企画展など一部除きます)。その代わり、募金箱が置かれています。そのため入場への敷居が低く、家族連れも多かったです。アイルランドでは誰にとっても美術館や博物館が身近な存在だと感じました。
街中で遭遇したアート
そしてアイルランドは美術館に赴かなくても、街中を歩いてるだけでアートに出会えます。
観光地を歩いていると
例えば、アイルランドを代表する黒ビール・ギネスの見学施設までの道のりで...
見学施設の壁面に描かれた、たくさんのアートが目に飛び込んできました。
このアートについて調べてみると、どうやら毎年3月にアイルランドで行われる「セント・パトリック・フェスティバル」の一環で行われた展示企画でした。展示作品を手掛けたのは、アイルランドの若手アーティストたちです。
セント・パトリック・フェスティバルは、セント・パトリックデーを祝う有名なパレードの他にも、このような企画を行い、アイルランドの芸術や文化を毎年盛り上げているようです。そしてフェスティバルが終わった後もこのように展示し続けることで、観光地に訪れる多くの人々の目を楽しませています。
アイルランドは曇り空の日も多いので、景色の中でこんな明るい色彩があると、気持ちもちょっと明るくなりますね。
この企画はギネスが協賛しているので、ギネスの見学施設内部でもアーティストの紹介パネルや作品を特設展示していました。企業が若い才能を応援している姿勢、素晴らしいです。
またアイルランドは、他の公共エリアでも様々なアートを見かけました。
このようにアイルランドは街中の様々な場所でアートに出会えることが印象的でした。
最後に
この夏、アイルランドで出会った様々なものを振り返って、いちデザイナーとして今後生かせる教訓を何か得られないか?と考えました。
例えば…
ケルズの書のように、完成度の高いクリエイティブを生み出すには
デザインの目的(感情的な訴求、認知度向上など)を明確にして、視覚的な美しさだけでなく、メッセージ性にも優れていることが必要。
アイルランドの国立美術館のように、身近な存在と思ってもらうためには
あらゆるユーザーにとって、親しみやすい表現になるようデザインを工夫したい。
街中で遭遇したアートのように、記憶に残るものを目指すには
単に視覚的に魅力があるデザインを作るだけではなく、感情的なインパクトを与え、見る者に強い印象を残すことが大事。
クラウドサインは「これからの100年、新しい契約のかたち」を掲げています。そして、今では電子契約サービスだけに留まらない、新たなかたちへと進化を遂げている最中です。そのためにも、今はデザイナーとしてできることを考えながら、日々仕事に励んでいます。そして時々旅に出て、いろんな事を吸収し、仕事へ何かしら還元できれば…と思っています。
ちなみに、クラウドサイン事業部がある弁護士ドットコムで働く人たちは、私のようにアートが好きな方が多いかも知れません。会社では事業部の垣根を越えた部活動が盛んで、例えば私が所属している「学芸部」(部員数50名以上!)では、気になるアートなどについて情報共有したり、有志で展覧会などに訪れています。そして私が会社で出会う人たちは、仕事以外にも、部活動や個人活動を通して追求したい事や好きな事にしっかり取り組んでいる人たちが多い印象です。
そんな人たちが集まっている弁護士ドットコム株式会社、ただいまクラウドサイン事業部にてプロダクトデザイナーを募集中です!
We are hiring🫶
クラウドサインでは、一緒に働くデザイナーを募集しています。
ぜひ私たちと、まだないやり方で世界を前に動かしていきましょう!
少しでも興味が湧いた方は、ぜひお声がけください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
明日のAdvent Calendarは、@swstさん、ちーやまさんの記事です。ご期待ください!