岡村ちゃんと教授 マニアックさとお茶の間
岡村ちゃんのライブに行ってきた!
私は昨日、大好きな私のアイドル、岡村靖幸さんのライブに行ってまいりました。zepp福岡です。もう本当にめちゃくちゃ良くて、素晴らしかった。
何がこんなにいいんだろうと思うんですけど、微妙なバランスなんですよね、微妙なさじ加減がたまらないんです。
かっこいいけどかっこよすぎない、キャッチーだけどキャッチーすぎない、マニアックだけどマニアックすぎない。すっごい微妙なさじ加減が、私、たまんなく好きなんだと思うんです。
そこにユニークさがあったり、叙情的な部分があったり、センチメンタルだったりして、そのバランスが絶妙で、それが岡村ちゃんの魅力なんですよね。
岡村ちゃんと坂本龍一さん
今、BRUTUSの公式youtubeで坂本龍一さんの特集をされてて、岡村ちゃんが坂本龍一さんのスタジオを訪れる動画が配信されてるんです。
以前、坂本龍一さんと岡村ちゃんが対談した音声を少し聞いてみました。坂本龍一さん、皆さんご存知の通りの本当に素晴らしい音楽家で、職人みたいな感じの方ですが、一方で、ポップな側面ももちろんあって、岡村ちゃんはそれを「お茶の間」という言い方をしていましたけど、マニアックさをポップさのバランスをすごく取られていたんだなあと思います。
マニアックな作り込みの話で言えば、今は最新式のものがたくさんあるのですが、少し前の、最新式ではあまりできないようなシンセサイザーで打ち込んでいたりして。その微妙な、つまみの回し具合や1ミリ単位のことに、その人の気や念が入る、という話をしてたんです。
最新式のものでパッとやったらあっという間にかっこいいものができちゃいますが、そこに行くために削ぎ落としている「気」みたいなもの、むしろそこを聞きたいから音楽を聞くみたいな話をしてて、その人の人間性がミリ単位の調整に出るんだみたいな話をしてたんです。
作りこみと大衆、マニアックさとポップさと
だけど、生きていかなきゃいけないし、食べていかなきゃいけないから、時間を短縮しなきゃいけない。本当にバランスですねっていう話をされていて。
職人的な部分と、自分の念を入れる部分にこそ価値があるみたいな。私はその部分でも、昨日のライブにすごく感動したんだと思います。
こだわりですね。そのこだわりに自分らしさや芸術的な部分が入っているから、うまく言えないですけど、私がやってる仕事も結構重なる部分があるなと思ってます。
簡単なもので簡単にすごい素敵なものが作れる時代ですが、そうするとどんどんスピードアップしますね。私がこれまで勤めた職場でも、常にスピードを問われてきました。市場で戦うには、スピード感は確かに大事です。
一方で、ミリ単位で動かすところにちゃんと意味があって、その人の気持ちがそこに入る、相手に伝わってくるものが全然違う、というがあると思うんです。私はそこを信じています。
それはやっぱりないがしろにできない。でも、そんなことしてたら仕事はこなせないし、悩んじゃう。悩むっちゅうか、ジレンマがあるわけです。ジレンマ、本当に。最近ではそんなデザインに出会う機会が本当に少なくなってきていると思います。
デザイナーとして譲れないこととのバランス
私が以前、北九州市立美術館で石岡瑛子さんの展覧会に行った時に、もう会場に入った途端に涙が出たのは、そういう「念」みたいなものが、ぶわっと来たんです。こだわり、美意識、大事にしてるものがぶわっときた。本当になんか、写真の粒子1粒1粒に美意識があって、そこだけは絶対に曲げちゃいけない、そんな部分が、私にバーっと来た。その大事さを最近感じることがなかった、今の時代のデザインに対して。
なんでもアナログにすればいいってもんでもないし、デジタルな部分もちゃんとできなきゃいけないけど、最終的な譲れない職人的な部分、ミリ単位の調整や力の入れ具合、抜き具合が、人間に伝える力、っていうのを諦めたくないし、大事にしたい。そこに触れた時に初めて人は感動すると思いました。岡村ちゃんのライブと自分の仕事を並べるのはおこがましい話ですが、そういうのを感じたんです。
バランスですね。本当にバランスだなと思う。文明の力はどんどんうまく使えばいいし、大事なところはしっかり時間かけてやっていいと思います。スピード重視の世の中ですが、伝わるってどういうことだろうって考えています。本当に難しい。私はアーティストでもないし、ただの広告屋ですが、伝える力って、近道も遠回りもある、バランスだよなとも思いました。
坂本龍一さんと岡村ちゃんのマニアックな会話が嬉しかった。涙が出そうになった。今日はちょっとマニアックなお話をしましたけど、好きな人が見てくれればいいですけど、岡村ゃん的な言葉で言うと、お茶の間の目線まで行けるような視点もすごく大事。マニアックな人たちのものだけじゃないし、特に私なんかマニアックな人たちを相手にしてる仕事ではないので、本当に難しいです。
また次のライブも楽しみだなと思います。今日は長くなってしまいましたが、そんな話をいたしました。皆様、良い日曜日をお過ごしください。
音声配信はこちら
https://stand.fm/episodes/67676f525b4f54dba052e51e