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 2024年7月3日に、旧優生保護法のもとで障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国を訴えた裁判の最高裁判決がありました。最高裁前には、暑さをしのぐため木陰に入りながら、支援者など1000人くらいが駆けつけていました。

 抽選の結果、傍聴することが許された私は、はじめて大法廷の中に入りました。

 裁判官が入廷し、静まり返った中で、判決文が読み上げられました。その言葉は、手話通訳とモニターにも一語一句映り出されました。私はその文字を追いました。傍聴者への情報保障ははじめだったそうです。

 判決は、旧優生保護法は憲法違反だと判断しました。

その理由は、

  1. 国は長期間にわたり障害がある人などを差別し、重大な犠牲を求める施策を実施してきた。責任は極めて重大

  2. 旧優生保護法の立法目的は当時の社会状況を考えても正当とはいえない。生殖能力の喪失という重大な犠牲を求めるもので個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反し、憲法13条に違反する

と指摘しました。

また、不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなるという「除斥期間」については、

  1. この裁判で、請求権が消滅したとして国が損害賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反し容認できない

と、15人の裁判官全員一致で退けられました。

 被害者のこれまでの戦いが"正義"の下で、全面的勝利を勝ち取った瞬間でした。会場では、涙を流して喜ぶ人がいました。突如、静まり返った法廷に拍手と手話での拍手が起こりました。
 「そっかここに正義が現れたのかと」私にとっては、おそらく一生忘れられない光景となりました。

 今回の全面勝訴の背景には、2023年10月、最高裁判所大法廷において、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」に基づく性別の取扱い変更におけるいわゆる「生殖不能要件」は、憲法第13条に違反し無効であるとの判決が布石としてありました。こちらの裁判もまた、15名の裁判官の全員一致によりなされていました。

 障害とLGBTQという、つながりをあまり感じてこなかった二つのいわゆる属性が、憲法第13条をもって権利について国と最高裁まで争っていたのです。そして、最高裁は、国が個人の身体について、手術等で生殖機能等への変更を迫ることは違憲であるということを、この一年で二つの裁判を通じて、憲法第13条を念押ししたということになります。

 なんだか、改めてLGBTQと障害の類似性を感じました。

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