マガジンのカバー画像

短編小説

3
運営しているクリエイター

#珈琲

【短編小説】 きみが苦いといったので

珈琲なんて
飲むつもりなかったのに
きみが苦いといったので
一口飲んだ
その日から、珈琲を頼むようになった

季節は流れ
好きな人ができたという彼女と別の道を歩むも
喫茶店の中、すれ違う

きみは苦いといった珈琲を懲りずに啜って
少し顔をしかめて、また啜った

この苦い汁が
ぼくの80%になってしまった
責任を取ってほしいけれど

きみは
後からやってきた人の前で
苦そうに珈琲を啜り
その人はそれ

もっとみる