不妊治療 #3 リセットに落ち込む
朝、おそるおそる基礎体温を測ると、前日より0.5度以上、下がっていた。ちょうど目を覚ました夫に、アプリの折れ線グラフを見せる。ほぼ垂直に急降下したそれを確認するやいなや一言「ごめんね」。私も「ごめんね」と返す。
リセットした。
今回は確実にタイミングを合わせられたので、うっすら期待していたけれど、現実は甘くなかった。
数日前、不妊治療を経験した友人(男性)にかけられた言葉が、ふと頭に浮かんだ。「ステップアップなんてしなくていい。時間の無駄。だめならすぐ決断せな」(こてこての大阪人なのだ)。4度の転院を経てようやく授かった時、彼の奥さまはちょうど今の私と同じ歳だったらしい。すぐ授かれるわけじゃない。時間がない。その現実を改めて突きつけられたような気がして、内心ドキっとしないわけではなかった。
タイミングが合っても授からない。
何が原因なのだろう。
今のままではだめなのかも。
後ろ向きな言葉が浮かんでは消え、浮かんでは消え。ただ、あれやこれや思いめぐらせる余裕はない。目の前には日々の仕事と家事。せっせとこなすうちにまた普段の自分に戻っていく。
冷静な頭で、先月より頑張ることを1つだけ決めて、また次の1カ月を始めることにした。