引き抜きは泥棒の始まり
トレーニングの“真の目的”は?
僕は決して、決して行ったことはないが、風俗店ではプレイの前に、イカつい定員さんから「店外デートの誘い」と「引き抜き」は禁止である、と念をおされるらしい。
お客のフリをした同業者が店の嬢をヘッドハントし、さらにその顧客を引き抜くことがあるからだろうが、風俗店に限らずクラブやキャバクラ、一般的な飲食店など、あらゆるサービス業にはこうした引き抜き行為が付きものと言っていいほど、横行しているのも事実だ。
僕たちデポルターレクラブも例外ではない。
悪く聞こえるかもしれないが、残念ながらトレーニングが目的のフリをして、トレーナーを引き抜こうと目論んで入会したがる人もいるのだ。
そもそも、デポルターレクラブの会員構成をみると、約半数は経営者の方々で、大企業の社長様から叩き上げの中小企業社長様まで幅広くいらっしゃる。
健康経営やヘルスケア、ウェルネススタートアップが世界的にも注目を浴びているなか、「今こそ健康ビジネスに参入したい」と考える企業が多いのも、出店のお誘いなど、僕たちに声をかけてくださる企業の数を考えれば想像できるし、財政的に少し余裕のある経営者ならば、一見すると参入障壁が低く、社会的価値の高いフィットネスクラブ事業を始めたいという意欲を持つことは、当然と言えるかもしれない。
“時間とお金と情熱”を奪うな
しかしながら、ジムの経営者としてあえて苦言を呈すならば、「引き抜きは泥棒と破滅の始まり」だ。
どの業種でも同じだろうが、僕たちはトレーナーやインストラクターを雇うにも、当然、リクルーティングや教育に多くのコストをかけている。
特にデポルターレ基準のパーソナルトレーナーを育成するには時間もお金も情熱も、かなりかかる。またデポルターレクラブの場合、広告やマーケティングなどの費用はほぼゼロだが、ブランディングにはこれまた時間もお金も情熱もかけている。
それをいともあっさり奪うのは「泥棒と破滅の始まり」だ。
僕自身、自分でいうのはおこがましいが、今から18年前、前職のトータルワークアウトではぶっちぎりNo.1のパーソナルトレーナーとして、著名人の顧客を多く担当させていただいた。
それこそ、世界で活躍するトップアスリートやプロスポーツ選手、芸能人、著名人、経営者などさまざまだ。
しかし、トータルワークアウトを退社してからデポルターレクラブをオープンするまで4年以上、この業界から離れていた。その4年間に、いろいろなジムをまわって「これぞ」というトレーナーに目星をつけたり、トレーナーを引き抜いたりする作業は一切していない。
もちろん、デポルターレクラブをオープンしてからも同様だ。
ありがたいことに、すでに職を退いたトレーナーから「新しいジムを作るなら、ぜひご一緒したい」という問い合わせをいただくことはあったが、現在どこかのジムで働いているトレーナーにこちらから声をかけたり、図々しく「ここを辞めて一緒にやらないか」など声をかけたりしたことは一度もない。
人として守るべき、暗黙のルール
聞くところによると、大手広告代理店やスポーツメーカーでも、「退社して最低1年は同業種への転職は禁止」という暗黙のルールが存在するらしい。
別に、誰かに教えてもらったわけではないが、僕もなんとなく「人として、そんなことはやっちゃいけないよな」と感じていた。(おそらくこれは、社会のルールとかモラルとか、あえて言葉にせずとも両親がちゃんと僕に教えてくれたおかげだろう。お父さんお母さんありがとう!)
以前、このnoteにも「良い顧客が良い店を創る」と書いたが、こんな引き抜きに応じるようなトレーナーの集まりには、決してポジティブな波動やエネルギーは生まれない。
ましてや、ジムの代表やオーナーでさえ、「いいモノは堂々盗む」という考えなのだから。引き抜きに応じた人は、再びおいしい話を目の前でちらつかされたら、また同じことを繰り返し、あっさりそのジムを裏切るだろう。
いずれ、そのジムが破綻するのは明らかだ。
人のフリ見て、課題に気づく
そうはいっても考え方を変えれば、このような行動をするトレーナーや顧客がいなくなるのは、デポルターレクラブにとっては良いことかもしれない。もっともデポルターレクラブの魅力が圧倒的に高ければ、トレーナーや顧客は意地でも僕らにコミットし続けようとするだろうから、つまる所は僕自身の問題なのである。
トレーナーの引き抜きは、僕自身の課題を教えてくれる。そしてそれに気づいた僕は、さらに進化し続けることを心に誓う。
泥棒だ、破滅だなどと言っているうちは、僕には精進が足りないのかもしれない。なんといっても、僕らは現状で満足してはならないのだ。
トレーナー、社員、なにより会員様のために、名実共に日本一どころかアジア一、いや、世界一のパーソナルトレーニングジムになるのだ。まだ全貌を明らかにすることはできないが、僕らはすでに、その階段を登り始めている。
もう少ししたら、「世界一」へ至るまでの道筋を、みなさんの前で明らかにすることができると思う。まずは2023年、必ず日本一になる。
何をもって「一番」というのか基準が難しいが、間違いなく、誰もが名実ともに「一番だ」と認める存在になる。
これから始まる僕たちの大きな挑戦に期待してほしい。
存在するなら進化しろ
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