【詩リーズ2】「ツノゼミ」

ツノゼミ

小学校だったか中学校だったかの卒業式
家に帰って来て音楽の教科書2みたいな本の中を漁っては
エレクトーンで弾き語って泣き続けていた
数時間はそうしていたように思う

『贈る言葉』や『おさななじみ』や『若者たち』が載っていた
『遠き山に日は落ちて』なんかも右側のページに載っていたな
別離の切なさが　悲しくて　気持ちよくて
やがて感性のアンテナの利きが悪くなって
とにかく泣きやむのを残念がった

「うたおう友よ」
たしかその音楽の教科書2みたいな本のタイトルだった
ことあるごとにGoogleやAmazonの中を覗いてみるけど
それらしい本は見当たらない

そんなことを思い出す時などに　感極まりすぎて
タイムトラベルの方法が本当にありはしないのかと
本気で思いはじめるから　また新たにブラウザのタブが増える

男に乳首は不必要だという意見があるけれど
ことあるごとに過去に戻れはしないのかと
真剣に思うこの脳の機能のほうが
よっぽど不必要だと思う

不必要　か？