【詩リーズ17】「あんまり会いたくない教師」

あんまり会いたくない教師

分かる者は　自分がなぜ分かるのか分からない
分からない者も　自分がなぜ分からないのか分からない

ミツバチは　自分のダンスがどれほどの情報量を持っているかを知らないし　学者たちは　自分の思考がどれほど他者の設定した情報を追っているだけなのかを知らない

そんな異次元の両者を橋渡しするものがあり
その最たるものの名を「苦痛」という

幾多の書物を読んでも分からなかったことが　人の死にまみえて膨大な知に出会うこともある
何度言われても理解できなかったことが　大病を通して瞬時に把握できることもある

あぁ…　そんな思いをしてまで　ものごとなど露ほども知りたくもない

だけど　不思議とそんな試練が未来の自分を救うこともあるらしい
歳を重ねると　しがらみからか　プライドからか　あきらめからか　ものが分からなくなってくることがある

苦痛は子供の頃には持っていた理知を　いくつか取り戻してきてくれる