「世の中を良くする不快のデザイン展」を終えて #09 プロデューサー・井口英哉のつぶやき
「世の中を良くする不快のデザイン展」企画チームプロデューサーの井口英哉です。皆さま、この度は、貴重なお時間を割いて足を運んでいただきありがとうございました。そして、この企画にご協力いただきました企業の皆さまには、改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。
2022年10月、中沢CDからの電話
昨年10月、クリエーティブディレクターの中沢から1本の電話。「この企画でプロデューサーに入って欲しい」との依頼がありました。突然でしたが、企画公募に参加していることは知っていたので、「あぁ、あの?」というのがファーストリアクションでした。
その時は、最終選考前の資料作りの最中。実施想定で施工会社のアサインや見積りなど、最終プレゼンに向けて少しアドバイスさせていただいた記憶があります。
ただ、普段の仕事はクリエーティブディレクター&アートディレクター兼プロデューサーとして働いているので、その時の内心は「時間あるかなぁ?」でした。というのも、タレント撮影絡みの案件を複数抱えていており、かなりいっぱいいっぱいでした……。
ですが、滅多にないプロジェクトなので、私で力になれるのなら(上司命令ですし笑)と、正直に中沢さんに現状をお伝えした上で、できる限り協力させていただくことにしました。今思うと、企画内容とデザインを見た段階で「これはいける!」と確信していたので、私自身のスケジュールが心配になっていたのだろうと思います。
ジ、ジオラマ? ありがとうございました西日本模型さん!
幸いにも私の予想が的中し、実施が決定しました! 早速、施工会社と会話して具体的なスケジュールや予算など、諸々相談しながら進行を進めるつもりでした。が、案の定、私が超多忙になってしまい、スケジュールや各所やり取りを鈴木P(プロデューサー)に任せることになりました。
その後、ようやく仕事が落ち着き復帰したら、今まで話に挙がっていなかった”ジオラマ”を作る案が浮上していました。確かに良いアイデアで、これが有るのと無いのとでは全然違うと思いました。一方で、「予算があるのか……?」と。ここから予算との壮絶な戦いが始まりますが、その予算の詳しい内容に関しては割愛します。
ジオラマを作るとなったら早速、決められた予算内で製作できる会社を片っ端から電話しては断られを6回ほど繰り返し、ようやく大阪にある株式会社西日本模型さんにたどり着きました。かなり本格的な模型製作をされている老舗の会社さんなので、最初は可能性薄だろうと思っていました。
ダメもとで電話すると、「予算内でなんとかしましょう!」と奇跡のような返事をいただきました。いざ、ジオラマ製作に入ると追加や変更もありましたが、そこをアイデアで工夫いただき、なんとか予算内で製作できました。ありがとうございました。
やっぱり頼りになります、ムラヤマさん。
会場全体の施工は、以前から私がお付き合いのある株式会社ムラヤマさんにお願いしました。クロスは制作会社ということもあり、施工の知見があまりないので全面的に相談させていただき、予算も含め大変お世話になりました。スケジュールの変更、内容の変更、当日の対応、また、開催中の修理から撤収まで、さすがムラヤマさんでした。
クリエーティブディレクター/アートディレクターもやるプロデューサーだから
今回は、企画チーム皆のクリエーティブ力と技術がたくさん詰まった展示となりました。私の役割としては、チームの皆と同じ立場で普段仕事をしているからこそ、なんとかその思いをできる限りクオリティ高くカタチにして、一人でも多くの人に見てもらいたいという思いのみでした。それは今までにない貴重な経験でした。
最後に、この「世の中を良くする不快のデザイン展」を通して、普段の生活にいろんな「デザインの芽」があり、たとえそれが不快でも世の中を良くし、花を咲かせることがあるということをたくさんの人に知っていただき、学ぶ機会になったなら嬉しいです。
これまで公開したコラムはこちら