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加算点数の話①

歯科医になった頃、
点数の算定は、早見表を見ながら、初診は〇点、充填は〇点、セットは〇点、などと、早見表に書かれている数字を拾って、処置名と一緒にカルテにボールペンで書いていました。
点数改定があって、「改定後の点数に慣れた」というのは、要は新しい点数を、早見表を見なくても覚えてしまうということでした。前装冠の点数も、FMC(当時はFCKか)の点数も、誰でもスラスラ言えていたので、金パラの仕入れ価格や、技工料には、今よりはるかに敏感だったと思います。
今は、同じ内容を訊かれても、レセコンを開いて初めてホントの数字が分かるという具合なので、医科の先生から、「金パラは今、どれぐらい逆ザヤなの?」と訊かれても、即答できずに、うろたえてしまいます。

ということで、昔の歯科医は、早見表が命だったわけです。
当時も今も変わらない点数は、レントゲン撮影のデンタルの点数ですかね。
デンタルは48点、2回目以降は38点、と単純に覚えていました。
自分でレセコンなど作らなければ、死ぬまで、この覚え方で不自由は無かったかもしれません。
それはそれで、幸せか。
ちょっと勉強すると分かりますが、
48点は、診断料20点、撮影料25点、フィルム料3点の合計です。
同部位2回目以降は、診断料が半分の10点になるので、10+25+3=38点というわけです。
なるほど、デンタルなど、レントゲン関係の点数は、診断料と撮影料とフィルム料の合計ということを覚えました。
補綴なんかも、技術料、装着料、接着材料料などの合計ということも、分かってきます。
それで、自分なりの、点数マスターを作って運用していました。
自分なりの点数マスターなので、改定のたびに、自分で修正しないといけません。いつも、算定する点数は、間違いがあってもすぐに気づいて修正できますが、間違いに気づかないまま放置されていても露見しません。

そして、いつだったか、電子レセプトが政策の視野に入った頃、歯科診療行為マスターなどが作成され公表されました。
国が作るマスターですから、これに勝るものはありません。
ただし、最初は不思議でした。
医科の診療行為マスターは1つだけなのに、歯科の診療行為マスターは、いくつもあるのです。
主となる歯科診療行為マスターだけでなく、サブマスターがたくさん。何やら、マトリックスなるものまであります。
今となっては、それぞれの役割は分かりますが、最初は戸惑いました。
結局、あれですね。
その時点で、歯科の算定要件は、細かいところまでルール化されていて、マスター1つだけでは手に負えず、ルールを視覚化するのに、サブマスターを用意しないといけなかった・・・、
と、好意的に解釈しています。

とあるIT企業に訪問した時、マスターがいくつもあるのは何故でしょうかね?と質問したことがあります。
答えは、「それぞれのマスターで(国の?)担当者が違うのだろう」という回答でしたが、きっと質問の仕方が悪かったのだろうと、納得できかねていました。
数年たって、また別の会社との会議の時、「歯科の加算について説明して下さい」と問われて、まったく、上手く答えられず、相手から呆れられてしまいました。

 紙レセプトの時代は、審査するのも人なので、レセプトには見覚えのある分かりやすい点数を書かないといけません。カルテのもその点数の記載があれば良いので、その構成単位を気にする機会もありません。
 一方、電子レセプトでは、加算コードも記載するので、カルテ入力からして、レセプト提出まで、全ての段階で、加算点数を上手に処理しないといけません。

それにしても、電子化を前提とした保険点数体系でなかった頃でも、摘要欄記載は多かったのに、電子化されて入力が簡単になった分、やたら摘要欄記載が増えている印象があります。
もはや、電子カルテをそのまんま提出するから、そっちで上手いこと計算して、報酬だけ振り込んでくれ、という気になります。

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