みんなに知って欲しい歯科の話5(虫歯以上抜歯未満)
ここまで虫歯にフォーカスを当てて話して来ました。
虫歯は、自律性を持ち限られた範囲で大きくなり不可逆であると。
最終的には、根だけのカケラとなってしまう。(c4)しかし、多くの場合それまでに痛みがあり治療介入が行われます。
では、虫歯以上抜歯未満の世界へ誘って行きたいと思います。
虫歯から抜歯に至るまでどんな工程があるのか見てみましょう。
これは、全てが失敗に終わった場合抜歯になるアプローチです。
虫歯→歯髄保存(神経の保護)→抜髄(歯の神経を抜く)→根管治療→再根管治療→最終手段数種類(後日詳しくします。)→抜歯
かなり大きな虫歯(C2〜C3)において症状や所見から、見込みがあれば歯髄保存(神経を守る)を目指します。
これは、
神経のある歯>神経のない歯
が成り立つからです。
学術的にも諸説ありますがそれらを加味しても
神経のある歯≧神経のない歯
が限界でしょう。
神経保存を行う事が出来たら、修復処置(詰め物、被せ物)を行い治療終了です。
もし、保存が叶わなかった場合
神経を抜く事(神経に付随した「血管」ごと)になります、根の治療(根管治療)へと移行する訳です。(これも次回書きます。)
ここで重要なフレーズを書きます。
『歯の神経(歯髄)が残るに越した事は無いが、取らなければいけない時は、取らなければいけない』
です。
たまに、患者さんでおられます。
激痛があるのにも関わらず。
「神経だけは抜きたく無い、神経を抜くと言うなら帰る‼︎」と言う方が、
数日もすれば、激痛は無くなります。(それまでは地獄の痛みですが)神経が死んでしまうのです。
死んだ神経は、ただのタンパク質の塊になります。そのタンパク質にある日ある時、細菌が繁殖し始めます。個体のタンパク質を分解します。
分解という事は、1つの物をバラバラにする事です。体積が増えます。
増えた体積は、歯の中に留まることが出来ず根の先(神経の入り口)から出ていきます。
周りの組織を押し広げる様にミチミチと圧迫していきます。
これを歯髄エソ(壊疽)と言い、激痛があります。
この状況に及んでも
『神経を抜きたく無い』と言われる方もいます。
神経はもうそこには無いのです、神経だった物はあるかも知れないけれど…
神経はナイーブ、一度トライしてダメだったら諦めが肝心‼︎
これに尽きます。
今日はこの辺にしましょう。
この世から、歯に関する憂いが無くなりますように。