義歯調整の勘所2
どうも勤務歯科医師のかずぴんです
以前に義歯調整の勘所を書きましたが、今日はその続きを少し書いてみます
歯科医療にかかわる方に少しでも参考になれば幸いです。
メンテナンスでは義歯咬耗を必ずみましょうという話です
・メンテナンスにおける義歯の管理
以前に、義歯を構成する要素において、最も変化に富む部分は人工歯であろうと持論を展開しました。ですからメンテナンスにおいても同様の考えを適応しています。つまり、義歯使用患者がメンテナンスに来院されたのであればその間の義歯の咬耗は(義歯が適正に使用されているのであれば、)かならず生じていると考えるのです。
しかも、義歯を見るだけで、その人の習慣性咀嚼がわかります。どういうことかと言いますと、人工歯の質感を見るんです。人は、左右均等に使用し咀嚼するということは少ないですから、まして義歯を使用している患者は、残存しの条件の良いところで咀嚼を行うでしょう。ですから、義歯を口腔外にとりだして咬合面を確認するんです。よく使用している部分は、人工歯咬合面の機能咬頭が咬耗し、質感がシャインになっているはずです。咬耗面が多い方が習慣性咀嚼側です。
ただ、ある程度長期間未調整の義歯を使用している患者は、本来の習慣性咀嚼側の咬耗が進行しすぎているため、むりやり反対側を使用し咀嚼していたりもします。そうすると、左右両側において咬耗が極度に進行し習慣性咀嚼側が判断できない場合もあります。どの程度の期間義歯が未調整であったかを加味し考察する必要があります。
・対応
わたしは、いつも、操作の簡便性、時間短縮のために即時重合レジンではなく、充填に使用する光重合レジンを用いて咬合面の咬耗量に応じ修理を行います。
患者が義歯を使用すればするだけ咬耗は必ず生じます。
ですから、咬耗の認められない義歯をお持ちになった患者には、「義歯は使っていますか?」と確認します。
多くの場合、義歯を使用していません。しかし、患者を叱ることは決して行わず、義歯に対する患者の思い、歯の欠損に対いてどのような向き合い方をしていくかを考えるだけでよいと思います。
「義歯を使うことなんてどうでもいいんですよ」と思い切っていってしまいます。患者は驚きますが。
患者「義歯使わなくていいんですか?」
わたし「別に義歯を使うことはなんらゴールではないですよ。あくまで真のゴールはあなたの口の健康が少しでも長く保たれることだけですから。でも、残念ですが今あなたのお口の状態をみると、奥歯が無いですから、噛む機能は低下しています。ですから、こう考えたらどうですか。普段は入れ歯無しで残ってる歯で噛めるものだけ食べる。で、もし歯ごたえのあるものを食べたいときは、その時だけ入れ歯をつかう。これでどうでしょう」
わたし「で、もし入れ歯は使いにくかったり、痛かったりしたらまたおしえてくださいね。」と。言います。
結局患者と話しをするだけですが、この患者と向き合うという過程こそを私は重視しています。
以上