
虫歯が無いのに神経が死んじゃった話
どうも勤務歯科医師のかずぴんです。
表題は、
歯科医師風に言うと
「カリエスを認めないバージントゥースに失活を生じた1症例」
ということです。
歯科医療関係者以外にはチンプンカンプンな表題ですね。
ブログ再開して、私の歯科医師としての臨床経験から得られた知見を書いていくというスタンスなんですが、まだ文体が定まらなくて、いかにも初心者、な感じですがそれもまたいいですねw
いつか見直してリライトするとき(来るのかわからないけど)笑えるかも。
私は、力による歯牙微小構造の破壊および細菌感染によりカリエス、根尖病変などの歯科疾患が発生する、という立場をとる歯科医師です。
今日は、前回の記事に続きその論拠となる、ある症例を提示します。以下症例検討風に記載してみます。
内容はかなり専門的になります。では、最初術前のレントゲンを示します。
患者基本情報 女性 若年
主訴「はぐきが腫れてきた」
既往歴 特記事項なし
歯牙既往歴 外傷経験なし、患者にはTCH自覚なし
口腔清掃状態良好
口腔内所見 清掃状態良好、左上1根尖相当部頬側歯肉に歯肉腫脹を認め、歯肉軽度圧痛あり、歯髄診断にて失活を確認、視診にて明らかなカリエスや治療痕は認めない。歯周検査においても病的ポケットは認めない、
レントゲン所見 明らかなカリエスの形成は認めない。左上1根尖にリージョンを形成している、歯根はやや短く成長不全の疑いあり、歯髄腔はわずかに拡大傾向を認める
診断:外傷によらない外的力による歯髄壊死 根尖性歯周炎
患者への聴取においても外傷の既往歴はなく、また明らかなカリエスも認めない、そして、患者自身は歯ぎしり食いしばりの自覚はない。しかし実際には明らかな歯髄壊死を来している。原因もなくこの状態にはなり得ないと考える。
これは即ちカリエス、外傷によらない歯髄の壊死が起こりうる証拠であり、私の提唱する力による歯牙の破壊という病態を表している。
つまり、歯髄壊死の機序はこうである。
外傷既往はないが、力の作用によるものである。おそらく、患者の自覚なしに、上顎左側前歯に限局した力の負担が生じ、それも瞬間的なものではなく繰り替えされる習慣化したものであると推測するが、左上1根尖の局所の循環障害が生じ歯髄が長期間にわたり虚血状態であった。虚血が長期間続いたことにより歯髄栄養が障害され徐々に歯髄壊死へと向かったのである。
この場合の限局した力の負担とは、多くの場合患者の無意識下に発揮される睡眠時の力、歯ぎしりや食いしばりである。そして上顎前歯の破壊という点は、この部位に局所的に力が加わる環境であったと解釈すればよい。
うつぶせ寝、であろう。ほぼ間違いなく。うつ伏せの体勢をとることで下顎は前方に変位し、頭部の自重が前歯に加わる、さらにその状態でTCHが発揮されたとすれば、前歯の、それも上顎左側1のみが破壊された状態も矛盾しない。ブラッシング技術に原因を求めるのであれば、カリエスが複数歯にわたり発生していなければならず、1歯のみの歯髄壊死は矛盾しており、さらにこの症例はカリエスがないのである。
力による破壊という理論は上記を一切矛盾なく説明しうると考える。
治療方針:感染根管の処置および咬合管理、患者への睡眠時の体勢の確認や生活指導、ナイトガードの作成
治療は通法に従い、感染根管治療を行い(根充直後レントゲン 下図参照)
アクセスホールをレジンにて充填し咬合調整を入念に行い、その後数回の来院のたびに歯牙挺出の有無を慎重に確認し複数回の咬合調整を行った。患者への睡眠体勢指導、ナイトガード使用を指示した。
今後もメンテナンスごとに咬合の確認を行う予定である。