咬合トラブルと補綴設計の関連①
どうも勤務歯科医師のかずぴんです。
ご覧いただきありがとうございます。
今日も歯科治療、がテーマです。
ズバリ、
「補綴設計について!!」
はい。ド専門的内容で恐縮です。
早速、症例を示していきますね。
結論
「咬合トラブルが歯科疾患の主因であり、咬合トラブルの重篤なケースにいて歯冠補綴が適応される。すべての補綴治療において、咬合トラブルの治癒反応を応用する、即ち歯牙の挺出や傾斜などの移動を術前に予想することが必須である。」
症例①
当院における一般的なカリエス処置の経過を示す
患歯は左上4、この部位は犬歯に近接しており咬合接触のガイドに参加することが多く、側方力の発生による破壊を比較的受けやすい部位であると言える。
本症例は、歯頚部から発生したカリエスが歯髄に達しており根管治療後歯冠補綴処置を予定している。
根充後を示した。
次に、歯冠補綴へと進め(当院ではいまだにFCKと表記いているが、FMCのことである。)
技工指示書を示す
日本語が稚拙で恥ずかしいのだが、NoBTとは咬合を模型上で付与しない状態で補綴物を作成せよという指示である。実際には咬合器上で対合歯と0.5~0.8mmほど空隙を設けて作成する。一般的な技工士であれば躊躇されるかもしれないが、当院では提携ラボと何度も知識の共有をし、現在問題なく作成していただいている。この設計に疑問を持たれる歯科医師もおられよう。しかし、私は、この作成コンセプトは必須であると考える。
次に、無調整で口腔内に指摘し咬合印記したものを示す。
機能咬頭に着目していただきたい。しっかりと咬合印記が確認できる。
ついで模型上の様子を数枚示す
かように作成したFMCが、実際の口腔内では咬合接触している、もちろん、支台歯への適合は問題ないという状態である。この状態は即ち、形成後からセットまでの期間での支台歯の移動、を示す証拠である。
術前の歯牙移動を予測する
この点を意識し治療を行う歯科医師は多くはないかもしれない。
本症例は、通法通りの咬合調整を行いセットできた。
仮に、通法通り咬合器上での咬合接触を付与した状態で技工士が技工物を作成したと仮定すれば、咬合調整を終えるまでの時間はいかほどであろうか。また、咬合面形態を損なわずに調整可能であろうか。
しかし、私はこのコンセプトを取り入れあらゆる歯冠修復処置に応用し、技工士の作成した美しい咬合面形態を損なうことなく補綴治療を行うことができるようになり、また、調整に要する時間も大幅に短縮することができた。
次回以降も症例を示していくが、わずかでも歯科医師の皆様の日常診療に寄与できればと願う。
ご覧いただきありがとうございます。