歯科治療におけるソウルケア
これは以前書いた原稿なんですが、初めてネットにあげます。最初に断りますがかなり長文です。
では。
ソウルケア、というのは筆者の考えた概念である。歯科治療の技術論ではなく、精神論、コンセプトである。
簡単に述べると、患者の歯科疾患の治癒を目指すものではなく歯科疾患を抱える患者の精神的苦痛を取り除くことに主眼を置くという概念である。以下言語化していく。
筆者はこの概念を考案してから、歯科医療との向き合い方も変化し、もちろん良いと思える方向にだが、患者からの反応も悪いものではないと考えている。義歯を使用できない患者、予約時間を守られない患者、実現不可能と思える要求を突きつける患者、対応に苦慮する場面は非常に多いと思われるが、このような状況においても自身の精神を大きく
乱すことなく対応できている。
筆者の感じる診療上に生じるストレスも軽減されたように感じる。患者のソウルをケアするという概念は、患者と向き合る自分自身のソウルも安静たらしめるのであろう。
ソウルとはすなわち精神・心である。ソウルをケアすると言う事は患者もつ苦痛を物質的・物理的アプローチによらない方法で取り除くことを指す。何らかの治療技術を提供することではない。
我々はあくまで歯科医療従事者であるから、診療行為としては歯科的な対応しか行うことができない。しかし、診療行為医療行為など法的拘束のある行為以外の、あらゆる非物質的な精神的アプローチは何ら妨げられてはいない。患者の抱える歯科疾患に関わる精神的苦痛・苦悩それらを少しでもだけ緩和するということがこの概念である。具体的な治療技術によりもたらされるものではなく、患者との価値の共有、主に会話の中で生まれる新たな気づき・価値観によりもたらされるものである。
殊に歯科医療従事者は、物質的なアプローチを好む傾向にあるように感じる。外科処置を主とする医療の性質上、歯科医療の特徴でもあろうが、何か物理的変化を患者にもたらさなければならない(抜かなければいけない、補綴治療を行うべきである、など)という観念にとらわれやすい傾向があるように感じる。もちろん、不可逆的外科的歯科治療によってのみもたらされる治療結果は欠くことのできない最重要な要素ではある。
ここから先は
¥ 100
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?