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老舗のあじわい。

昔ながらの喫茶店。
マスターと、奥さんの二人でやっているお店。
店内はジャズなのか、なんだか心地よい音楽が流れている。
カウンターでは、常連さんとおぼしきお客さんが、マスターと談笑している。
話題は「高血圧対策について」。
なんだかとっても、身近な感じがして居心地が良い。

こういう、”昔ながらの喫茶店”ってなんでこんなにのんびりゆったりとした気分になれるのだろう。

新しい、おしゃれな感じの喫茶店、カフェと言うべきか?にいると、なんとなくそわそわ、もぞもぞしてしまうことがあるのに。

でも、この昔ながらの喫茶店だって、おしゃれでないわけではない。
むしろ、おしゃれだ。
新しいところとは違う、年を重ねた重厚な感じのおしゃれさがある。

ではなぜ、落ち着くのか。

それは重ねてきた年月の為せる技なのではないかなぁと思う。

店内は飴色に鈍く光るテーブル。
飾られたカップは触るときっとつめたいのに、なんとなく暖かさも感じられて。
音楽もお店の中に吸い込まれていくよう。
そして、マスターのたたずまい。

それはきっと一朝一夕で出来上がるものでなく、
いままでいろんなお客さんが座って使ってきたテーブルではもしかしたら恋が生まれたかもしれないし、
マスターも若い頃は実はもっと尖っていたかもしれない。
そんな”物語”が刻まれている感じが、店内から伝わってくるから、きっとゆるぎなさを感じるのだ。

良い意味で変わらないこと。
老舗の喫茶店にはそれが詰まっている。

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