思いやりや慈悲と訳されるcompassionという語について
Compassionは思いやりや慈悲と訳されるようです。私自身、compassionという語を聞いた時に思いやりや仏教的な慈悲を考えていました。ただ、良く見るとcompassionはcom + passionで、単語の中にpassionがあるんですね。
少しcompassionが気になったので、まずは語源を調べてみました。
Googleで、「英単語 etymology」と検索すると語源が調べられます。よく知られたEtymonlineというオンラインの語源辞書もあります(https://www.etymonline.com/)。
それらで調べると、compassionはラテン語由来で、com(together, with) + passion(suffer)から構成される語のようです(ラテン語に詳しい友人にも確認しました)。つまり、共に苦痛を経験するということがcompassionの原義なようです。
さらに、宗教的な観点から考えれば、passionはキリストの受難を指す言葉です。ええと、日本語でパッションというと情熱という意味が一般的かもしれませんが、情熱だけではなくて受難という意味もきちんとあります(https://eow.alc.co.jp/search?q=passion)。
キリストの受難は、群衆から嘲られ十字架にかけられたキリストの物語を指します。さらに、この受難はキリスト自身のための贖罪ではなく(キリスト自身が罪を犯したので十字架にかけられたわけでは決してありません)、罪のある人類への救済であったとされます。
十字架にかけることを望んだ群衆のため、そしてその群衆と何ら変わらず過ちを犯してしまう私たちのために、イエスは祈ってくださったのです。このような、他者のために心を砕くという、大変深い苦痛が受難が意味するところです。
Passionを引き受け、passionと共にあること(com + passion)を選んだイエスの生涯を考えるとき、私たちが持つべきcompassionのあり方は自ずから決まると思います。