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33の瞳
2022/05/30 新宿のホテルにて録音しました。 33の瞳 窓がバタバタ鳴っている ことばはいま黙っているがいなくなったわけではない 光、 あるところにはあって温かいらしいが 僕は僕のほんとうを積み上げるのだ うららかな賽の河原だ 風、 真っ直ぐな白線上に風が吹く 白線は何とも交わらず 風もまた地上の一切とは無関係である 声、 生活は人類史の一断面であり 僕が去ったあとに残るものと 残らないものとが、今ここで 骨と肉とのように混ざり合い この声は残らないものである 夜、 みっつの目をもつ生き物が11次元から 33の瞳を光らせている 腕の形をした夜に閉じ込められて 指を濡らしているうちに これは罠だったのだと気づく だから夜な夜な音をたてては三つ目たちを威嚇するのだ 存在しない島国の歌をうたって 石、 僕は石に歌をきかせてやった。 再び光、 あるところにはあって温かいらしいが 僕は33の瞳をひらいて 誰にも知られぬ風や声や夜や石を積み上げるのだ ここはうららかな賽の河原だ 窓がばたばた鳴っている ことばはいま黙っているが、いなくなったわけではない