猫さんの歯肉口内炎について part2 保護猫活動されている方には知ってほしいあれこれ
さてPART1では猫の歯肉口内炎は単なる歯周病の延長ではないんだよ
ということを定義や分類をお話しすることで示しました
今回はもう少し掘り下げて見ましょう
1:歯肉口内炎は非特異的な臨床兆候を呈します
これが出てたら口内炎だねというような臨床所見はありません
羅列します
・ 下顎リンパ節の腫脹
・ 口の中の痛み
・ よだれ
・ 飲み込みにくい
・ 口臭
・ 食欲低下
・ 口の中から出血
・ 毛艶がない
・ 体重が落ちる
・ 口を開けるのを嫌がる
・ 食後に食べたものを出す(吐くというより出す感じ)
・ 毛づくろいをしなくなる
・ 攻撃的になる
この辺りは歯肉口内炎の可能性があります
非特異的ということで、他の病気にも当てはまります
鑑別は獣医師の仕事です
早めに病院に連れてきてください
2:案外、発症率は低い
歯肉口内炎は意外と発症率が低く5〜7%
歯周病は70〜80%とされています
簡単に口内炎とされてしまうと過剰な治療になる場合がありますので
しっかりと診断して行くことが大事です
3:歯肉口内炎は純血種に多い
と教科書上はされてますが、品種による本症の発生はないという報告もあります
僕自身、品種というより保護猫さんに多いという印象です
4:多頭飼いのご家庭で多い
多くの報告で指摘されています
5:原因はわからない
ウイルスなのか細菌なのか混合感染なのか、これらに対する免疫反応なのか
正確なコンセンサスはとれていません
ただし
ほとんどの歯肉口内炎のニャンコはFCV(猫カリシウイルス)に感染していると言われてます
また、FIV(猫エイズ)、FeLV(猫白血病)、FHV(猫ヘルペス)への感染率も高いです
よってウイルス関与説は濃厚です
また
罹患猫と非罹患猫の口腔内細菌はほとんど差を認めないとされているため
細菌の関与は不明です
ただし、歯肉口内炎の子をスケーリング(歯石除去)すると
症状が軽減することもあるため細菌の関与は否定できません
という感じでPART2は終わります