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山中智恵子 歌集 水原紫苑編 書肆侃侃房

山中智恵子の歌集、1925年-2006年、「現代の巫女とも評され女流における前衛歌人の代表的存在である(Wikiから)。
この人の歌集をどれほどの人が待ち望んでいたか、かく言う私も実に実に待ち望んでいた。そして私が大変失礼ながら神と崇める水原紫苑様の編で読む日が来るとは夢のようである。
とかく難解、と言われる山中智恵子であるが、難解だけではなく来歴やその日常まで、知ろうとするだけで相当難渋する歌人であり、その姿を紹介頂くには短歌界のご仁でなければ無理と思う故、水原紫苑は全くもって相応しい。
私の手元には1977年版の国文社、現代歌人文庫「山中智恵子歌集」があるが、その後の歌集はほゞ未読のままであった。それら未読の歌集も抄ではあっても読むことが出来る。
感想などない、と言うしかない。
この歌人の歌を知って数十年。いつも山中智恵子の歌は脳裏によぎった。
夕方に、真昼の空に、そして暗い夜空に、常に山中智恵子の歌を思い浮かべた。
これからもずっと山中智恵子と供にある。
幸せなことだ。
この1冊はあの世へ行くまで座右の愛読となる。いや、あの世へ行っても愛読したい。

最後尾の未完歌集「青扇」から

伊勢の闇には何事か在る 伊勢に開くは〈わたくしのやみ〉の〈わたくし〉の墓
橋いくつわたり尽くさば死の来る このよろこびは現世(うつしよ)ならぬ