ミルメコレオとアリジゴク
ウナギイヌ、と云う生物がいる。父は犬、母は鰻の雑種である。
同じ科の下の別種間の雑種を種間雑種と云うが、犬は哺乳綱、ウナギは硬骨魚綱であるので、綱間雑種となる。
ミルメコレオは、更に脊椎動物門の垣根を超え、節足動物門との雑種であり、門間雑種である。
ミルメコレオは、父がライオン、母がアリ、である。
それは、ライオンの精液が大地に浸みて、地中のアリの卵に受精するところから始まる。
その姿は、上がライオン、下がアリ。顔がライオンの場合もあるし、上半身までがライオンの場合もある。その場合は、前足がライオン、中足と後ろ足が蟻であると云う。
発生は、蟻の巣の中。地上に出て肥大する。だが、地下で肥大してしまって窒息し、命を落とす個体も多い。
食性も、個体に拠る。上半身のライオンは肉食なので動物を狩るが、下半身のアリは草食なので消化することが出来ず、これまた命を落とす個体も多いと云う。
その元ネタは、ヘブライの伝説上の生物、ミュルメクスと云うのが居て、それはライオンの化け物なのでギリシアに伝わった時にミュルメクス-レオ、と注釈が付いたと云う。
ミュルメクスは、ギリシア語で「アリ」の意味なので、字面からアリライオンが出現し、絵が描かれたりして欧州のモンスターとなった。
そして後年、ウスバカゲロウの幼虫がアリを狩る様子にピッタリとフィットする語と云うことで、アリジゴクの英名はアントライオン(Antlion)が充てられた。
それは結構後年に人為的に付けられたらしいが、それ以前は蟻地獄はなんと呼ばれていたのかは、知らない。
日本のキリンも、人為的な名称である。上野動物園の石川千代松さんが付けたとされる。
だから中国では、キリン(ジラフ)のことを麒麟とは云わない。長頸鹿、である。
だが、中国・明代に、ローラさんの故郷からキリンが贈られた時、明ではそれを麒麟としていた。
ローラ、きりんさん贈っちゃうぅ。うふ❤。
榜葛剌国から麒麟が来た、と、永楽帝は大喜びしたらしい。
榜葛剌国は、現在のバングラディシュ。インドあたりにはインドライオンやインドゾウやインドサイはいるが、インドキリンと云うのはいない。キリンはアフリカの方だけである。
どうも、中東の国から榜葛剌国(ベンガル・スルターン朝)に贈られたキリンが、更に明の永楽帝に贈られた、らしい。
だから石川さんのキリンの名付けは、オリジナルではない様だ。
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