「何事にも拘らないのが、私の拘りだ」と言う人がいますが、その言い回しは矛盾に満ちています。
”拘り”という言葉は、良い意味でも悪い意味でも使われます。ただし、源義の”拘り”は悪い意味で使われていました。拘りを含む拘泥という言葉は、”様々な考え方があるなかで、一つのことのみに意識が向き、縛られてしまうこと”という意味です。
拘りのポジティブ(肯定的)な例を考えてみましょう。例えば”食に対する拘り”についてです。最近は、ベジタリアンやヴィーガンなど、食に拘る人が増えているように思います。ベジタリアンやヴィーガンは、食の素材に拘っています。この姿勢が単なる流行やポーズではなく、食を大切に捉える姿勢であれば、ポジティブな表現となるでしょう。
しかし、食に対する執着が強すぎて、好みに少しでも合わないものは受け付けられないのであれば、ネガティブ(否定的)な表現ともなり得ます。自身の思想・信条で食に拘るのは全然構いませんが、拘りが強すぎるあまり、他人にまで強要するのは頂けません。
私は、どちらかというと空腹が満たされればいいという方なので、素材・調理法・味わい・栄養・盛り付けなどの、食に対する拘りはありません。でも、美味しいものは好きですし、美味しくないものを進んで食べるようなことはしません。
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