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私の”秘密基地”遍歴

 秘密基地は男のロマンです。今回は、私の”秘密基地”の歴史をお話します。

 最初の秘密基地は、小学5年生の頃でした。私が住んでいた地域には、子供がたくさんいましたが、同学年の子供が近所にいませんでした。学校がある時は、少し離れた同級生の家まで遠征して遊んでいましたが、土日は近所の子供たちと遊んでいました。近所のガキどもの中では私は一番年上だったので、私が”隊長(リーダー)”でした。腕力も人望もありませんでしたが、年長者なのでそれなりに敬意を集めていました。

 最初に作った”基地もどき”は、秘密でも何でもなく、近所の空き地を利用した簡素な基地でした。小学生が作るものですから、適当に整地した空き地に、枯れたセイタカアワダチ草の茎を利用して、部屋を仕切ったシンプルなものでした。その空き地には、脱穀後のわらの山が置かれていたので、基地の内部にその藁を敷き詰めて、プロレスごっこなどをしていました。

 2つ目の秘密基地は、小学6年生の時に作りました。なぜか、クラスの同級生と秘密基地を作るプロジェクトで話が弾んで、まずは候補地を探すことになりました。空き地は結構ありましたが、周りからは丸見えなので却下され、最終的には友人Aの自宅近くにある竹藪が候補地になりました。秘密基地のプロジェクトメンバーは4人くらいだったと思います。

 メンバーの中で一番の優等生・友人Bが、基地の設計図(見取り図)らしきものを作っていて、その通りの間取りで秘密基地を作ることになりました。竹藪中である程度まとまって地面が出ていることろを探して、そこを基地の場所に決めました。次は、農家の友人Cが家から勝手に持ってきた鎌などを使って、竹藪を開墾していきました。今考えれば、他人の土地に勝手に入るわけですから、立派な不法侵入罪です。最後に、笹竹を利用して、設計図通りに部屋の仕切りを作りました。

 土曜の午後からはじめて、次の日曜のお昼ぐらいには何となく基地の全貌が見えてきましたが、なにせ飽きっぽい小学生です。日曜の夕方ごろにはみんな作業に飽きてきて、続きは来週やろうということになりましたが、その後はしばらく放置されたままでした。

 2-3週間後に、思い出したように、「秘密基地の様子を見に行こう」と再び盛り上がりましたが、秘密基地は無残にも破壊されていました。ガッカリしながら竹藪を離れようとしたときに、本当の”秘密基地”を発見しました。その秘密基地は、高さは1mくらいでしたが、廃材を利用した頑丈な作りになっていました。また、屋根もしっかりあって、雨も防げそうでした。また、周囲にはトタンが貼られていました。

 その秘密基地に心当たりのあるメンバーが言うには、その基地は近所の不良高校生が作ったのではないかとのことでした。たしかに、その秘密基地周辺にはタバコの吸い殻などが落ちていました。不良高校生に絡まれたら怖いので、我々メンバーは急いでその場から離れました。それ以後、我々が作った秘密基地のことは、何となく触れないようになりました。

 大人になっても”秘密基地”という響きには憧れます。テレビのグルメ番組でも、”大人の隠れ家”的な料理店などが紹介されることがよくあります。”秘密”や”隠れ家”には隠微な魅力があるようです。サンダーバードの秘密基地のような本格的なものは無理ですが、いつか自分の”秘密基地”を持ちたいと思っています。

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