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現実と仮想現実と拡張現実と複合現実

 虚構現実の組み合わせなら、両者の識別は出来ますが、それでも”虚構と現実”の間には曖昧さが残ります。虚構は”嘘”と言ってしまえばそれまでですが、”現実”が100%正しいとも限りません。『2001年宇宙の旅』で知られるSF作家アーサー・C・クラークは、「高度に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」と言っています。”現実である科学技術”が”虚構である魔法”と区別がつかないのは、何とも皮肉な話です。

 高度に発達した技術でなくても、時代が違えば夢のような魔法にさえ思えるでしょう。例えば”使い捨てライター”も、もし江戸時代にあれば”魔法の道具”でしょう。逆に、ドラえもんがポケットから出す数々のアイテムも、未来の世界では当たり前の科学技術なのでしょう。

 虚構と現実の関係だけでもヤヤコシイのに、最近では仮想現実( Virtual Reality; VR)、拡張現実(Augmented Reality; AR)、複合現実(Mixed Reality; MR)というものまであります。ざっくり言うと、仮想現実は人工的に作られた仮想空間を現実かのように体感させる技術です。また拡張現実は、実際の画像や映像とCGの映像を合成することで、現実感のある仮想空間を作り出す技術です。有名なのは、2016年に登場したゲームアプリ『ポケモン・ゴー(Pokémon GO)』です。最後の複合現実は、CGで人工的に作られた仮想世界と現実世界を融合させる技術を指します。

 VR・AR・MRの大きな違いは、これらを使うユーザーが、どこの世界をメインにしているかの違いだそうです。VRは現実世界とはまったく異なる完全に作られた仮想世界がメインですが、ARは現実世界をメインとして仮想空間の情報を付加しています。そして、MRは仮想世界がメインで、現実世界の情報をデジタル空間に反映させているのが特徴です。

 このように説明されても、”各種の現実”の違いがピンときません。我々は広大な宇宙空間(現実?)の一部ですが、本当に”現実”なのでしょうか。宇宙の大部分はまだ未解明のダークマターやダークエネルギーが大部分を占めています。こうなると、宇宙のほんの一部である”物質”から構成される我々自体が現実かどうかが怪しくなってきます。

 この記事はまだ”人間”が書いていますが、”人工知能”が人間と同じような記事を書くようになれば、見分けは付きません。我々は、虚構と現実が交じり合う摩訶不思議な世界に住んでいます。根本的な問いですが、「現実とは何でしょうか?」。

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