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おもちゃのチャチャチャ
軽快なテンポで始まる『おもちゃのチャチャチャ』は、子供の頃に一度は聞いたり歌ったことのある有名な童謡です。しかし、この歌は野坂昭如さんの作詞、越部信義さんの作曲で作られた、元々は大人向けの歌でした。
当初は、大人向けのバラエティ番組で一度だけ使用される予定でした。しかし評判が良かったためか、野坂さんが書いた「おもちゃが夜会を開く」というコンセプトはそのままにして、吉岡治さんが子ども向けに全面的に歌詞をリメイクしました。そのため、この歌の作詞・作曲の表示は、野坂昭如作詞、吉岡治補作詞、越部信義作曲 となっています。
この歌が、NHKの幼児音楽番組『うたのえほん』で紹介されてから、スマッシュヒットして現在へとつながっています。なお、この曲は、1963年に第5回日本レコード大賞・童謡賞を受賞しています。ところで今は、”童謡賞”というのはあるのでしょうか?。
私たちが知っている『おもちゃのチャチャチャ』の一番の歌詞は、次の通りです。
そらにきらきら おほしさま
みんなスヤスヤ ねむるころ
おもちゃは はこをとびだして
おどる おもちゃのチャチャチャ
オリジナルの歌詞は、以下の通りです。
夜のとばりが おりまして
星がキラキラ 光ったら
おもちゃの箱は 目をさます
おもちゃとおもちゃの チャ チャ チャ
やはり、大人向けの歌詞は雰囲気が全然違います。”夜のとばり”というフレーズは、ムード歌謡や演歌に出てきそうです。
野坂 昭如さんは、『火垂るの墓』などで知られる小説家で、アメリカ占領下の日本の世相を描いた『アメリカひじき』では直木賞を受賞しています。野坂さんはすでに鬼籍に入られていますが、多才な方で、歌手・作詞家・タレント・政治家としても活躍されました。
私と同世代の人なら、野坂さんが白いスーツを着て歌った、サントリー・ゴールドというウイスキーのCMソングを覚えているはずです。
ソ・ソ・ソクラテスか
プラトンか
ニ・ニ・ニーチェか
サルトルか
みんな悩んで大きくなった
何とも哲学的な歌詞ですが、未だによく覚えています。