漫才は、滑稽な掛け合いや、言い合いで客を笑わせる演芸です。漫才は最近のものだと思われていますが、そのルーツは歴史が古く、平安時代に成立した伝統芸能『萬歳』にまで遡ることができます。これが、江戸時代から昭和時代にかけて、大阪・京都を中心とする上方の寄席で独自の発展を遂げました。現在では、コントと並んでポピュラーな演芸になっています。
お笑いには色々なスタイルがありますが、一人でやる場合は、話題の中に明らかな間違いや勘違いなどを織り込んだり、笑いを誘うような面白い所作を行うのが基本です。漫才は基本的には二名で行なわれ、一人が観客の笑いを誘う『ボケ』役で、もう一人はボケの間違いを要所で指摘し、観客に笑いどころを提示する『ツッコミ』です。ツッコミは、言い換えれば”お笑いのナビゲーター”です。
ボケとツッコミの役割上、ボケだけの漫才は成立しますが、ツッコミだけの漫才は成立しません。ボケとツッコミが融合して、はじめて面白い漫才が誕生します。ボケとツッコミのルーツは、古典萬歳の時代から「才蔵」と「太夫」として存在するらしいのですが、現在のようなスピーディなボケとツッコミのスタイルが確立したのは比較的最近のことです。
ツッコミの中には、『ノリツッコミ』と呼ばれる高度なテクニックがあります。一般的なツッコミは、相手がボケたら即座にツッコミますが、ノリツッコミは相手がボケたら一旦その話に乗っかった後にツッコミを入れます。要するに、一人でボケとツッコミを演じ分けるのです。以下はノリツッコミの例がです。
最後の「なんでやねん!」は、ノリツッコミの決め台詞です。上方漫才の場合は、”なんでやねん”が締め(一区切り)の役割を果たします。また、この時の動作は、右手の肘を直角に曲げて、手の甲で相手を軽く叩くのが一般的です。ただし、最近では少なくなりましたが、どつき漫才では頭を叩いたりします。
ツッコミやノリツッコミは、漫才だけではなく大阪府民の日常生活にも浸透しています。これは大阪府民のコミュニケーション能力の高さと、人との距離感の近さが関係しているのかもしれません~って、なんでやねん!。