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最初のヒーローはお父さん

子供たちに一番身近な大人は両親です。”昔の”理想的な両親は、強いお父さんと優しいお母さんでした。今は多様性を重視していて、色々な夫婦のパターンがあるので、一概に昔の両親像が良いとはいえません。ひょっとすると、強いお母さんと優しいお父さんのパターンもあるでしょう。これは”強いお父さん”世代のお話です。

私が小さい頃、家には内風呂が無く、銭湯に通っていました。母親と銭湯に言った記憶はほとんどなく、いつも父親と銭湯に行っていました。ドラマなどにも出てくるエピソードですが、子供がきつく絞ったタオルを父親が絞りなおすと、タオルに残っていた大量の水分が出てきます。半世紀以上前に私も同じような経験を実際にしていて、「お父さんは力が強いなぁ」と感心していました。

子供たちの身近なヒーローは、お父さんでした。子供の頃は、お父さんが力持ちで強い大人だと思っていました。そんな私も高校生になると、父親の身長を超え、体型的には父親を上回るようになりました。そうなると、父親=ヒーロー論は、はるか昔の遠い記憶のように感じていました。しかし、父親=ヒーロー論を思い出させる話を、高校の英語の先生から聞きました。

その英語の先生は、強面こわもての先生でしたが、自分の子供の話をする時はニコニコしていました。授業に入る前の雑談で、その先生がこんなことを言いました。小学生の息子から、「お父さんは世界の誰よりも強いよね」と言われたそうです。多少、力自慢の先生は、「うぅん。まぁ、そうかな」と曖昧に答えました。するとすかさず、「お父さんは、デストロイヤーよりも強いよね!」と言われたそうです。デストロイヤーは当時人気の悪役・覆面レスラーでした。先生も、さすがにデストロイヤーには適わないと思いながら、「そうだなぁ・・・」とお茶を濁したそうです。先生は、そんな話を満更ではない風に、にこやかにしてくれました。

子供は親に全幅の信頼を寄せています。親の方も、デストロイヤーには勝てなくても、強いお父さんでありたいと思うものです。私は軟弱で腕っぷしも弱い方ですが、子供の幼稚園の運動会での親子競技では、老体に鞭打って頑張った記憶があります。

テレビや新聞などで、子供への虐待やネグレクトの事件を耳にするたび、心が痛みます。

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