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これは40年以上も前の、私がまだ受験生だった頃の話です。私は地方の田舎の高校生でした。今のようにインターネットなどありませんでしたから、受験情報誌といえば『蛍雪けいせつ時代』くらいしかありませんでした。その頃は全国展開の大手予備校などはなく、ましてや田舎では予備校すらありませんでした。この雑誌は、地方に住む大学受験生の受験勉強や受験対策に欠かせない雑誌でした。

螢雪時代』は、旺文社から刊行されている大学受験生向けの月刊雑誌で、その歴史は古く、なんと1932年(昭和7年)創刊です。もう受験時から相当な時間が経過しているので、今でもあるのかな?とググってみたら、現在でも定期刊行されているみたいです。

私が通った高校は田舎の高校でしたが、一学年上は”キセキの世代”と呼ばれるくらい成績優秀な先輩たちがいました。試験の成績は毎回張り出されるのですが、学年1位から5位までは常に不動のメンバーでした。まさに『黒子のバスケ』みたいです。なんと5人のうち4人が東大に行きました。田舎の高校では考えられない快挙でした。

高三になった時、受験情報通の同級生がいて、受験に関する色々なことを教えてくれました。この同級生は、部活つながりで”キセキの世代”と仲が良かったらしく、その先輩たちからの受験情報を”横流し”してくれました。その情報の中に『Z会』というのがありました。

”ゼットカイ”という響きに、「どこかの秘密組織なの?」と怪しげな印象を持ちましたが、友人の話を聞くと東大・京大などの難関校受験を対象とした通信添削だということがわかりました。このZ会の問題レベルは非常に高く、ある程度の学力が無いと続けることが困難だとも知らされました。その頃、進研ゼミの通信添削は知っていましたが、東大とは無縁の田舎の高校生にとっては、Z会は本当に初めて聞く言葉でした。

その同級生によると、東大に合格した先輩たちは、全員Z会の会員だったそうです。その話を聞いて、「俺もZ会をやってみようかなぁ~」と冗談めかして私が言うと、その同級生が「あのなぁ、Z会というのは東大に行く人しか入会できないんだぞ!」と真顔で注意されました。暗に”お前ごときが・・・”という、有難いご忠告でした。幸い私には東大に行く学力が無かったので、Z会にはお世話になりませんでした。

それ以後、Z会のことは忘れていましたが、子供が中学生になった頃、突如Z会と再会することになりました。おそらく妻の推薦だったと思いますが、子供がZ会に入会したのでした。誤解の無いように書きますが、妻ももちろん東大卒ではありません。私にはZ会トラウマがあったので、成り行きを見守っていました。

送られてきた教材や問題は素晴しいものでしたが、我が子の能力とはミスマッチだったようです。どうやら、我が家は秘密組織・Z会とは縁が無いようです。


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