お勧め”シリーズ本”#4 「ホミニッド」三部作
私小説、 歴史小説、警察小説ときて、今回はSF小説です。これはSF三部作で、最初の作品『ホミニッド』というのは、ジャワ原人や北京原人などにつかわれている”原人”という意味です。人類は、 猿人⇒原人⇒旧人⇒新人という流れで進化しましたが、その中の原人のお話です。ただし、単純な原人の話ではなく、”ネアンデルタール人が生き残った並行宇宙の地球からやってきたネアンデルタール人”の話です。我々と違う宇宙では、ネアンデルタール人が進化の最終形態である”新人”です。
作者は、ロバート・J. ソウヤー(Robert J. Sawyer)で、この作品で権威あるヒューゴー賞を受賞しています。並行宇宙モノはSFでも定番ですが、我々の世界がクロマニヨン人を祖先に持つのに対して、一方の宇宙ではネアンデルタール人が生き残って進化しています。ネアンデルタール人は、クロマニヨン人と比べると運動能力も知能も優れていたと考えられています。しかし、運命の悪戯なのか、我々の地球では劣等なクロマニヨン人が生き残って進化しています。
本書では、並行宇宙(の我々の地球)に転送されたネアンデルタールの物理学者・ポンタ―が主人公です。本書では彼の驚くべき冒険譚&ロマンスが描かれています。この『ホミニッド』の後には、『ヒューマン』『ハイブリッド』と続きます。どの巻も500ページを超える長編で、読み応え十分です。現在『ホミニッド』は絶版のようで、中古本でしか手に入らないようです。私の本棚には、少し年季の入ったこの三冊が飾られています。