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"無知の知"を使った論破術

 論破王のひろゆきさんは、どんな専門家でも論破する論破の達人ですが、メンタリストのDaigoさんが面白い分析をしていたので紹介します。

 ひろゆきさんの論破スタイルは以下の通りです。最初は、「私はその道の専門家ではないので色々と教えて欲しい」と切り出します。次に、相手の話をよく聞いて、自分がわからないところを質問します。さらに、その答えに対して、質問を続けて行きます。どんな専門家でも、全てを知っているわけではないで、どこかで答えに窮します。その時に相手は、エビデンスに基づかない自分の意見・感想を苦し紛れで答えます。こうなったら、論破の最終段階です。「あなたが言っていることは、(エビデンスに基づかない)あなたの感想ですよね?」の殺し文句で、論破の完了です。

 Daigoさんの分析で、”論破のカラクリ”が良くわかりましたが、話を聞いていて、「あれっ、前にどこかで読んだか、聞いたことがあるぞ」と既視感を感じました。それもそのはず、この方法は、ギリシャの哲人・ソクラテスの方法と同じだからです。

 ソクラテスは、紀元前400年頃のアテネ出身の古代ギリシアの哲学者で、西洋哲学の基礎を築いた人物の1人として認識されています。何をやった人か知らなくても、名前くらいは聞いたことがあるはずです。実は、ソクラテス自身は一切の著述を行なわなかったので、彼の弟子たちが彼の死後に執筆した著作を通して知られています。

 ソクラテスは、真理探究への基本になる考え方である”無知の知”、つまり「自らの無知を自覚することが真の認識に至る道である」といった境地に到達します。これは、「自分がいかに何もわかっていないかを自覚せよ」という戒めです。ソクラテスは、そうした謙虚な姿勢を持ち続けることが大事だよ、と言っているわけです。なぜなら、知った気になった時点で、知的好奇心は衰え、物事に対する探求が終わってしまうからです。 そうなると、成長は止まり、新しいものやアイデアを拒絶するようになります。

 ソクラテスはアテナイの有力者たちと問答する際、相手の主張から相手が認めないことを導き出すことによって、相手の主張を次々と論破していきました。ひろゆきさんの論破手法は、本人が自覚しているかどうかわかりませんが、ソクラテスの方法とそっくりです。しかし、ソクラテスとの問答でプライドを傷つけられたと感じた有力者たちは、無理やりにでっち上げた罪でソクラテスを死罪にします。ソクラテスに同情するものも多く、逃亡や亡命の機会がありましたが、ソクラテスはこれを拒否して、毒杯を飲んで死にました。ソクラテスは、「単に生きるのではなく、善く生きる」ことに執着し、法に殉じる道を選んだとされています。

 口下手な私は、相手を論破したことはありませんが、論破出来たら爽快かもしれません^^。ただし論破が過ぎると、友達をなくしたり、恨まれたりするので、要注意です。論破は、メンタルの強い人限定の必殺技です。

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