日本語には、”足を洗う”という慣用表現があります。これは、”実際に誰かの足を洗う”という意味ではなく、”悪い生活を止め、まっとうな生活へと立ち返る”ことを意味しています。どうやらこの言葉は、仏教由来の言葉のようです。
キリスト教の儀式に、”足を洗う”洗足式というのがあるそうです。この儀式は、最後の晩餐のとき、イエス・キリストが弟子たちの足を洗い↑↑、「主であり、師である私があなたがたの足を洗ったのだから、あなたがたも互いに足を洗い合わなければならない」と命じた聖句に由来する儀式です。
イエスが生きていた時代では、足を洗う行為は奴隷が主人に行うものであったので、信徒同士で足を洗うことは謙遜を覚える行為とされました。日本語の足を洗うとは、ニュアンスが違いますが同じような表現があることは面白いと思いました。
日本語には、そのままの意味ともう一つの意味があるダブルミーニングのような表現が幾つかあります。”足を洗う”もその一つですが、”顔を出す”⇒集会などに参加する、”手に入れる”⇒購入する/所有する、などがあります。
英語や他の言語にも、直訳すると意味が分からない表現があります。このような表現を慣用表現と言います。一般的な土砂降りの英語表現は、 heavy rain/pouring ですが、慣用表現では It's raining cats and dogs. と言います。日本語には、”使われなくなった慣用表現(死語)”がたくさんあります。It's raining cats and dogsの使用頻度は、どの程度なのかが気になります。