超私的グルメ(16) 切腹最中
NHKのニュース番組内で紹介されていたのを思い出して、羽田空港で買ったのが切腹最中(せっぷくもなか)との出会いでした。今回は、超私的グルメの中でも数少ない、自腹購入のグルメです。
漫才コンビ・ミルクボーイの漫才では、「皮が上あごに引っ付く。皮とアンコのハーモニーを感じたことがない。最中は一口食べたら、すぐ止まる。2個目行ってるやつ見たことない。最中の大食いギネス記録は2個。最中と山根会長は見た目が怖い」と散々ディスられてます。でも私は、気取ったマカロンより、最中の方が好きです。
特に、アンコがはみ出すほど入っている、切腹最中は最中の最高峰だと、勝手に思っています。元々は、売れない和菓子屋さんが名物を作ろうと考えて出来た、比較的最近の和菓子です。近くに、忠臣蔵の赤穂浪士ゆかりの寛永寺があるので、”切腹”をコンセプトにした最中を考えたようです。切腹最中は贈答用に需要があるようで、仕事のミスやトラブルのお詫びの場合には、「たいへん申し訳ありませんでした。切腹したい気持ちです」と言って贈れば、険悪なムードも和むそうです。
一口食べると、甘~いアンコが口に広がります。しかし、甘いだけではありません。このアンコの中には、柔らかいお餅が隠れていて、皮のパリパリと餅のネチャネチャとした2つの食感が味わえます。ミルクボーイの台詞ではありませんが、アンコはしっかり甘いので、連続2個は厳しいかもしれません。切腹最中を食べる時には、渋めのお茶がマストです。一気に血糖値が上がるので、食事後に満腹感が無かった場合のデザートにお勧めです。すぐに満腹になること、請け合いです。
ところで、最中は「さいちゅう」とも読みますが、元々「もなか」と読んでいたのです。なので、「仕事をしている最中(もなか)に」のように使っていました。最中を「さいちゅう」と音読みし始めたのは、明治後半以降だそうです。本来は、漢文調のワザと気取った(間違った)読み方だったのですが、そちらのほうが現代語として定着してしまいました。
最中の原型は、平安時代の”月に見立てた円形の白い餅”だそうです。これが、長い年月をかけて、”パリパリの皮にアンコ”という風に進化しました。切腹最中の中には餅が含まれているので、たぶん先祖返りしたんでしょう^^。